計算力をつける方法については、対象学年によっても変わってきます。

今回は小学校低学年の場合を説明しましょう。

 

計算力の向上に必要なもの

小学校ではよく「百マス計算」が行われていますね。

最近では、インド式九九も話題になりました。

要するに、反復で暗記して使い慣れる方式のものです。

 

計算力の向上に反復は欠かせません。

ですから、百マス計算が有効であるのは間違い無いです。

 

しかし、ここにも条件(と言うより順番)があります。

何事も、対象となる生徒の発達段階に合わせてしなければならないのが学習指導です。

百マス計算を作って毎朝やらせるだけならば、別に素人でもできますからね(笑)

 

○ 参考:計算力につきものの、途中式の話はこちら。

途中式は書かないと駄目?

 

計算力のための反復練習の前に必要なもの

特に、低学年で計算力をつける際に気をつけるべきなのが「数の感覚を身につける」ことです。

ある偉人が小さい頃に「1+1=1じゃないの? 泥だんごと泥だんごを足すと大きな泥だんごが1つできるよ」と聞いて先生に怒られたという話は有名ですが、これなどはまさしく数の感覚というものをよく表しています。

 

この子供が大発明家になったように、こういった柔軟な発想ができるのは長所でこそあれ、短所ではありません。

ですから、それを頭ごなしに「1+1=2に決まっているんだ。覚えなさい!」などとやってしまうのは考えものです。

それは数学センスをつけるどころか、想像力などその子の他の才能の芽を摘むことにもなりかねません。

 

しかし、そのままでは日常生活が送れませんから、正すことも必要です。

その場合でも、あくまでその生徒が納得してから、次の段階に進むようにしたいですね。

少なくとも、うまく教えられないとすぐに「そういうものだから覚えなさい」と口にするような、いわゆる受験勉強で鍛えられた文系思考の暗記型先生では、数学センスを身につけることはできないわけです。

 

計算力があるように見えても注意が必要

数の感覚を言葉にして伝えるのは非常に難しいですし、低学年の生徒に「言葉」で伝えることはあまり意味がありません。

そのため、学校の指導では動物の絵などからはじめて、その後に抽象物(おはじきなど)を使って「1対1対応させる」ことを学んでいき、その後おはじきで足し算や引き算を視覚的、感覚的に掴ませて、最後は数字(数式)だけで思考や表現できるようにしていきます。

カリキュラム上はこうした道筋を通って指導しているのですが、実際に全ての生徒が授業内で理解できているわけではありません。

また、理解していても表面的なものにとどまっていることは多く、深く理解や納得できているとは限りません。

 

特に注意が必要なのは、計算ができていて正解をするけれども、数の感覚や式の意味がよく分かっていない生徒です。

操作だけ覚えて本質を理解していない、いわゆるマニュアル人間型の子供が増えていますから、将来を見据えるならば、じっくり丁寧に、感覚的に落とし込んでおきたいところです。

(これは、時間をかけて丁寧に教えさえすれば良いと言う意味ではありません)

 

計算力には感覚と反復の両方が必要

こうして感覚的に教える一方で、機械的な操作もマスターしなければいけません。

例えば「8+5=13」を計算するときに、小学校では「8はあと2あれば10になるため、5から2をとってきます。すると10ができて、残りは3ですね。よって合計は13になります」などと考え方を指導します。

こうやって文章で伝えると非常に分かりにくいですが、おはじきを使って目の前でやると分かりやすいです。

一応、式にすると「8+5=8+(2+3)=(8+2)+3=10+3=13」となりますね。

 

ただ、いくら考え方の基本はこうだとしても、この操作を問題が出る度にいちいち考えてやっていては時間が足りません。

特にテストのことを考えたら、できれば8+5=13が一瞬で出てくるように、反復練習で体で覚えさせたいわけです。

 

しかし、あくまでもこうした流れと数の意味を、事前に、または、同時並行的に理解させることが大切で、それをしないで、ただの丸暗記をさせてはいけません。

理解していないことを真似て覚えさせるのは、国語や英語などの言語学習、芸事やスポーツなどでは非常に有効ですが、こと低学年の算数に関して、誰でも安易にさせるのは避けるべきです。

その他のものだと、真似して覚えて実践しているうちにある程度の段階に到達し、「ああ、こういう意味だったのか」「こういうふうにするのは非常に効率の良い方法だったのだな」と後になって分かるものですよね。

 

○ 参考:数学の苦手のために算数をやろうとしている人はこちらも。

中学数学の苦手を克服するための、算数の復習のコツ

 

算数で、計算力をつける際に絶対に避けたいこと

しかし、算数の場合は数の感覚を身につけながらでないと文章題がまったく解けなくなり、早い段階で苦手になってしまいがちです。

そうすると、その「ある程度の段階」に到達する前に、苦手意識を持ったり嫌いになったりしてしまいます。

もちろん、1度嫌いになるとなかなか戻れませんから、これはできるだけ避けるべきです。

 

逆に数の感覚ばかりを鍛えて機械的な操作を教えないでいると、スピードが遅くて学校の授業についていけなくなります。

テストの点数もとれませんから、やはり算数が嫌いになってしまいやすいです。

 

公文式で思考力や応用力の無い生徒が育つケースもあるわけですが、これは機械的操作ばかりを覚えてしまったためです。

もちろん公文式もきちんとやれば数の感覚が身につくような構成になっているのですが、上にも書いたように感覚を身につけるのは時間がかかりますし、次々と解いていくのが楽しいスタイルの勉強法ですと、中にはどうしても機械的操作ばかり習熟してしまう生徒が出てきます。

そこをうまく調節できるような教師が傍についてくれれば良いですが、全ての教室にそこまで期待するのは難しいです。

そのため、前にも書いたように、同じ公文式でも場所選びが非常に大事になります。

同じテキストを同じシステムで教えていても、運用する人で全く違う結果が出るのが教育なのですね。

 

算数の計算は、反復練習と操作の意味の理解の2つを意識しよう

計算は、反復練習と操作の意味の理解を片手落ちにならないようにしてください。

もちろん、練習しているうちに理解が進むこともありますし、その逆もありますから、それぞれを最初から完璧にしようとは思わなくとも、徐々にで大丈夫です。

逆に、最初からどちらかを完璧にしようとするほうが、生徒には弊害が大きいですね。

 

学校や塾などで教えてもらう際にも、こういった点に注意してみてくださいね。

 

○ 参考:計算力につきものの、ケアレスミスの話はこちら。

ケアレスミス対策(減らし方、なくし方)

 

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楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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