「勉強って役に立つの?」というのは、とても多い疑問ですね。

 

はっきり言いましょう。

社会に出てからは、あまり役に立ちません。

正確に言えば、「役に立つこともあるが、立たない内容のほうがはるかに多い」です。

 

学校の勉強は、9年もかけて行います。

その全てが無駄だと考える生徒はいないはずです。

役に立つ内容や、知らないと困る内容もたくさんありますよね。

 

ところが、中学で習う内容は、正直微妙なものが多くなってきます。

もちろん、「役立つ場面はどこかにある!」と言う先生もいますし、全く役に立たないとまでは誰にも言えません。

そんなことは生徒の皆さんも分かっていますよね。

しかし、問題はそれが「苦労に見合った成果」であるかと言う事です。

 

人生において時間は無限ではありません。

年をとると「あれもこれもやっておけばよかった・・・」と思うものです。

しかし、それらが本当にやる価値があったかどうかは別問題です。

 

医学部に行っておけばよかった、

法学部にも行っておけばよかった、

経済学部にも行くべきだった・・・

などと、全部受験していたら、全てを卒業する頃には定年になってしまいますよね(笑)

 

人間誰しも、全てを手に入れることはできないのです。

「長時間のつまらない授業を聞かされ、無理やりテストや追試で追われる・・・」

そうやって必死になって勉強するだけの価値があるかという話です。

 

そうなると、答えはもちろん「No」です。

小学校で習う内容は、まだわりと一般常識っぽいものが多いです。

しかし、中学校で習う内容となると、社会に出てから役立たないものが多くなります。

高校にいたってはほとんど役に立ちません。

 

ところが、学校の勉強は一部の人にはものすごく役に立ちます。

その最大の例が「大学に進んで、そのまま研究者になるような人」ですね。

 

数学者を目指す人にとって、中学や高校で習う数学は絶対に通らないといけない道です。

歴史の研究者になりたい人にとって、中学や高校の歴史が役に立たないことはありえません。

化学や薬学の専門家にとって、中学や高校の理科の内容は土台になっています。

 

今の日本は「技術立国」とも言われていて、世界から見て優れた技術力があるから今の裕福な暮らしができるわけです。

その技術力を支えているのは、小中高大と順調に進んでいって科学者や研究者になったような優れた人たちです。

そういう人たちを選抜し、育てるのが今の教育のシステムなのですね。

(そしてもう1つ、国や政治を動かす官僚を含めたエリートを育てることも目的です)

 

ですから、「勉強」は意味が無いように見えて、実はきちんと役目を果たしているのです。

ところが、科学者や研究者、一部のエリートなどになれない多くの人にとっては、あまり役に立たない知識のほうが多くなってしまいます。

一部の優秀な人を選抜し、育てるために、そうとは言えない大多数の人たちに、必ずしも必要とは言えないことまで教える仕組みになっているわけです。

不条理なことですが、それが今の日本社会の仕組みなのですね。

 

しかし、勉強すること自体は無駄にはなりません。

勉強を通して「勉強のやり方」が・・・もっと言えば「賢くなる方法」が身につきます。

これは生きていく上でとても大切な力ですよね。

 

また、勉強を通して、うまく頭を鍛えることができると、それがそのままあなたの能力アップにつながります。

(逆に言えば、うまく頭を鍛えることのできないパターンもあるということです。だからこそ、あなたの能力自体を育てない、ドーピングのような勉強法をしてはいけません)

 

それに、勉強をしない代わりに空いた時間で「本当に役立つこと」ができますか?

ほとんどの人は、携帯やゲームやマンガ、睡眠などに時間を浪費してしまうはずです。

しかし、いくら今のあなたには役に立たないように思えても、あなたが将来就く可能性のある様々な職種においては、小中学校で習う知識が基礎として必須なものも多いです。

勉強をしない代わりに無駄に過ごすよりは、ずっと役立つ可能性があるのが「勉強」なのですね。

 

将来の設計図が確固として決まっているようなバイタリティあふれるような人には、確かに勉強など邪魔なだけでしょう。

そういう人はそちらにエネルギーを費やせば良いと思います。

しかし、特にやりたいことも将来の設計図も決まってないような人が「勉強なんか意味があるの?」と聞くならば、「勉強は意味が薄いけど、勉強よりも価値のあることを何か他にやれるの?」と聞きたいです。

勉強くらい幅広く将来の可能性として役立てるものを見つけるのは、なかなか難しいですよ。

何より、勉強をしていれば、少なくとも高校や専門学校、大学などへと進めますから、就職率が上がって将来の収入は増える「可能性」が高くなります。

(あくまでも可能性です。そうならないこともたくさんあります)

 

「教育は最大の投資」などと言いますが、実際のところ勉強はちゃんとやると、かなりのリターンが期待できるものです。

公務員への批判はいろいろありますが、しっかり勉強して国家公務員1種に受かれば一生食うのには困らないですしね。

リストラも倒産も無いため、ある意味では最強です(笑)

学歴重視はかなり薄れてきたとはいえ、まだまだ多くの企業では学歴の良い人ほど就職に有利なのが、今の日本の悲しい現実です。

そのため、役立つかどうかと言えば、「そんなに役立たない」けれども勉強以上に役立つことができないのであれば、学生である以上、勉強をしておくのが筋だと言えるわけですね。

 

まずは学校の勉強を通して「勉強のやり方」「学び方」を身につけてください。

自分で計画を立て、実行し、修正を加え、結果を出し、足りない部分は反省しながら成功体験を積み重ねていく・・・

いきなりは難しいかもしれませんが、これが勉強を通して身につけるべき「生きる力」の1つです。

 

今は「ああ、そうなんだ」くらいに思っておいてください。

また詳しく話す機会もあるでしょう。

 

○ 参考:勉強する理由や目的についても考えてみましょう。

勉強するのは何のためか

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楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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