ポっちゃんママ様から、お寄せいただいた教育相談のご紹介です。


 

中1の息子です。
小学生のときは自主性はないものの、こちらから声をかければ学校や学研教室の宿題に素直に取り組んでいて、学習習慣や基礎的な学力はついていると思っていました。

ところが中1の6月になり、態度ががらりとかわりました。
入学後、体育祭、中間テストと緊張しどおしだった気持ちが緩んだのか、部活が本格化して疲れたのか、思春期のイライラか、新しい友達の影響なのか、「勉強なんて無駄」といいだし、かたくなに勉強せず、ゲームばかりするようになりました。
これまでとの態度の変化に親はついていけずあぜんとしています。
たぶん、反抗期になり、親を否定=勉強を否定になっているのではと思いますが、どう話せば彼の心に届くのかよくわかりません。

今週期末テスト前で部活が停止になり、さすがにまずいと思ったのか、ワークを引っ張り出して、答えを見ながらやっていましたが…。
無理に勉強させようとしても、普通なら解ける小学生レベルの問題にわざと間違った答えを書くという状態なので、塾に入れるのは今のところ無理だと思います。
親としては成績そのものよりも、やるべきときには、誘惑に負けず、やるべきことをやってほしいだけなのですが。
ちなみに、機嫌のいい時は勉強以外のことでは話もしてくれるし、友達を家に連れて来たりもしています。
アドバイスいただければ幸いです。長文失礼しました。

 


 

中学生になると、ご家庭内での態度が大きく変わるようなケースもあり、今回はまさに急激な変化だったようですから、親御さんとしても当惑されたと思います。

ある程度の時間が経ってくれば、親御さんのほうでも心の切り替えが進み、関わり方を含めた技術的な対応もできるようになってきますが、急に変わった直後にそれをするのはさすがに難しいですよね。

今が過渡期とも言えますから、そういう意味では、お子さんだけで無く、親御さんにとっても余計にご苦労は多いと思います。

 

さて、最初にちらりと書かれていた「学習習慣」についてですが、お書きになられていた状況ですと、全く学習習慣はつかないですね。

小学生の親御さんも含めて、誤解されている方がとても多いところですが・・・この問題を議論しだすと話が止めど無くなりますから、今週のメールマガジンに譲りたいと思います。

→ 「子供につけたはずの学習習慣が消える時」 (正会員向け)

ここではいったん流して、続きの内容に入っていきますね。

 

本題の「どう話せば彼の心に届くのか」ですが、これは「言葉の選び方」の問題の前に、まず「相手の心を理解し、共感してやること」が第一です。

とりあえず今回の場合で親御さんがすべきことについて言えば、「入学後、体育祭、中間テストと緊張しどおしだった気持ちが緩んだのか、部活が本格化して疲れたのか、思春期のイライラか、新しい友達の影響なのか」の部分をちゃんと把握する(または、把握しようと精一杯努める)ことからですね。

なぜなら、ここが分からないのは、すなわち「子供のことを見ることができていない」状態と言えるからです。

(反抗期は「手を掛ける」ことは減らすにしても、「目をかける」ことはむしろ前以上に必要になってきます)

 

反抗期ともなれば、気に入らない相手や言葉に対して、わざと「逆」の行動をとることも出てきますし、たとえもとはそれが本人が本当に望むことでは無かったとしても、ただ反発心から「そうしたくなってしまう」こともあるものです。

私たちでも、自分の気持ちを理解してくれない人の言葉に耳を貸したいとは思えないですよね?

例えば、毎日家事に育児に仕事に頑張っている妻に対して、仕事だけで何も手伝わない夫が「もっとしっかりしてよ」と文句でも言えば、その後に慌てて「こうしてみたら?」とアドバイスのようなことを言って来ても、聞く耳持たずになります。

それどころか、時には一気に不満が爆発して「だったら自分でしてよ!」と、今までしていたはずのことさえしなくなってしまうことまでありますよね。(←今までの自分の意思と反対のことをしていますね)

反抗期以降、こういった感じ方も大人に近づいていきますから、自分の立場に置き換えて考えることがますます有効になっていきます。

こちらの思いを心に届けることの前に、ぜひ「お子さんの思いを自分の心に届かせる」ことをしてみてから、その後で改めて、お子さんの心に自分の思いを届けることをしてみてくださいね。

 

なお、まるで「子供の気持ちが分かっていない」と指摘するような書き方になってしまいましたが、全くそんなことは無いと思いますよ。

機嫌の良い時の態度などを見ても、むしろ親子関係は良い状態だと思いますし、お子さんもお母様のことを信頼してくれていると思います。

ただ、おそらく「勉強」に関してだけは、「僕の気持ちを全く分かってくれない」のように感じている可能性が高いのでは無いかと思うわけですね。

そして、上に書いたような関わり方(=大人扱い)をしてあげれば、少なくとも「小学生レベルの問題にわざと間違った答えを書く」ような子供じみたことはしなくなるでしょう。

 

夏休みで、お子さんと関わる時間が増えるため、トラブルも増えやすくなりますが、関係改善(再構築)のチャンスでもあります。

メールセミナー等も参考にしていただきながら、上手に関わり方を切り替えていってくださいね。

 

なお、「親としては成績そのものよりも、やるべきときには、誘惑に負けず、やるべきことをやってほしい」については、まったくもっておっしゃるとおりなのですが、論点が全く異なるため、今回は横に置いておきます。

そう言いますのは、例えばお子さんが誘惑に負けずやるべきことをこなしても、嫌々やるせいで成績が下がり続ければ、「やるからにはしっかりやってほしい」と思うのが親心ですよね(笑)

とりあえず、「本当に成績がボロボロになっても、**ができてさえいれば幸せ満面でいられる」くらいで無い限り、「成績よりも**のほうが大事」のフレーズは、お子さんの目の前では使わないほうが賢明ですね。

このあたりも「心に届く言い方」に関係してくるとは思いますが、今回のように勉強以外の親子関係が良い場合は、伝え方や言葉選びなどそこまで技術的なことを気にしなくても改善しやすいですから、まずは上の話を参考にしてみてくださいね。

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楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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