子供の成績の優劣次第で、親がこんなに心痛を抱くとははるか昔は想像だにしていませんでした。
成績が芳しくないのに塾を勧めても拒否、では何か学校の勉強以外の習い事で自信を付ける方向で、と始めてもそれも長続きせず、結局、学校も習い事もすべて途中で投げ出す習慣を身に付けさせる結果となり、自分自身親として後悔の念を抱き、また、子供には怒りと落胆の感情を持ちながら多くの時間を過ごしてきました。特に反抗期に至っては、口うるさい親への反抗から「物にあたる」という状況になり、それでは、と言いたい事も呑み込んで、当たり障りの無いように、というか、半分見捨てる、という様な感じにもなり、本当に苦しくて仕方がありませんでした。
もちろん、自分の子供の頃を思い返せば、多くを望めるはずもないのですが、さりとて明るく伸び伸びと健やかに・・・といった他のお子さんを見ると、「どうしてうちの子たちは・・・」という気持ちが抑えられず、また先生に呼び出されるというストレスで、怒りの次に落ち込む、という悪循環をどうにかして断ち切りたい、と思うようになりました。
そこで塾長様のサイトに出会ったわけですが、無料マガジンを夫にも読んでもらい自分達こそ変わらねば、ということを相互理解のもとに新しくやり直そう、と期待に胸が弾んだのもつかの間、変わりたいという希望に伴う努力に費やす労力が負担になってしまうのも事実なのです。
きっと塾長様には、親がこれでは子も救われない、という事になりますが、親が持続的に変われること、すぐに諦めない固い意志を持つことに対して、
厳しいご意見をお願いいたします。
特に私が落ち込むのは、「どうせ無駄」というような実は夫の一言だったりします。
塾長様のサイトには変わりたい多くのお母様のコメントが寄せられていますが、世の出来ない子供を抱える父親の役割、心得などについてもご指導頂きたいと思っております。
子供の事を超えて、親の相談になってしまい申し訳ございません。
よろしくお願いいたします。
大変な心痛を抱いておいでのようですね。
何事もそうですが、実際に親になってみて分かることはありますよね。
手のかからない子供でそこまで苦労しなくて済むご家庭もあるわけですが、やはり多くの親御さんが、成績以外のことも含めて、各ご家庭なりに様々な苦労を抱えておいでのことと思います。
さて、今回はメールセミナーのご感想としていただいたわけですが、完全にご相談になってしまっていますね(笑)
そのため、教育相談の形で御返事したいと思います。
まず、書かれておいでの、「新しくやり直そう、と期待に胸が弾んだのもつかの間、変わりたいという希望に伴う努力に費やす労力が負担になってしまうのも事実なのです」は、まさにそのとおりですよね。
親御さんがそういう気持ちになるのもそのとおりなら、お子さんを含めた大勢の生徒たちが、今の成績を何とかしたいと心の中では思ってみても、結局変われないままに日々を過ごしてしまうのもそのとおりです。
そういう意味では、お子さんの気持ちが、今はとても良く分かるのでは無いでしょうか?
また、明るく伸び伸びと健やかに・・・としているお子さんがいたとしても、本当に全てにおいて何の問題も無い子供は、そうはいないものです。
性格が良くても成績が悲惨な生徒はいますし、逆に成績や先生からの覚えは良くても、家の中ではわがまま放題に振る舞う生徒もいます。
問題だらけに見えるご家庭が、実は幸せにいっぱいに生活していることもある一方で、何の問題も無い、幸せを絵に描いたようなご家庭で、ニュースにもなるような悲惨な事件が起こることもあります。
そういう意味で、他のご家庭や生徒のことは、実際にその家庭になってみなければ分からないのが本当のところです。
ただ1つだけ確実に言えるのは、うまくいかない時に、最も身近な人から「怒りと落胆の感情」ばかりがありありと感じられる状況は、決してやる気や頑張る気持ちを引き出すものでは無いことですね。
逆の立場で、自分の身近な人から「そんなふうだからできないんだ!」「どうせ駄目だ・・・」などと怒りや落胆の言葉を浴びせられたらどんな気持ちがするかは、すでに痛いほどお感じのことでしょう。
それを言葉に出すか、言葉以外の表情や態度で出すかは違っても、それを感じ取った相手は受けるダメージが相当のものであるのは同じです。
学校や塾や習い事に関しても、もしかしたらお子さんは同じ思いをしていたのかもしれませんね。
そして、それを家庭と言う逃げ場が無い中で、長期に渡って何度も何度もされ続けたら・・・少なくとも、何か別のものに当たるしか他に方法が無いような子供もいることは、知っておいて損は無いと思います。
そう思うことで、お子さんのことが少しでも愛おしく思えるようでしたら、まずはその気持ちが伝わるような言葉をかけてあげてみてください。
それが変化の第一歩になる可能性もありますから。
一方、「親が持続的に変われること、すぐに諦めない固い意志を持つこと」については、すぐに改善するものでは決してありません。
実はこの「意志の弱さ」こそが、成績が上がらない生徒や、物にあたるなどの辛抱強くない行動をする生徒たちの多くに共通した点であり、幼少期からの教育を通じて、親や周囲の環境から受け継ぐ素養の1つでもあります。
つまり、親の意志の強さ(弱さ)が、子供に引き継がれている側面も、少なからずあるわけですね。
そういう意味では、親御さん自身が今から意志の強さを身につけようとすること自体は、正しい方向性だと言えます。
しかし、他人の、特に大人の意思の強さを後付けでどうにかするのは、簡単な話ではありません。
最後のほうで、父親に対する心得とありましたが、まずはすぐに変えられる「自分」を変える努力をするのが先ですよね。
お父様本人が求めるならともかく、お母様の側がそれを求めるのは、何かどこかから聞いてきたやり方を子供に強制するのと同じ発想です。
本来、他人を変えるのは極めて難しいことで、すぐにどうこうなるものではありません。
それよりもまずは、自分次第で変えることのできる「自分自身」を変えるべきなのですが、変えられるはずの自分を変えず、先に他人が変わることを期待すること自体が「意志の弱さ」を表してもいます。
もしこれが、お父様から「ぜひ聞いてほしい」とお願いされてであれば問題無いのですが、お母様のほうが「夫に変わってほしいから、ここで心得を聞いて、教わったものだとして言い聞かせよう」と思っているのだとしたら、そういう発想のしかた自体を変えないと、お父様はもちろんのこと、お子さんも変えることはできないでしょう。
(だからと言って、お父様に問題があることも、そのせいでお母様がご苦労されておられることも否定しませんし、その点は本当におつらいだろうと思います)
持続的に変わるために必要なのは、まず目の前のできるところから変えていくことです。
最初は、ほんの小さなことからでも、できる範囲でできるだけの事を積み重ねていくしかありません。
ここはどうしても孤独な戦いになりますから、毎週のメールマガジンが少しでも心の支えとなれば幸いです。
ただ、意志の弱い人が周囲に多い状況だと、その悪影響を受けやすくなってしまいますから、そうで無い人を身近で見つけて、相談に乗ってもらえるような状況を作れると良いですね。
意志の弱さに関しても、理想的には、誰か別の「意志の強い人間」がお子さんに関わってあげることで、良い影響を及ぼしてあげる状況を作れると良いです。
何よりも、お一人で頑張っていると心が挫けてしまいますから、まずはお通いの学校や塾の先生などの中で、信頼のおけそうな方を選び、今回ご相談いただいたような内容を率直に話してみることもしてみてください。
そうやって、持続的に変わる助けとなってくれる人が見つかれば、状況が好転する大きなきっかけにもなると思います。
いずれにしても、状況を大きく変えるためにできるのは、目の前の小さな変化の積み重ねしかありません。
挫けそうになったら、同じような境遇のお母様方のメッセージなどにも目を通して元気をもらいながら、できる範囲でできるだけの事をしていってあげてくださいね。
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楠木塾長
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