毎年「行ける高校が無い」と悩む方が一定数います。

子供のあまりの成績の悪さに切実な思いの親御さんもおられますし、学校や塾で「お前には行けるところが無い!」と冷たいことを言われて、自信を無くしてしまっている生徒もいます。

 

しかし、少子化が進んだ現在では、本当の意味で「行ける高校が全く無い」ということはありません。

もちろん、「行きたい高校の中で、行ける高校が無い」「偏差値**以上の高校の中で、行ける高校が無い」ということはありますが、そういった条件をつけなければ、行ける高校は必ずあります。

ですから、厳密に言ったら、「行ける高校がない」と言ったその先生は、嘘を言っていることになりますね。

 

○ 参考:行ける高校がなくなる最大の要因は通知表(内申点)です。

通知表が上がらない理由

 

「行ける高校がない」と言うことで発奮を促すことも

先に、指導する側の立場から解説をしておきますと、「行ける高校が無い」と思わせることで危機感を煽り、生徒の発奮を促す狙いで言うケースがあります。

勉強をサボってひどい成績をとった生徒に、「大丈夫、行ける高校はあるよ」などと本当のことを言えば、その生徒はますますサボって、本当なら入れたはずの高校以下の、さらにひどい高校に進むことになるでしょう。

それに、その「行ける高校」というのが、誰も行きたくないような問題ばかりの底辺校しか近くにない・・・という場合もあるわけで、それで「大丈夫、行ける高校はあるよ」とは、普通なかなか言えません。

 

しかし、本人に「もう自分は駄目だ」と思わせて逆効果になるケースもありますし、「どうせ頑張っても意味が無い」と開き直り、問題行動に走らせてしまうようなケースもありますから、指導法としては必ずしも良い方法とも言えません。

また、生徒には全く何の効果も無く、保護者の方にばかり響いてしまい、子供に「もっと勉強しなさい」と言わせる原因となり、余計に子供を勉強嫌いや反抗的にさせてしまうような悪循環を生み出しているケースもあります。

危機感を煽った後で、効果的なアプローチを段階的にかけていくのであれば良いのですが、単に危機感を煽るだけで放置する、思慮に欠ける指導もありますから、指導を受ける側は注意してください。

 

公立高校で「行ける高校がない」というケースも

また、これとは少し違った、「公立高校の中に、行ける高校が無い」のニュアンスで悩まれる方もたくさんおられます。

こちらは生徒の悩みと言うよりも、家計等の事情で私立高校に通わせられない保護者の方が、何とか公立高校に行かせたいと思って悩むケースですね。

本当に公立高校は全く駄目なのかは、上のような事情だけで無く、ここには書けないような他の様々な裏事情もありますし(笑)、地域によって公立校の数や人気の違いがとても大きいため、一般的な話として語ることができません。

ただ、そうした不安につけこんで、学校が不適切としか言いようが無い進路指導を行う場面もありますし、塾が高額な授業や講習などに呼びこむ場面もあるのは事実です。

普通であれば絶対に行かせないだろう、20万、30万とするような高額の講習に子供を通わせてしまうのも、お子さんよりも親御さんのほうが焦って追い詰められているご家庭に多いです。

 

とりあえず、生徒自身が悩んで検索するのと、親御さんが悩んで検索するのとでは、求める情報やアドバイスも違うものになってきます。

そこで、昔生徒向けに書いた記事がありますから、参考までに以下に再掲しておきます。

 

○ 参考:行ける高校を増やすための受験対策はこちら。

受験勉強はどうやってやる?(中2生からの質問)

 

「行ける高校が無い」は本当か?

「行ける高校が無い」のキーワードで検索がありました。なかなか切実な状況ですね(笑)

ここで「笑」をつけるのは不謹慎ですが、それには理由があります。

なぜならば、本当に行けない高校が無い状態は、まずあり得ないからです。

 

オール1でも行ける高校:高校受験の定員割れの実情

今や少子化の影響で、多くの公立高校が定員割れしている状態です。

ある程度学力が低くても、定員割れしていれば、大抵は受かってしまいます。

そのため、普通だったら行く先が無いと言われているオール1の生徒でも、受ければ受かってしまう可能性があります。

 

ただ、少子化でそういった問題が増加したこともあり、「著しく問題のある生徒については、たとえ定員割れでも不合格にしても良い」としている地域や学校も最近は出てきています。

そして、肝心の「著しく問題のある生徒」とは、いわゆる素行不良の生徒が対象となるわけですが、そういう生徒は内申点も悪いことが普通ですよね。

そのため、オール1を取るような状態だと、「何か問題があるに決まっている」と推測されて、門前払いをされるケースもあるにはあります。

 

なお、最近では不登校を理由にしたオール1も増えており、こちらの場合だと一定の情状酌量をされることもあります。

特に、いじめや健康上の理由により不登校となった生徒については、上の「著しく問題のある生徒」にはそもそも当てはまらないわけですから、対応も違ってきます。

実際には、内申書に先生が事情を書き添えるケースが普通ですが、自分で追加の書面を添付する場合もあり、高校側の具体的な対応も地域や学校によってまちまちです。

いずれにしても、昔よりもフォロー体制ができつつありますから、すぐに諦めず周囲に相談するようにしてみてください。

 

オール2でも行ける高校

オール2でも「行ける高校が無い」というのが一般的な感覚ですよね。

ただ、こちらはオール1と違って、内申点を理由に進学できないことはほとんどありません。

定員割れしていれば、ほぼ確実に合格しますし、内申点が悪くても、得点次第でどうにかなるケースもあります。

 

また、私立高校でも、上位コースはともかくとして、そうでないコースでは、ほとんどボーダーフリー状態です。

私立は生徒が減ると経営が成り立ちませんから、多少成績が悪くても入れてしまうのが現実です。(あくまでもコースによります)

風紀を乱す可能性のあるオール1の生徒はさすがに敬遠されますが、オール2以上の生徒なら、絶望的というほどのことはありません。

 

成績が悪くても行ける高校はある

成績基準がゆるいという点では、定時制高校や単位制高校などがあります。

これらは全日制よりもかなり基準がゆるいですから、多くの生徒が入学可能です。

また、たとえオール1であっても、通信制高校だったら、ほぼ無条件で入れますし、不登校であっても、不登校児のための高校というのが存在します。

こういったものまで含めれば、今の時代「入れる高校が無い」ということは「無い」ですから、諦める必要は全くありません。

 

そういう意味では「高校に行けないかもしれない」と心配するのに時間を使うのはもったいないです。

同じ時間を、今からの成績アップに使うほうが、はるかに道は開けます。(通知表が間に合わないなら、入試当日の得点アップを目指しても良いですし、中学を卒業してからでも役立つ勉強をしても良いです)

 

なお、人によっては、レベルの高い高校へ行かないと進路がそこで途切れてしまうようなイメージもあるかもしれません。

しかし、自分で勉強する気になりさえすれば、下手に実力以上の高校に進んでドロップアウトしてしまう生徒も毎年必ずいます。

それを考えると、自分に合った学校に進学し、自分に合ったやり方で努力したほうが、結果は良くなる可能性もあるほどです。

 

高校に行かずに大学に進む道もある

さらに極端な方法を言えば、高校へ行かずに、高認(昔の大検)から大学受験する道もあります。

これなどは、下手な高校に進んで強制的、かつ、効率の悪い指導を受けるよりも、ずっと効果的に受験できるため、むしろ学力上位層にはお奨めの方法だと言えます。

ただ、こういった特殊な道は本人の意志の強さが鍵となります。

やる気が無いと、それこそどこまででも落ちていけますからね。

 

今の時代、高校に行きたいと思えば、方法はいくらでもあります。

本当に進学できないのは「行く方法を知らない」か「そもそも、行きたいと本人が思っていない」かのどちらかです。

(そして今あなたは、行く方法があることを知ってしまいましたから、あとは意思の問題です)

 

良い高校に進むメリット

進学校に進むメリットとして、他の高校よりも指導がしっかりしているのが一般的なイメージですが、それは正直大して差がありません。

実際に高校に進むと、進学校でも下手な授業をする先生は多いですし、多くは高校に入ってまで塾通いしていますよね。

進学校に進む本当のメリットは、大学進学を目指す同じレベルの生徒に囲まれるという「環境」そのものにあります。

 

大人になり、ビジネスの世界に足を踏み込むと分かりますが、成功を目指す人達は、成功者と一緒の時間を過ごすために大金を投資します。

何か素晴らしい指導を受けたり、特別な物をもらうためにではなく、ただ「一緒に時間を過ごすためだけ」にです。

これは、成功者と一緒にいる「環境」や、その人たちとの「つながり」が、自分を成功に導いてくれると知っているからですね。

 

人間は弱い生き物です。

自分1人の意志の力だけでは、途中で諦めてしまうことがほとんどです。

しかし、周りから刺激を受けながらだと、自分の力以上の力を発揮することができるようになるのですね。

 

レベルの高い高校に行くこと自体に大して意味はありません。

問題は、そこで何をなすかです。

高校は、進路という点で見れば、ただの通過点に過ぎないのですね。

 

ただ、個人的には「高校生活」の時間自体が大きな意味を持つと思いますから、充実した時間が過ごせるような高校を選ぶことも大事な観点の1つになると思います。

そこで学んだ勉強は、社会に出ると大して役に立たないことがほとんどですが、得られる経験と友人たちは一生の財産になりますからね。

 

行ける高校はあります。

大事なのは、行きたい高校があるかどうか、そしてそこで何を学び、得るかです。

自分に合った良い高校が見つかることを願っています。

 

○ 参考:受験校選びの情報はこちらにも。

公立高校と私立高校のどちらを選ぶか?

 

The following two tabs change content below.

楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

おすすめコンテンツ

楠木塾 メール会員
楠木塾 メール会員