前回の記事(子供につけたはずの学習習慣が消える時)は「本当の学習習慣をつけるには、自主性が不可欠」という話でした。

そちらについて、別の方からいただいたメッセージをご紹介いたします。

 


 

お世話になっております、現在高1と中1の子供がおります。
「子供につけたはずの学習習慣が消える時」の中の最後の方の文章に思い当たることがありメッセージいたしました。

「反抗期で事あるごとに親に反発するようになっても、テストで悪い成績をとって落ち込んでも、たとえ受験で不合格になったとしても、自主性のもとに身につけた習慣は、途切れること無くそのまま続いていきます。」について、高1の子供が今まさにその状態です。
高校受験に失敗し現在私立高校に通っておりますが、これは勉強に本気をだすのが遅かったためだと親も本人も思っております。

それまでどうもいい加減だった態度が本気に変わりだしたのが冬休み直前でした。
塾で最上位の子たちが、下校後帰宅せず塾の自習室に毎日通いつめている姿を見て、自分も頑張らなければ!と感化されたようでした。
三学期は本人の意志で下校後塾に毎日直行し、親は塾にお弁当を届ける毎日でした。
結果、私立は満足のいく合格を手に入れましたが、公立は残念に終わりました。

ただ、その時に得たものは大きかったようで、今でも学校の自習室に毎日のように残り、勉強をして帰宅しております。
親も中学時代のようにやかましく「勉強しなさい!」と言うことがほとんどなくなりました。
現在はクラスメイトが賢い子ばかりなのと、科目数が多くなり効率よく勉強できていないせいもあって、なかなか成績向上に結びついていませんが、腐ることなくこつこつと勉強しております。

下の中1の子は上の子の姿を見てきて何か思ったのか、上の子ほど親の手をかけることなく自分で考えて勉強し、成績は今のところ最上位レベルです。
「自主性」は本当に大事なことだと思いました。

 


 

体験談をお寄せいただき、誠にありがとうございます。

上の子の姿を反面教師にして、下の子が手のかからない状況になるのは、他のご家庭でも見られる姿かもしれませんね。(逆に、上がしっかり者で下が手のかかる関係もあると思います)

同じ兄弟姉妹でも、似る場合もあれば正反対になる場合もあって、「必ずこうなる」とはパターン化できないあたりが、まさに子育てや教育の難しくもあり、興味深いところでもあります。

 

それはともかくとしまして、上のお子さんが公立受験で残念な結果に終わったものの、私立で満足のいく結果を得た上に、進学後も自主的に頑張っている姿は本当に素晴らしいですね。

冬休みになってようやく尻に火がつく場合、受験対策と言う意味ではやや手遅れになってしまう場合も多いわけですが、それでも合格以外の「大きな何か」を得られたのでは無いでしょうか。

今後について、あえて心配な点を挙げるとすれば、今の「結果に結びつかない期間」が長くなって、腐ってしまうことでしょうか。(ただし、今回は高校の環境が良いため、そんなに心配はいらないと思います)

 

なかなか変わらない状況に歯噛みする親御さんも多いはずですが、うまく歯車さえ噛み合えば、子供は変わる可能性を持っています。

むしろ変わると確信しているからこそ、我々教師も日々の指導に携わっているわけですし、子供たち、そして親御さんたちの可能性を信じて、こうして地道な情報発信を続けているわけでもあります。

 

ただ、さすがにそれは「簡単なこと」ではありません。

上で「歯車さえ噛み合えば」と書きましたが、実は一度「スイッチが入れば」と書いて消しました。

スイッチと書いたほうが分かりやすいですし、実際に多くの親御さんが「うちの子のやる気スイッチはどこにあるのやら」と口にされるからですが、現実の子供のやる気や自主性は、スイッチのようにオン・オフで瞬間的に変わるものでは無いですよね。

それこそ、歯車のように噛み合うまでも大変なら、噛み合った後もしばらくはゆっくりとしか動かず、その後も力を加えて油をさしてやり・・・と、スムーズに回るようになるまでのケアがとても大変です。

 

そういう意味で、まずは今回のように、親御さんが「勉強しなさい!」と言わなくても済むような状態になれば、ほとんどのご家庭では大成功と言えると思います。

 

「それでは、どうやってそういう状態を実現させれば良いのか?」

これが問題ですよね。

 

もちろん、いろいろな要因がありますが、いつも申し上げているように、親御さんが用意してやれる(むしろ、親御さんで無いと用意できない)最大の要因の1つは「環境」です。

今回も「塾の他の生徒達の姿を見て感化された」とありましたね。(さらに高校の環境が良いのも大きいです)

こういった、良い影響を受けられる環境に身を置くのはとても大切なことです。

ですから、間違っても「塾生が授業時間のみしかおらず、他もめったに寄りつかないような塾」には入れないことですね(笑)

 

ただ、環境は運の要素があまりに大きいです。

学校や塾は、いくら事前に選んでも、相性の良し悪しなどの細かい部分は入ってみなければ分からないですし、良い友人や力のある先生との出会いも運の要素がほとんどです。

それに、同じ環境でも影響を受ける子供と受けない子供がいるわけですから、環境が全てと言うわけでもありません。

 

それ以外の大事な要素のうち「コントロールできるもの」と言えば、やはり「親御さんの日頃の関わり方」です。

そのあたりの詳細が文章中からは分からないのが残念ですが、おそらくは親御さんの関わり方にも良い点が大いにあったのでしょう。

(少なくとも塾に毎日お弁当を届けるような大変なサポートをされていたのは間違い無いですね)

 

ただ、実際の「自主性を引き出す関わり方」はいくつもあって、最適な方法も生徒に合わせて無限に変わりますから、これを論じるのは大変なことです。

ここで具体例をいくつか挙げたところで、「運良く」当てはまる方にしか意味が無く、それでは上の環境の話と大して変わりありません。

ここで親御さん自身が運任せに走っては、子供に「運任せにせず、実力で運を切り開く生き方」「人事を尽くして幸運を掴みとる力」を伝える資格は無いですよね。

そもそも「運か努力のどちらか(または両方とも)が問われる」のは、勉強でも仕事でも人生でも通じる真理の1つですから、ここは親御さんも運任せにせず、可能な範囲で工夫や努力をされていってくださいね。

 

ところで、今回の例で「かなり多くのご家庭に当てはまる重要なポイント」について、皆様に気づいていただきたい点が1つあります。

それが何か分かるでしょうか?

実はこれこそが、生徒の自主性を引き出すために、とても大切なことなのですが・・・

「えっ? いったいどこなの?」と思われた方は、もう少しだけ読み続けてみてください(笑)

 

続きは「正会員の専用書庫」でどうぞ。

 

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楠木塾長

指導歴20年以上のプロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行う。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。