教育に関連するニュースをお届けしています。
今日お届けするのは、不登校に関する記事です。
不登校児専門中学校が開校
ついに、不登校児専門の「公立」中学校が生まれました。
民間のものならたくさんありますが、公立で設立されたというのは、本当に素晴らしいですね。
珍しく地元岐阜県からのニュースでしたが(笑)、これはお世辞や欲目抜きに、ぜひとも全国に広がってほしい取り組みです。
正直、よくぞこれを公立中学で実現できたなと思うくらいの仕組みで、塾に近いと言いますか、塾でもこうはなっていない革新的な学校と言って良いでしょう。
唯一残念なのは、定員がたったの40名しか無いところです。
もちろん、ケアが大変なはずですから、多人数を受け入れるのは難しいでしょう。
しかし、120家族もの参加があったことも考えると、やはり広がっていってほしいものですね。
そして、開校除幕式で行われたスピーチもなかなか素敵です。
いま学校現場は、たくさんのことを要求されています。グローバル人材、スーパーサイエンス、SDGsさらにプログラミング。これを全部できたら、スーパーマンにしかならないですよね。そんな大人は町の中に何人いるのでしょうか。
本当にこのとおりで、だからこそ子供たちは親や先生の言葉の胡散臭さを感じ取りもしますし、反発や反抗もするわけですよね。
学校がやるべきことは、子どもたちの学びの機会を奪わないことです。子どもたちが学びたいと思ったときに、学べるような環境を用意することだけが唯一、学校に課せられた使命です。学びを嫌いにさせるのはもってのほか、絶望しそうになったときに学びを諦めない、そんな子どもたちに育つ場所が学校なのだと思います。
さらにこう続くわけですが、本当に「学びを嫌いにさせる」学校がいかに多いことでしょう。
この基本ができてもいない状態で、いろいろと新しいものを詰め込むのは無理がありすぎるわけですが・・・学校も詰め込みたくて詰め込んでいるわけではないところが痛いところですね。
結局は、政治家や企業や文科省の思惑だったりも含めた、教育行政全般の問題となってくるわけですが、まずはこの学びの場としての基本にしっかりと立ち返ってくれることを切に願います。
何はともあれ、こうした取り組みが続くかどうかは、今後の成り行きにかかっています。
いろいろと障害も多いとは思いますが、今後のモデルケースともなれるくらい、うまく進むと良いですね。
不登校の相談相手にならないスクールカウンセラー
小中学生「相談せず不登校」4割 文科省、経験者2000人調査 | 共同通信
文部科学省は6日、不登校を経験した小中学生へのアンケート結果を公表した。学校を休むことについて相談し…
不登校の相談相手の半数は家族で、残りの半数近く(約4割)が誰にも相談しないという結果ですね。
家族の割合がこれで高いと言えるのか低いと言うべきなのかは分かりませんし、そもそも登校することが正しいという前提に立った調査に意味があるのかという話もあるところでしょう。
しかし、そういった難しい話は横に置いて、もっと単純に、家族に相談できない子供が、家族には相談できない・・・となった時、他に相談できる相手が誰もいないということですよね。
そんな困った時に、先生やスクールカウンセラーが候補に出てこないというのは、とても悲しいところです。
ちなみに、詳しい数字を挙げると、小学生で「学校の先生:13.3%」「保健室の先生:7.7%」「学校にいるカウンセラー:8.0%」「友達:7.6%」という数字になっています。
中学校になると、友達の割合が高くなりますが、おおよその数字はほとんど同じですね。
これを見ると、保健室の先生が今でも健闘しているのだなと感じる一方で、スクールカウンセラーは意味があるのか?という気もしないではありません。
一応、友達と同じくらいですから、相談の選択肢が増えているという点では意味があるのかもしれませんが、果たしてかけたコストや労力と見合うのか・・・。
他にも、いろいろと考えさせられることの多い調査ですが、元の結果が気になる方は、こちらの文科省のサイトにある公式資料(不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書)を参照してくださいね。
休校明けで増える不登校や保健室登校
休校明けは、不登校や保健室登校が休校前の倍になった学校もあるなど、登校渋りや不登校の生徒が増えています。
それを受けて、この手の対応マニュアル(?)的な記事も爆発的に増えているわけですが・・・中には内容が怪しいものもあります。
今回取り上げた記事は、NHKニュースということで影響力が大きいだけに、怪しいというわけではないのですが、誤解を招きやすい部分について触れておきます。
親はどう接すればいいか 4つのポイント
- 強制的に行かせない。
- 特に体調が悪くて行きにくい場合は、体調の回復に努める。
- 学校と話し合い、短時間だけ行かせることなどから始める。
- 本人の状態に合わせたリズムで行かせる。
記事内にある4つのポイントですが、基本的には正しいです。
ただ、一番最初の「強制的に行かせない」のところだけは、そのまま鵜呑みにすると危険です。
と言うのも、サボりや怠けが原因であるものはもちろんのこと、子供の状態や性格によっては、ある程度は強制的に行かせないとまずいケースも普通にあるからですね。
ここを間違えると、うまく工夫(?)すれば無理やわがままが通ってしまうという悪い成功体験を与えたり、不登校を防ぐどころか、サボり癖から生じるタイプの不登校に向かわせてしまったりすることにもなりかねません。
一昔前の、権威的・強制的なやり方や、子供の気持ちを無視するようなやり方が否定され、子供の意思や思いを尊重する関わり方が肯定される風潮が強くなっていますよね。
しかし、子供が「もっと気づいてほしい」「いっそ叱ってほしい」と思っていたずらをしている時に、何も言わずに好きなようにさせるのが全く逆効果なように、そもそも子供の表面的な言葉どおりにしてやることが、本当の意味で子供の思いに寄り添うことにはなりません。
薬も過ぎれば毒になるように、強制的な関わりも受容的な関わりも、どちらも行き過ぎればまずいものですから、子供に合わせた関わりを大切にしたいものです。
なお、これは「休校明けで突然行きたくないと言い出したケース(もともと不登校ではなく、新たに登校渋りを見せた時のケース)」に当てはまる話です。
逆に、もともと不登校の状態にあった子供が相手の場合は、上の4つのポイントはわりと高い確率で正解になると言えるでしょう。
本当に体調が良くない場合には、体調の回復を優先させるのは絶対ですし、再登校の過程においては、本人のリズムに合わせるのも、とても大切なことです。
前提条件が変われば話は全く違ってきますから、この手のノウハウやマニュアル的な記事を読む場合には、そういった点を踏まえたいですね。
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楠木塾長
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