定期テストと切っても離せない、通知表(内申点)についての話題です。

話を広げるとややこしくなりますから、今回は特に中3に絞って書きましょう。

 

通知表が上がらない3つの理由

先に一般論を済ませておくと、通知表が上がらない場合、次の3つでほぼ説明がつきます。

  • テストの点数が足りない
  • 提出物の評価が十分でない
  • 先生からの印象が良くない

どれも完璧という生徒で、通知表が上がらないケースはめったにありません。

反対に、3つのうちのどれか1つでも心当たりがあれば、たとえ他が完璧でも通知表を下げられる理由になってしまいます。

もし当てはまるものがあれば、それを改善するのが次の通知表を上げる近道となるでしょう。

 

ただ、受験学年である中3になると、これだけでは説明のつかないケースが出てきます。

今回は、それについて見ていきましょう。

 

頑張っても通知表がなかなか上がらない理由

3期制の地域では、基本的に2学期までの通知表の結果が内申点に反映されます。

もちろん、建前上は3学期も反映されると言われるところもありますが、学校内で計算や調整をしてから高校に申し送りをする都合上、3学期の成績が揃うまで待っていては間に合いませんからね。

同様に、2期制の地域では、前期までの通知表の結果が内申点に反映されます。

こちらは、後期の中間テストくらいまで反映するところもありますが、基本的には前期までが勝負と思っておいたほうが良いでしょう。

 

それを踏まえて、これらの時期になると、定期テストや通知表の点数を上げるために、必死に頑張る姿を見かけるようになります。

ところが、中3になって今までよりも頑張ったのに、通知表が上がらなかったと嘆くことになるケースはとても多いです。

さらに、夏明けのテストや2学期の授業を頑張ったのに、成績が上がらなかったと涙をのむ生徒や親御さんはもっとたくさんいます。

実際に、これらは毎年当たり前のように起こる恒例行事と言っても良いです。

 

基本的に、中3になると誰もが頑張ります。

絶対評価と言いつつも、全員が頑張ったからと言って、本当に全員をオール5にしてしまっては、入試の判定基準としては役に立ちません。

そうなると、「頑張った」というだけではもはや上がりません。

「頑張っている」のは当たり前で、他の生徒以上に頑張ったかどうかが問題になるのですね。

 

マラソンや駅伝などで、ラストスパートをかけた選手が、一気に順位を上げるような映像はすぐに思い浮かぶと思います。

しかし、そうやって順位を上げる選手は特に早い一部の選手だけで、実際はみんながラストスパートをかけるのですから、そうそう順位は上がりません。

自分が頑張っているつもりでも、周りも同じように頑張っていれば、追いつき、追い越せるはずが無いのは当たり前のことですよね。

誰もが頑張っている中で、それ以上に目立って頑張っているような生徒でないと、上がりはしないのです。

 

これは厳しい言い方をすれば、「ちょっと頑張ったから上がるかも・・・」と期待してしまった時点で「気落ちすることが確定していた」と言えます。

それではどうするのが正しかったのでしょう?

 

○ 参考:通知表が上がらなかったケースはこちら。

4つの観点評価がオールAなのに5がつかない?

 

分かりきった危険と、その回避法を教えてあげる

「中3になってから頑張れば、ちゃんと通知表は上げられるよ」

こういう耳あたりの良いことを言うだけでは、現実にはとても太刀打ちできません。

 

「中3は他の学年と違い、中途半端に頑張ったくらいでは成績が上がらない」

「自分なりに頑張ったかどうかが問題ではなく、周りよりも目立って頑張ったかどうかが求められる」

まずはこういった事実を、分かりやすく正確に伝えてあげることです。

 

その上で・・・

「やるからには、これとこれを頑張りなさい。そうすれば、このくらいの結果は出せる」

何をどれだけやればどう上がるのかを、具体的に伝えてあげることが大切です。

 

もちろん、やる気の無い生徒に、いきなりこんな話をするのは早すぎますよ(笑)

しかし、生徒に少しやる気が出た段階で、「よし、やる気が出たな」と安心していては、とてもその先は望めません。

先を見据え、具体的に落とし込んでいくことでこそ、その後のやる気の継続を期待できるのですね。

 

これは本当なら教師の役割です。

とは言え、成績をつける側の学校の先生が言うのはおかしな話ですから、塾の先生が言うべきこととなります。

だからこそ、中3に受験を意識して塾を選ぶなら、こういった指導をしてくれるところが良いですね。

 

一方、それが塾に期待できないなら、親御さんが言わなければなりません。

それも、「何をどれだけどうやれば上がるのか」という話を、実現性が高い内容でせねばならないという、プロでも高いハードルを何とか超えながらです。

仮にそれをしてこなかったのならば、通知表や成績が上がらず、生徒(と親御さん)が落ち込んでいる現状は、「起きるべくして起きた」ものと言えるでしょう。

(厳しい内容ですが、この話は中3対象ですから、中1や中2とは次元が違うと思ってください)

 

ただし、学校でつけられた通知表が、必ず正しいものだとは絶対に思わないでください。

これは「先生も人の子だから、間違えることもある」という程度の軽い意味ではありませんよ。

通知表の評価それ自体が、入試以外には役に立たないものになってきているという意味です。

 

○ 参考:定期テストの教科別勉強法はこちら。

定期テスト(中間・期末)の勉強法[5教科]

 

通知表が正しいとは思わない

本来、通知表は生徒の頑張りや伸びを評価するものであるはずです。

しかし、今は「先生の言うとおりにやれていたか」「教師の望むとおりの子であるかどうか」を評価するものになっています。

 

課題をちゃんと出すと○

授業態度が良いと○

先生の言われたとおりに頑張ると○

先生に気に入られると○

 

結局のところ、「いわれたとおりに動く」生徒が良い評価を受けるようになっていますよね。

さらに細かい先生だと、課題の具体的なやり方にまで「これをやると通知表に評価します」などと言います。

親切のつもりかもしれませんが、これは冷静に考えると、「教師の思い通りの生徒」を作る行為そのものです。

 

今の子供はどんどんわがままになる一方ですが、それがしかも反抗期で余計に大変なのですから、まともに指導しようと思ったら、かなりの力が要求されます。

しかし一方で、そうした生徒と真正面から向き合えるだけの指導力や人間性を持った先生は、数えるほどしかいません。

ですから通知表や内申点といったものが、力の無い教師が無理やり生徒を押さえつけて言うことを聞かせるための武器になってしまっているのですね。

 

通知表や内申点が「伸ばす」ではなく、「押さえつける」「言うことをきかせる」ものであることを分かっていないと、大事な本質を見失うことになります。

つまり、通知表で良い成績を得ようとすればするほど、自分のお子さんに、押さえつけられ、言うことを聞かされることを求めることになります。

つまり、「受動的で、言われたとおりにこなす、あまり考えない人間として育て」と言うのに近い面もあるのですね。

 

もともと、学校は生徒の頭を良くするところであり、一定の学力を保証するところでした。

しかし、今はそんな期待はまったくできず、ただ「決められたカリキュラムをこなす」ところとなっています。

 

ただ、ここで単純に「学校の先生が悪い」と避難するつもりはありません。

実際には力のある先生もおられますし、勉強不足で力が無いにしても、出来る範囲で一生懸命に頑張る良心的な先生もおられます。

ただ、力のある先生は絶対数があまりに少ないですし、良心的なだけでは学力も上がらず、問題も解決しません。

そして、力も無く、良心的でも無い先生もたくさんいるの中では、結果的かつ総合的に、かなり多くの学校が「決められたカリキュラムをこなす」だけの場所になってしまっているのですね。

 

さらに、今の教育制度は、生徒の悪いところばかりを指摘するもので、長所を伸ばす指導にはなっていません。

よく言われる話ですが、世界的に有名な経営者たちは、抜群に飛び抜けた長所がある代わりに、短所もたくさん持っています。

スティーブ・ジョブズが経営者として優れていたことは誰でも知っていますが、性格的な問題で過去にいくつもの大きなトラブルも起こしています。

今の日本で飛び抜けた人物が出てこないのも、「出る杭を打つ(=長所をつぶす)」ような今の教育に問題があるのではないかと言う人もいます。

その是非はともかくとしても、「学校の先生」というある種の特殊な空間に生きている人の持っている「良い子」という常識を「押しつける」という行為は、広い社会から見れば「偏見」を押しつけているに等しい面もあるのですね。

 

もともと、通知表の評価方法は細かく決められています。

それでも微妙なところは、どうしても先生の感覚次第となりますから、好き嫌いで決まるようなケースもたくさんあります。

しかし、今の時代では、先生になる人が社会的に言う成功者や人格者というわけでも無いのですから、その評価基準も怪しいものです。

 

それに、時代の変化が激しいですから、我々大人の「常識」で判断しても、それが生徒の世代が大人になった時の「常識」だとは限りません。

年功序列で会社に忠誠を尽くすのが当たり前だと教えられてきた世代が、リストラに遭い、家族や住処も失ってさまようような現状を見ればお分かりいただけることです。

 

○ 参考:定期テスト対策についてはこちら。

定期テスト(中間・期末)で成績アップする、効率的な中学生の勉強法

 

通知表の持つ意味と、親としてすべきこと

特に今の公立中学校は、優秀な生徒から順に私立に進みがちですよね。

これはつまり、小学校で授業崩壊しているような生徒ほど、公立にそのまま上がってくることを意味します。

そうした中、「通知表」という武器でも無ければ、普通の教師ではまともに太刀打ち出来ない状態になってしまっています。

 

そのせいで、通知表の基準は昔よりもどんどん厳しくなっています。

例えば、課題は昔よりも確実に増えていますが、その1つ1つを評価されるため、生徒にとってはかなりの負担です。

毎日の宿題に加え、「自主学習」さえも強制され、しかもそのノートを評価されるという、ひどい管理教育です。

先生たちの余裕が無いからか、昔のように冗談が通じない先生も多く、ちょっとしたことで成績は下げられます。

そのくせ授業はお粗末で、ついてこれない生徒が大量発生する有様ですよね。

 

そもそも、生徒の成績が悪いなら、「悪い評価をつけざるを得ない自分」を反省するのが、教師としてあるべき態度ですよね。

それを踏まえて、授業で分かるようにしてあげるなり、居残りなどで指導するなり、個別に課題を与えるなり、いくらでもすべきことがあるはずです。

しかし、それをしないで、「2学期はもっとしっかりしなさい」などと口先だけで生徒の成長を願うようなことを言っているのですから、成績も上がるはずも無いですし、生徒から見透かされるのも当然でしょう。

 

生徒が言うことを聞かなくなったせいで、逆に締め付けが厳しくなっている面もあります。

また、教師が生徒の側に負担を押しつけるようになり、そのことで管理の手間が増えてますます自分の首を絞め、肝心の授業内容や指導力にまで気が回っていない面もあります。

もう本当に問題だらけです。

 

こうした状況の中で、はたして「良い通知表」を求めることが、本当に正しいことなのかは、かなりの疑問が残ります。

もちろん、受験のために必要なのは当然ですが、それを目指すがゆえに、生徒の人格形成や学力向上において大きなマイナスの影響を被っている場合もあり得るのです。

今の「良い大学→良い会社→幸せな人生」のレールが崩壊した現代で、そこまでして学歴にこだわる必要があるのでしょうか?

 

だからと言って、学歴が不要だと言うつもりもありませんよ。

良い高校や良い大学ほど、良い学習環境が得られやすいのも事実ですからね。

ただ、親としてどうしても特定の高校や、高学歴にこだわるのであれば、こうした諸問題を踏まえた上で、「それでも通知表が必要なんだよ」と納得させる話を生徒にしてあげることが必要です。

もう昔のように「通知表には絶対的な価値がある」「学校の先生は絶対に正しい」と言えるような時代環境では無いのですから。

 

少し話はずれますが、そうした中で1つだけ確信的に思うのは、「誰か1人は子供の味方をしてあげてほしい」ことですね。

1人の味方もいない中で勉強は頑張れないですし、それが引き金で何か問題が起これば、受験や進学どころの話では無くなってしまいます。

良い高校、良い大学も良いですが、まずはお子さんが真っ直ぐ育つことが大前提では無いでしょうか。

通知表や内申点の重要性を語りかける人はいくらでもいますが、それで子供を追い立て、うまく操ろうとする人はいても、子供の味方になってくれるような人はなかなかいません。

家族内で役割分担するなどして、せめて1人だけでも味方になってあげる人がいてほしいと、心から願います。

 

○ 参考:勉強法を親子で一緒に学ぶならこちらも。(正会員向け)

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楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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