毎回読ませて頂いて、いつも新しい知識をナルホドと感激しながらもなかなか感想のメールができずにいました。
長女は中三で自宅学習のみで受験勉強しています。
自分で必要な勉強を自分のやり方でやれるようにを目標にしてきましたが、まだまだ百パーセントには程遠い状態です。
さて我が埼玉県では私立高校は個別相談会で秋には内定を出してもらえて実際の試験は余程のことがない限り落ちることがないというシステムがあります。
埼玉県の外部テストの偏差値と一学期までの内申が判断基準になります。
長女は中堅公立高校が第一希望です。
成績は学校では上位20%、偏差値は62,3くらいで特別できる方ではありません。
先日、滑り止め私立高校の個別相談会に参加し(その私立にはマーチクラスを目的とする特進コースと中堅私立大学を目的とする一般コースがある)一般コースを希望して内定をもらいに行きました。
その際、担当の先生が成績を見て 公立も一般コースも選択を間違えている。もったいない、、と大学進学実績の資料を見せながら、なぜ特進コースにしないのかと説得されました。
娘は第一に勉強が嫌いで大学進学も考えてないこと、そして地頭もよくないのです。それを無理に勉強させて早慶に合格させるには どれだけの努力を強いられるのかと思い、真意は言わずなんとか断って 一般コースの内定をもらって帰りました。
あまりにも もったいないと言われるとちょっと迷いがでましたが、少しでもいい高校、大学に進学することが娘にとって はたして良いことなのだろうか、、こんな世の中、自分で生きていく力をつけることが大事なのでは、、と考えていました。
しかしそれからモヤモヤが続いていたところに、塾長さんからのメールでした。
安心しました。自分の判断は間違ってなかったと思うことができたからです。
またしても感激しております。
長くなりました。
三月の公立入試まで できることをやるだけです。
ご相談したいこともありますが今回はこの辺で失礼します。
本当にありがとうございました。
いつも「なるほど」と思っていただいて誠にありがとうございます。
そういうお言葉を存外と楽しみにしていたりします(笑)
自宅学習のみで上位20%、偏差値62-3とは素晴らしいですね。そのクラス設定なら特進コースが狙えますから、担当の先生が「もったいない」と言われる気持ちも分かります。
ただ、その「もったいない」は「もう少し上が狙えます」という意味なのですが、それが「もったいない」という言葉になるのは「上位校のほうが良い」という価値観があればこそで、そう思わない人には「もったいない」という言葉は当てはまりませんよね。
今回のように、初めから大学進学が視野に無いのであれば、進学コースに進む意味はあまり無いですし、そもそも普通科よりも実業系を選択するなども検討すべきでしょう。
(ちなみに、高校側の裏事情も踏まえると、特進コースにしたほうが結果的に進学で苦労することもありますから、何でもかんでも上のコースにすれば良いというわけでも無いことには注意が必要です)
ですから、「こんな世の中、自分で生きていく力をつけることが大事なのでは、、と考えていました」の部分については強く賛成できます。
そもそも、良い高校と言うその「良い」の基準も所詮は偏差値だけであって、具体的に高校の特色、教師の質、指導方針、指導体制や教育環境までを踏まえて「良い」と奨めてくれることはまずありません。
つまり、学力以外の部分のミスマッチで入ってから苦労したりついていけなかったりしても「本人次第」という話で終わりにされてしまいますから、言ってみれば無責任そのものの進路指導だとも言えます。
本当にその生徒の考えや個性を把握し、本当にその生徒に合った高校を「良い高校だ」と先生が奨めてくれているのなら「もっと真剣に検討すべきだ」と思いとどまるように言いますが、たかだか進学実績の資料だけをもとに説得されても「だから何?」の世界ですよね(苦笑)
そもそも今は良い大学に進学しただけでは何の保証にもならず、おっしゃられているように旧帝大や早慶レベルなら名前だけで何とかなる世界(特に政治、法律、マスコミなど)もありますが、そこから下では学校名よりも人物本位です。
もちろん、大学名で大手企業のエントリーシートが通る通らないの問題もありますが、そもそもその大手企業自体が地盤沈下しており、大学名など気にしない新興企業のほうがはるかに増えてきています。
そして、そういう会社は大学名を気にしない代わりに、実務的な能力や技能を強く要求してきますから、学歴を得るよりもよほどシビアな世界だと言えます。
これまでは早く問題を処理して正確に暗記できるコンピュータのような生徒が重宝されてきましたし、今後も官公庁や一部の大手企業、資格業では重宝されるでしょうが、それ以外の場ではどんどん不要の烙印を押されていくでしょう。
ただし、注意していただきたいのは「行ける高校に進む」「大学に進学させない」=「単に楽な道に進む」という結果にならないようにすることです。
例えば、大学に行く気が無いのに普通科高校に希望を出すのは、正直なところ大きく矛盾しています。
実際、特に受験の無い普通科の生徒はゴール無しに学ぶ状態ですから、実業系などで資格試験に挑んだり、なりたい仕事に向かって学んだりした生徒とは、生きる力の面でも意識の面でも雲泥の差がつきます。
(だからと言って全てがそうでは無く、高校生活を通じて他に学べることはたくさんあり、そういった形で充実した高校生活を送った上で普通科から就職し、1人立ちして社会で活躍する生徒も毎年たくさんいるのも事実ですよ)
中学生にとって、進学か就職かは重要な人生の分かれ道ですが、あくまでも生き方やライフスタイルの分かれ道であって、人生の成功や幸福を決める分かれ道だとは個人的に思っていません。
大学が向いている子は進学すれば良く、就職が向いている子は就職すれば良い話で、大事なのはそれぞれの道の先でどう生きていくかです。今は進学したことで引きこもってしまう生徒もいれば、就職してから大学で学び直す生徒もいるのですから。
ここで、忘れてはならないのは「それぞれの環境の中で最善を尽くすこと」であり、進学を目指すならそれに向けて真剣に勉強をし、就職を目指すならそれに向けて別の努力をすることです。
もちろん、人生は後で取り返すこともできますから、ここで努力しなければそれで終わりだなどと言うつもりはございませんが、やはり高校の3年間という最も伸びしろのある時期に、しっかりと頭を使っておくかどうかは今後の人生に大きく影響してきます。
この大事な時期に、本人にとって意味の理解できない暗号のような数式や語句を丸暗記するような頭の使い方をしていると、典型的な無思考で生きる力の全く無い生徒が出来上がりますから要注意です。
進路が違っても実は「学ばなければならない」事実は同じで、ただ「学ぶ内容」が変わるだけです。
それは受験であり、仕事であり、社会生活であり、人間関係であり、人生全てでもあります。
そもそも、人生とは死ぬまで学び続けるものであり、そうできる者だけが成長を続け、成功を手にすることができるのですね。
ここでメールマガジンを読まれている親御さんなどはまさにその典型で、こうして長々しいメールを毎回読んでくださるのも、ひとえに人生における「学び」の意欲があるからでは無いでしょうか。
反抗期に嫌気が差し、子育てという学びを放棄して、親子関係や学習環境が修復できないままの親御さんもたくさんいるのですからね。
こうした「学び」の重要性こそ、私が教科指導を通じて伝えたい本質の1つでもあります。
そして、中学生のこの時期にこそ「与えられ、押しつけられる学び」ではなく、「前向きに学ぶ姿勢」というものを少しでも身に着けていってほしいと思います。
(ただ、お子さんの場合は、自宅学習で自分で必要な勉強を自分のやり方でやれるようにしてきたようですから、今のところは心配無さそうですね)
堅苦しい内容となりましたが、中3の受験期だからこそ、先生や親御さんはこういった話もお子さんにしてあげられると良いですね。
もちろん、上の言葉は私の考えですから、「自分とは少し違う」「自分は反対だ」などと思われても全く構いません。
皆様それぞれの考えで紡いだ、それぞれの言葉で伝えてあげてくださいね。
何も与えなければ何も反応は起こりません。そうした様々な刺激を受けて、この時期の生徒は取捨選択しながら理解し、成長していくのですから。
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楠木塾長
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