教育に関連するニュースをお届けしています。
今日お届けするのは、ご褒美に関する記事です。
ボーナスをアップしたところで、社員の「生産性」は上がらない“科学的な理由”(斉藤 徹) @moneygendai
人のモチベーションを上げるには、どうすればいいのだろうか? 起業家・経営学者の斉藤徹氏は、お金ではモチベーションは上がらないと語る。その科学的な理由と、モチベーションを本当に上げるものは何なのか、解説してもらった。
「有名すぎてつまらない」「内容が古い」と批判を受けそうな記事ですね(笑)
(引用元は、本の宣伝記事のようですが、ネタが古すぎると言いますか、今さら感が強すぎて、逆宣伝になっている気もします)
科学的には、だいぶ前から言われていることですが、まだまだ知らない方もいるでしょうから、要点をまとめておきます。
3.6万人の子供を対象に行った大々的な実験で、結果は以下のとおりです。
未知の方は発見も多いのでないでしょうか。
- ニューヨーク、シカゴ、ワシントン、ヒューストン、ダラスの米国5都市で「お金の力がどのくらい成績を引き上げるか」を調査した。
- ダラス以外の4都市は「成績が上がった子ども」に対してお金を支払ったが、成績は上がらなかった。
- ダラスだけが「指定した課題を達成した子ども」に対してお金を支払ったことで、成績を上げることに成功した。(例:読書をした子どもに1冊あたり2ドル → 読解力が向上)
- しかし、1年で改善率は半減。さらに、報酬なしのワークには興味を持たなくなった。
こういった結果ですね。
ポイントはこのあたりでしょうか。
- お金は単純なこと、誰でも努力すればできることに対して、一時的に著しい動機づけになる。
- 継続すると効果が薄れる。
- いったん報酬を出すと、報酬なしでは努力しなくなってしまう。
さらに、その後の研究では、これらは「お金」だけではなく、賞罰などで「外部から行動を強いるような動機づけ」に共通することだと判明しました。
いわゆる「ご褒美作戦」が、いかに稚拙で副作用のリスクが高い方法かがよく分かると思います。
ちなみに、他の副作用はこういったものです。
- 好奇心を失わせる
- 正解のない、高度な業務の生産性を落とす
- 創造性をはばむ
- 好ましい言動(善行)への意欲を失わせる
- ごまかしや近道、倫理に反する行為を助長させる
- 依存性がある(なしでは働かなくなる)
- 短絡的思考や短期的思考を助長する
どうでしょう、心当たりのある項目もあるのではないでしょうか。
「依存性がある(なしでは働かなくなる)」というのは、上でも指摘されていたとおりで、ご褒美で釣ってやらせるのですから、ご褒美がないものをやらなくなるのは自然なことですよね。
また、ご褒美作戦を実施している家庭、学校、塾の教育・指導を受けていた子供は、好奇心が薄れたり、高度な業務の生産性が落ちたり(単純作業はそれほど落ちない)、創造性が低下したり・・・といったあたり、当てはまることが多いです。
分かりやすい子供だと「これをしたら何をもらえる?」と聞いてきますし、そうでなくても、踏ん張りがきかないと言いますか、楽な道に逃れようとしたがると言いますか、学習意欲の点で違和感を抱くことが少なくありません。
ただ、それよりも厄介なのが、これらのあたりです。
「好ましい言動(善行)への意欲を失わせる」「ごまかしや近道、倫理に反する行為を助長させる」「短絡的思考や短期的思考を助長する」
こういった人格や人間性と呼べる部分にまで悪影響が出てくるというのは、何とも恐ろしいことですよね。
ここまで来ると、ご褒美で短期的に良くなる効果よりも、マイナスの効果のほうがはるかに大きくなってきます。
それに、普通の先生たちからしても教えにくい(可愛げがない)タイプの生徒になってきますから、目をかけてもらいにくくなって(または、悪い意味で目をつけられて)、ますます成績が低下する方向に力が働きやすいです。
困ったことに、この手の方法論を推奨する専門家(?・・・と呼べるかは謎)もいるのが、教育業界の恐ろしいところですから、どうかご注意くださいね。
楠木塾長
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