YUKI様から、お寄せいただいたメッセージのご紹介です。

いつもお読みいただきまして、誠にありがとうございます。

英語を暗記科目と捉えている息子

反抗期で受験生の息子を抱え、先生のブログ、メルマガは示唆に富むと同時に、心の支えとなっています。
いつも、先生の例え話は素晴らしく、今回の苦手科目についても、母親業における苦手分野のお話で、子供の気持ちに寄り添った考え方ができるようになります。

反抗期で自発的なやる気がなかなか見られなかった息子ですが、志望校に受かるためには、苦手な英語をどうにかしないといけないと思うようになったらしく、ようやく、塾の合間に、避け続けてきた英語を先生に質問するようになってきました。
私にとっては、英語はむしろ理系に近く数学ととても似ている科目で、ルールに基づいて理屈で攻めて解くイメージがあるのですが、息子のように本当に数学が得意な人にとっては、ひらめき科目(数学)と暗記科目(英語)という全く違ったカテゴリーとして認識している気がします。
いつまでも、単語や熟語、構文がバラバラに存在していて、頭の中がぐっちゃぐっちゃなようなんです。論理的に考える訓練として意味もあるとされる数学なのに、得意な人はむしろ論理的に捉えていないような。
脳の仕組みってなんだか面白いと感じる今日この頃です。

親のできる勉強法について反応があまりないとのことですが、関わりたくてもとても関われる状態ではないため、塾の先生にお任せしている次第です。
私も関われたら、どんなに自分の気がラクかと願って止まないのですが…笑

今後とも、どうぞ迷える母たちを救って下さいますよう、お願いいたします。

 

○ 参考:英語の単語暗記の方法はこちらも。

中学英語 英単語の覚え方

 

塾長からのお礼とメッセージ

心の支えとまで言っていただき、誠にありがとうございます。

例え話はその都度のものですし、読み手の立場に合ったもので無ければ意味が無いですから、そのように具体的なご感想をいただけて嬉しく存じます。

 

さて、お子さんが塾の合間に質問するようになったのは、とても良い傾向ですね。

数ある「良い変化に向けたサイン」の1つと言えるもので、私の場合はそれを意図的に起こそうと、生徒に質問に来させるためにいろいろな網(罠?)を張って、あの手この手で聞きに来させる状態を作るようにします(笑)

後は、聞く対象の先生が、説明が分かりやすくて生徒の気持ちも分かる先生だと、なお良いですね。

 

ところで、「息子のように本当に数学が得意な人にとっては、ひらめき科目(数学)と暗記科目(英語)という全く違ったカテゴリーとして認識している気がします」はとても示唆に富む内容ですね。

2つの視点があるため、分けて書いていきます。

 

英語は暗記科目?それとも数学に似ていて理系的?

まず、おっしゃるような「英語はむしろ理系に近い」と感じるのは、数学が得意な人にとっても同じです。

ただし、英語は理系的な側面がある一方で、本質的には厳然たる暗記科目ですから、人によって見方や感じ方が変わる科目であるのは事実です。

(そもそも科目と言うより、単なる一言語ですからね)

 

率直なところを言ってしまうと、中学英語のほとんどは「暗記」です。

「apple」が「りんご」であるのも、「I」の後に来るbe動詞が「am」であるのも、動詞にはbe動詞と一般動詞があるのも、要は「そういうものだから覚えるしか無い」ものですよね。

そういったものは、長い英語の歴史(もとを辿ればラテン語なども含む)の中でそういうふうに決まっていったに過ぎず、数学や科学のように論理的に作り上げられたものではありません。

それこそ、生徒の「be動詞と一般動詞をわざわざ分けるのって意味無いよね。っていうか、むしろ面倒じゃない?」という素朴な疑問にも答えはありません(笑)

 

ただ、長い歴史の中で作られてきたからこそ、そこに一定のルールや規則性があるのも事実です。

実際に、文法を本格的に習うようになると、基本的なことさえ覚えれば、後は数学のように論理的に扱えるようになります。

さらに、いわゆる「英語の感覚」を身につければ、1つ1つ丸暗記するような手間のかかることをしなくても、何となくで正しい表現が出てくるようにもなっていきます。

(これなどは、まさにお子さんの言う「ひらめき科目」のようなところがありますよね)

 

翻って、お子さんの場合はまだ中学生ですから、文法を本格的に学んでもいませんし、英語の感覚も身についてはいません。

そうなると、英語を暗記科目と捉えても不思議はありませんし、実際にそう感じている生徒はたくさんいます。

そこから論理的な部分に気づかせていくことで、英語への苦手意識を減らせることもできるわけですが、わざと理系的な教え方をしてくれる先生がいないと難しいかもしれません。

私が実際に指導する場合にも、理系的な教え方と文系的な教え方を生徒に合わせて調整するようにしています。

実際には、小さい頃から英語が得意なままで先生になった完全に文系発想のタイプが多いですから、そういう先生しか近くにいなければ、お子さんが気づくのは高校に入ってからかもしれませんね。

 

○ 参考:高校受験に対応した英語の勉強法はこちら。

高校受験 英語の勉強法(公立高校入試対策)

 

数学を論理的に捉えていない?

次に、「論理的に考える訓練として意味もあるとされる数学なのに、得意な人はむしろ論理的に捉えていないような」についても、とても興味深い視点だと思います。

これは以前にも出てきた、十分条件と必要条件の話と言えば、分かる方もいるかもしれません。

 

数学は、訓練としての使い方をすれば有用ですが、訓練にならない使い方をすれば訓練にはなりません。

つまり、生徒も「論理的思考力を高める学び方」をしていなければ、「数学という教科をただ学ぶだけ」になることもあり得るわけですね。

(もちろん、同時に先生のほうも「教科としての数学をただ教えるだけ」ではなく、「論理的思考力を高める教え方」ができているかどうかが問われます)

 

分かりやすい例の1つは、数学を暗記で乗り切るようなやり方です。

これは、もともと一定以上の論理的思考力を持った生徒が、受験対策としてする分には有効ですが、そうで無い多くの生徒には、むしろ論理的思考力を駄目にする勉強法です。

これに限らず、その他のやり方でも「本質的に、生徒が論理的に頭を使っていない状態」であれば同じです。

もともと数学センスのある生徒が、途中で伸び悩んで凡人になってしまうのは、こういったところも関係していると言って良いでしょう。

 

ちなみに、「得意なのに論理的に捉えていない人」には、大きく分けて2通りがあります。

 

数学が得意なのに、論理的に捉えていない人

1つは、論理思考が無意識下か、ごく短い一瞬で終わってしまうため、表に出てこないタイプです。

つまり、「問題が簡単すぎるために、論理的に考える必要すら無い」場合もあるわけですね。

こちらの場合は、問題(数学に限らない)をぶつける際、極端に手間がかかる複雑なものにしてやれば、思考の過程を表面化させることができます。

あえてそうした後で、足りない部分や弱い部分を強化してやるのも、我々教師の役目の1つですね。(おそらく、そこまで意識している教師は少数派ですけれども)

 

もう1つは、実は本当に得意とは言えないタイプです。

ごく稀な例ですが、数学者の中には数学にだけ驚異的な力を発揮して、それ以外の論理思考はからっきしという人もいます。

それは例外として一般的な話をしますと、中学数学程度であれば、本当の意味での論理的思考力など無くとも正解できてしまいますから、この時点の数学の学力や出来だけで論理力の有無を判断するのは危険です。

実際、高校入試が抜群に良くできても、高校進学後に文系に転向する例はたくさんありますし、理系の一流大学を出ていても、論理思考が全くできない新人はたくさんいます。

 

そして、本当に論理思考が得意な人は、「ひらめき科目と暗記科目」や「文系科目と理系科目」のような一意的な分類はせず、どんなものであっても(たとえ部分的であろうと)論理的な扱いを試みます。

実際、英語や国語はもちろん、暗記の塊と言えそうな社会や理科の第二分野であっても、論理的な部分はかなり多岐に渡りますからね。

もちろん、勉強としての数学が得意なことと、論理的思考ができることとは違いますし、そもそも受験数学が得意なことと、本当に数学が得意なこととも違いますから、このあたりはややこしくなるため深入りしないでおきましょう(笑)

 

理系思考と文系思考、それぞれの良さがある

いろいろと書いてきましたが、決して「理系が優れていて文系が劣っている」と言う意味では全く無いため、これをお読みの皆様は誤解をされないようにお願いいたします。

理系思考と文系思考には「差異」はあっても「優劣」は無く、優劣が生まれるとすれば、生徒が進む道や人生の選択肢によって生じるというのが正しいでしょう。

実際、理系思考と文系思考にもそれぞれの良さがありますし、ある程度であればどちらも同時に身につけることが可能なものです。

最近は理系脳がもてはやされていますが、自分や子供の現状を否定するだけで無く、すでに持っているものをさらに伸ばすこと、そして、それをどう生かすかを考えることも大切な視点だと思います。

 

とりあえず、お子さんの英語については、数学が本当に得意かどうかや、英語が理系的かどうか以前に、「基本事項の理解と暗記ができていない」ことが、問題の本質のような気がします。

数学でも、定義や定理の暗記が必要なように、論理を使いこなすには、そのための道具となるものを自在に扱える事が必須条件です。

その上で、英語を理系的と捉えるような教え方(学び方)をすれば良いわけですから、段階を踏んで進めていってくださいね。

 

最後に、励ましとお気遣いのお言葉を誠にありがとうございました。

今後も参考にしていただける内容がお届けできるように精進して参りますね。

 

○ 参考:そもそも数学が暗記科目という捉え方もあります。

数学は暗記か?

 


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楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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