はじめまして。大阪市在住の中学1年生の息子を持つ母親です。つい先ほど、こちらのブログにたどりつきました。
高校受験のために、良い問題集を3冊完璧にできればば…と書いておられましたが、
その良い問題集、というものがわかりませんので(親の力不足で…)
ずばり 教えていただきたいです。
今の息子は忙しく疲れた様子ですので、できるだけ
回り道することなく、効率よく受験準備をさせてあげられればと思っております。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
今回は「ずばり、お答えできません」が答えとなります(笑)
決して、出し惜しみや意地悪でこう言っているわけではありませんよ。
本当に、お答えのしようが無いのです。
世の中に問題集は数え切れないほどあり、大型の書店にズラーっと並ぶ山のような教材さえ、全体から見れば「一部」に過ぎません。
もちろん、粗悪な問題集もたくさんありますが、基本的にはどれも出版社や教材会社が知恵を出して作っているものであり、わざわざ一定のコストをかけて書店に並べているわけですから、ゴミのような教材ばかりと言う事もありません。
そのまま使っても効果的な教材もありますし、一般の生徒には合わないだけで特定の生徒にとっては良い教材もあれば、特定の使い方をすれば良い教材になるようなものもたくさんあります。
しかし、残念ながら「誰が使っても100%良い教材」は存在しないのです。
病気で薬がほしい時、どれだけ薬局にたくさん薬が並んでいても、病院で正しい診察を元に処方してくれる薬が一番効きますよね?
もちろん、病院で出される薬は効果自体が強いわけですが、効果が強い薬は副作用も強いわけですから、それを正しく使えるのはそもそもの医師の診断や処方があってこそです。
それに、薬の場合は薬局で慎重に選べば良い薬が手に入りますが、問題集の場合は薬のように「効用」が書いてありませんから、頭痛で困っているのに目薬を買うようなことを知らずにしてしまっている生徒や親御さんは多いです。
ここで良く効く薬を3つだけ書いても、それが例えば「目薬、頭痛薬、湿布薬」の組み合わせであれば、風邪の人やお腹が痛い人には全く意味が無いどころか、むしろ「有害」な情報になってしまいますよね。
それに、同じ目薬でも、花粉症やアレルギーなどのかゆみに効くものと、充血に効くものと、かすみ目や疲れ目に効くものと、特定の病気に効くものと・・・では全く違ってきます。
さらに問題集の場合は、症状別で明確な区分けがしてあるものは少ないですから、どうしても使い方などの「使用上の注意点」とセットで話さなければならず、余計に分かりにくいわけです。
本当に必要なのは「良い問題集」では無く、「その子に合った良い問題集」です。
3冊で済むのも、その大前提があるからで、そうで無ければ10冊やっても足りないと言う話になってしまいます。
実際、成績優秀な生徒ほど、いくつか実物を見比べたり使ってみたりして、自分に合うものを見つける作業をしているものです。
今回の疑問は、プロでもお答えできないものと言いますか、むしろプロだからこそお答えできない鋭いご質問です。
ここで相手も見ずにいい加減なことを口にすれば、その時点で私にプロの資格はありませんから、良い意味での絵踏になっていると言えるでしょう。(それをするような場合は、教材会社の回し者であるか、どこかから広告料をもらっているかを疑った方が良いでしょう)
そのため、親御さんの力不足などと言う事も絶対に無いですから、ご安心くださいませ。
私も、かなりの数の教材を1つ1つ全て目を通して判断していますが、それでも在庫や仕入れの関係で書店には置いていないものも多く、見ることのできていないものもまだまだたくさんあります。
おそらく、世にある全ての教材を全て見ている人間は存在しないはずですが、私もその1人ですから、ネット上などのおおっぴらな場所で「これが理想の教材だ」「この教材は絶対に使ってはいけない」などと、その商品の評判や売上に関わるようなことを、偉そうに語ることは恥ずかしくてできません。
そのため、非公開の正会員ページ内でしかご紹介していないわけですが、そこでしているのも「これはこういう意図で作ってある問題集だから、こういう現状の生徒や、こういった力をつけたい生徒に向いています」と補足付きでお知らせすることです。
目指しているのは「この教科はこれにしましょう」と断定するのでは無く、あくまでも「これこれの段階の生徒には、こういった選択肢がありますよ」と提案することなのですね。
ですから、5教科合わせるとかなりの冊数になってしまっていますし、ただ一方的に教材を教えるのでは無く、教えた中から選ぶ(=簡易的な診断と処方)までができるところまでを意図していますから、情報量が多すぎて、物理的に言ってもここでご紹介するのは到底不可能なわけです。
もし、そういった事情を全て抜きにして、強引にどれか1つだけ選べと言われたら、とりあえず定番のニューコースのあたりを選ぶでしょう。
なぜなら、昔からのロングセラーで信頼性も高く、内容も良質で教科による当たり外れも比較的少ないなど、「誰が使っても大きな失敗は少ない(=薬で言えば副作用の心配が少ない)」からですね。
しかし、市販の総合感冒薬よりも、医者が症状に合わせて出す薬のほうが良く効くように、汎用性の高い教材だけだと、大きな効果を上げさせるのは難しいものです。
現実の生徒たちを見ても、これよりもっと基本的なものを使うべき生徒もいれば、逆にこれでは簡単すぎる生徒もたくさんいるわけで、単純に「とにかくこれを使いましょう」などと奨めると、合わない生徒のほうがはるかに多くなります。
このように、一般的に言えば良質なはずの教材を選んでも、使う生徒次第で短所や問題点は山ほど出てくるわけですから、生徒の学力状況や個性を踏まえないで決めても、あまり意味が無いわけですね。
ちなみに、3つと言うのはもちろん各教科で3つずつなのですが、それでは実際に5教科で15冊もいるかと言えば、そんなにいらない子もいますし、逆にそれでは足りない子もいます。
それに、定期テスト対策と入試対策とでは違う教材が必要になることもありますし、歴史、地理、公民のように1教科で3冊に分かれているものもありますからね(笑)
細かいことを言い出すとキリが無いわけですが、一般的に言えば「基本」「実践」「弱点克服か応用」の3つ(プラス過去問)を生徒のレベルに合わせて選べば、おおよそ大丈夫なのは事実です。
なお、今回の場合はまだ中1ですから、大前提として「定期テスト対策」なのか「入試対策」なのかをきちんと分けて考えるようにしたほうが良いでしょう。
ご覧になった記事は「入試対策」の話のはずで、定期テスト対策の場合は問題集の使用自体が間違いの場合も出てきますから、混同なさらないでくださいね。
ご期待に沿う答えにはなっておらず、申し訳ございませんでした。
どこか一部でも参考にしていただける点がございましたら幸いです。
楠木塾長
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