教育に関連するニュースをお届けしています。
今日お届けするのは、大学入学共通テストに関する記事です。
コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大に伴って、共通テストの扱いが二転三転しました。
今年は、コロナ感染以外にも問題が重なって大変でしたが、ここでは感染対応にテーマを限って、時系列で簡単にまとめておきます。
文部科学省は24日、国公私立大の個別入試における新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを改定し、オミクロン株感染者の濃厚接触者は症状の有無にかかわらず受験…
当初は、まさかの「受験不可」という方針が発表されました。
オミクロン株以外の感染者については「陰性+無症状+公共交通機関は使わない+別室受験」の条件で、受験を認めるということですね。
逆に言えば、オミクロン株に感染(または、感染してなくても濃厚接触)した人は、たとえ陰性でも、別室でも、受験はさせないということになります。
明らかに無茶苦茶ですが、いったんでも正式な対応として公表してしまえるのは、何ともすごいところです。
ちなみに、この発表を受けて、さらなる迅速な対応がされました。
オミクロン濃厚接触者は追試を 大学入試で指針―文科省:時事ドットコム
文部科学省は24日、大学入試での新型コロナウイルス対策について、変異株「オミクロン株」の濃厚接触者となった場合は受験を認めないとする指針を各大学に通知した。代わりに追試験を受験させる…
こちらは共通テスト以外の入試について、通常の受験を一切認めず、追試験で対応するようにという通知ですね。
こういう、後ですぐに朝令暮改されるような、どうでも良い内容の時に限って、ものすごく迅速に対応されているというのは、何とも皮肉です。
これらの動きに対し、もちろん反発や混乱はものすごく、2日後にはこうなりました。
濃厚接触者の受験機会確保を オミクロン株対応、年内に具体策―岸田首相指示:時事ドットコム
岸田文雄首相は26日、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の市中感染が国内で広がりつつあることを受け、オミクロン株感染者の濃厚接触者となった受験生について、別室受験を含む受験機会確保の方策を検討するよう文部科学省に指示した。
感染拡大のスピードが大きかったため、それに合わせて臨機応変に対応をした・・・と取れなくもないです。
もちろん、単純に勇み足の朝令暮改と取れなくもありませんが、果たしてどちらでしょうか。
ただ、たった2日間のことですから、2日前の時点で発表するのは我慢して、2日後に初めて発表していれば良かったのではという気はしますね。
オミクロン株濃厚接触者 大学受験 一定条件で別室受験可能へ | NHKニュース
【NHK】大学受験などへの対応をめぐり、末松文部科学大臣は、オミクロン株の感染者の濃厚接触者について、PCR検査で陰性が証明され、…
そして、翌日には駄目だったはずの別室受験が可能になってしまいました(笑)
これは、条件を緩和したように見えなくもないですが、実は上で触れた通常のコロナ対応と全く同じ基準です。
そのため、ここまでですと、柔軟に対応したと言うよりも、先に余計なことを言ったのを、もとに戻しただけ(=無用な混乱を巻き起こしただけ)と言うのが正しいでしょう。
濃厚接触者の受験 一定条件下 タクシーなどの利用認める方針 | NHKニュース
【NHK】新型コロナの感染者の濃厚接触者について、文部科学省は公共交通機関を利用しないことを受験の要件に挙げていましたが、自家用車…
その後、今度は「公共交通機関を利用しない」という条件が緩和されました。
これは正しい改善と言いますか、以前からの通常のコロナ対応でもそうしておいてほしかったものですね。
最初からしてくれていたらもっと大きく評価できたのですが、上で大きく失敗したのを取り戻すために、今までよりも緩めたという流れなのは残念です。
そして、この後に出たのが、各大学を震撼させた爆弾発表(?)です。
“コロナで共通テスト未受験 個別入試で判定を”文科省要請へ | NHKニュース
【NHK】「大学入学共通テスト」の実施を控え、文部科学省は、新型コロナの影響で本試験と追試験ともに受けられなかった受験生のため、国…
要するに、共通テストが必須の受験においても、共通テストなしで評価しろという要請(と言う名の命令)ですね。
共通テストの本試験と追試の両方が受験できない場合に、あえて一律での救済措置を設けるなら、確かにこうするよりないのですが、大学側は大変です。
どうしたところで、公平な判定は難しくなりますから、結果的にどちらの受験生にとっても、不確定要素が増すことになりますね。
それにしても、他の病気で受けられない受験生には全く配慮しないで、今回のコロナだけ配慮するというのは、何やら不公平な感じがしてしまいます。
同時に、これと言った措置を取ってもらっていない、昨年までの受験生たちにとっても不公平な気がしてしまいますね。
唯一の救いは、当初の定員外で対応して良いという部分ですが・・・それでも他の年度の受験生とは不公平感が生まれるのは否定できません。
なお、この対応で最も物議を醸したのは、自己申告に関する部分です。
コロナ感染「自己申告」で共通テスト免除の可能性 不正対策は?大学への要請、文科省に詳細を聞く | J-CASTニュース
大学入学共通テストを前に、コロナ感染の診断書などがなくても自己申告すれば共通テストを免除するよう各大…
自己申告で良いというのは、さすがに制度として穴がありすぎますよね。
本試験が受けられない場合の追試験について・・・はまだしも、両方受けられない場合の、大学の個別対応任せのほうまで、自己申告で選べてしまうのはさすがに問題です。
火消しのために必死で追加の説明をしていますが、自己申告すると後で病院や保健所に電話等で確認する「ことがある」という、端切れの悪い表現には苦笑するよりありません。
しかも、その確認をするのが各大学となっており、通常の受験対応に加えて、臨時の個別対応までさせられて現場が混乱する中、本当にそんな確認までできるのかどうか・・・いろいろと怪しさしかありません。
今後、果たしてどうなるのか・・・いろいろと目の離せない状況です。
ただ、当の大学受験生にとっては、この先どう転んだところで、与えられた条件の中で最善を尽くすしかありません。
感染拡大に加えて、余計な雑音のせいで集中できないという人も出てくるかもしれませんが、残すところあとわずか、どうか頑張ってくださいね。
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楠木塾長
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