ながら勉強は良いのか悪いのか?

ながら勉強と言っても、いろいろなものがありますよね。

例えば「書きながら」「声を出しながら」などの「ながら勉強」に効果があることは、かなり多くの人が実感しているでしょう。

かたや「音楽を聞きながら」「テレビを見ながら」といった「ながら勉強」は、大抵の人から否定されてしまいます。

 

けれども、実はこの境目はかなり曖昧です。

 

歌いながら勉強するのは良くない?

例えば、歌を歌いながら勉強する場合。

単に流行りの歌を口ずさみながら勉強しても、頭には入りにくくなるでしょう。

しかし、暗記事項を歌に乗せて口ずさんでいれば、それはそれで覚えてしまいそうですよね。

実際に替え歌で覚える暗記法も存在するくらいですから(笑)

 

音楽を聞きながら勉強するのは良くない?

例えば、音楽を聞きながら勉強する場合。

単に流行りの曲を聞くだけでは、そちらばかりに気がいってしまいそうです。

しかし、モーツァルトなどのクラシック音楽ならどうでしょう?

アルファ波が出て勉強がはかどるかもしれない・・・などと思う人もいるはずです。

 

また、最近の生徒には「あまりに静かだと集中できない」と言う子もいます。

時代の変化を感じますが、確かに今の時代は電気音や生活音が止まることはなく、静寂のほうが珍しいですよね。

そこを「慣れた環境のほうが集中できる」と言われれば、それはそれで納得してしまいそうです。

実際に、自分の勉強部屋よりも、リビングのほうが集中できるという生徒もいて、一時期それが流行った経緯もあります。

 

○ 参考:勉強法のウソとホントが分かる記事はこちらにも。

見て覚えるより、書いて覚えるべきか?

 

歌いながら、聞きながらなどの「ながら勉強」は悪いのか?

はたして「ながら勉強」は良いのでしょうか? 悪いのでしょうか?

 

答えはもちろん「時と場合によって変わる」です。

少しずるいような答えですが、真実ですからしかたありません(笑)

 

どんな物事でも必ず二面性があるものですよね。

世間で言われている勉強法についても、やはり二面性があるものです。

そもそも、1つの物事を善か悪かだけで論じるのは危険が大きいのですね。

 

これは生徒と接する時にも、とても大事な考え方です。

ある生徒の言動を見て、善か悪かを一概に決めるのはいけません。

犯罪者にも一分の理がある・・・という話では無いですよ(笑)

そんなに深いテーマでは無くて、もっと単純に「生徒にも二面性がある」のです。

  • 親や教師の前で見せる顔と、友達の前で見せる顔。
  • 好きな子の前で見せる顔と、嫌いな子の前で見せる顔。

 

外面だけでなく、内面もです。

  • 勉強を頑張りたいと思う自分と、勉強などしたくないと思う自分。
  • 親の言うことが正しいと思う自分と、親の言いなりになりたくない自分。

 

大人になるとこういった二面性と折り合いをつけ、どちらか一方の自分を選んだり、上手に使い分けたりできるようになります。

しかし、大人になる途中の彼ら、彼女らは、まだ上手に折り合いをつけることができないのです。

(自分たちが通った道なのに、大人は忘れてしまいますけれども)

 

・・・思いっきり話が横にそれました(笑)

私が言いたいのは、子供に対する親や教師の決めつけも、そして「ながら勉強は悪だ」という勉強法についての決めつけも、どちらも一面だけを見てしまっているということですね。

 

そして、特に中学生くらいの年頃は、この「半分だけの決めつけ」をとても不快に感じます。

言葉をちゃんと心に届けたいのならば、一面だけでなく二面両方を伝えてあげてください。

そしてどちらをとるかは自分で判断させるのです。

自分で判断し、自分で選択するのが「大人」なのですから。

 

もちろん自分の判断ですから、責任が伴うことも教えてあげてください。

うまくいったら手放しで褒めてあげれば良いですし、うまくいかなかったら責任を自覚させた上で、上手にフォローしてあげてください。

ともかく、そうやって大人扱いすることが生徒と同じ目線に立つ第一歩なのですね。

 

・・・とは言うものの、ここが反抗期前と後とで対応を変えないといけない、最も難しい部分の1つです。

特に母親は、今までいろいろな面倒を見てかわいがって育ててきたのですから、いきなり大人扱いなどできません。

家事や身の回りのことなど、自分のこともロクにできない子供が大人には見えませんよね?(笑)

ですから、こういったあたりを先生と分担していくのも1つの手です。

よく言うところの「父性と母性」を、機能しなくなった家庭内で分担するのではなく、先生と協力して分担するわけですね。

 

またまた話がずれましたから、強引に話を戻します(笑)

 

○ 参考:勉強法のウソとホントが分かる記事はこちらにも。

答えを丸写しする勉強は意味が無い?

 

音楽を聞いたり歌ったりが妨げにならない生徒もいる

音楽を聞きながらの勉強は決して「悪」ではありません。

なぜなら、そもそも人間は全くの無音では集中できないものだからです。

実際に、完全防音の空間に入れられると、集中力を欠き、学習効果が激減することも科学的に分かっています。

身の回りの雑音、BGM、小さな騒音も含めて、何らかの音が無いと人は集中することさえできないのですね。

そういう意味では、勉強の邪魔にならない種類の音楽であれば、そこまで目を尖らせる必要もありません。

 

また、音楽をかけながら勉強をしたほうが集中できるタイプの子もいるもので、そういう場合は気にせずやらせてあげて良いです。

例えば、仮にその子が手を動かしながら、同時に歌を口ずさんでいたとしても、その子の脳が勉強に集中していれば大丈夫です。

実は、脳の中で、音に関する処理と、書いたり考えたり覚えたりする他の処理とが同時並行でできる人もいて、子供がそういうタイプなら、音楽を聞いたり歌ったりする行為は邪魔になりません。

しかしもちろんですが、全く同じことをしていても、歌や音楽のほうに気を取られてしまって、脳が勉強のほうに集中できなくなる生徒もいるため注意が必要です。

 

大事なのは、歌を歌っているという「ぱっと見ただけで分かる表面的な様子」よりも、勉強の進み具合や頭への入り具合といった「ぱっと見ただけでは分からない頭の中の様子」を見てあげることです。

学習効果という観点で重要なのは「親や教師から見てどうか」ではなく、「その子の頭の中がどうか」ですよね。

ですから、もし本当に集中できているのであれば「さっき口ずさんでいたじゃない!集中しないなら音楽は止めなさい!」などと言う非難はしないでおきましょう。

 

○ 参考:勉強法のウソとホントが分かる記事はこちらにも。

調べ学習でコツコツ勉強すると頭によく入る?

 

何を優先するかは、生徒によって変わる

音楽を聞きながらだと、気が取られて集中できない生徒がいます。

反対に、音楽を聞きながらのほうが、集中できる生徒もいます。

 

歌いながら勉強しても問題ないと言いながら、実際は悪影響がある生徒もいます。

反対に、歌いながら勉強することで、勉強にリズムを作っている生徒もいます。

 

また、たとえ同じ生徒でも、音楽が集中を妨げる時と、集中を助ける時が分かれます。

もちろん、状況やタイミングも影響しますし、かかっているのがどういう音楽かによっても変わります。

 

そういったことも踏まえた上で、音楽が集中を妨げている生徒の場合は、早い段階で音楽をやめさせるか、または、集中できる種類の音楽を見つけさせるかするほうが良いでしょう。

反対に、音楽が集中を高める生徒の場合は、やめさせるのはむしろマイナスとなる場合もあることに気をつけてください。

なお、音楽が集中に影響しない(高めもしないし、邪魔にもならない)タイプの生徒から音楽を取り上げると、集中力には別にプラスもマイナスも無いわけですが、ストレスはみるみる高まりますから注意しましょう(笑)

いずれにしても、常識や思い込みといった枠にはめこむのではなく、そういった個々の生徒の特性を把握した上で、効果的になるようにやらせてあげるのが最善なのですね。

 

○ 参考:生徒の特性を把握した効果的な勉強法の話はこちらも。

勉強の理想的な復習間隔は?

 

無意識の「ながら勉強」にも気をつける

今回出てきた「歌いながら」「音楽を聞きながら」はもちろんのこと、「テレビを見ながら」「漫画を読みながら」「お菓子を食べながら」といった、ぱっと見て分かりやすい「ながら勉強」はすぐに見つかりますよね。

ところが、本人が全く意識しないところで、脳だけが認識している「ながら勉強」もあって、知らないうちに見逃してしまっているものがたくさんあります。

例えば、今回だと「歌を歌う」「音楽を聞く」ことが邪魔になるというところがスタート地点ですが、生徒によっては机の周りのごちゃごちゃしたポスターや飾りのほうが邪魔になることもあれば、椅子の座り心地や鉛筆の使い勝手の悪さのほうが邪魔になることもあります。

もっと分かりやすく言うと、無意識のうちに机の周りの景色に気を取られ「ながら」勉強している生徒もいれば、文房具の使い勝手に集中をそがれたりし「ながら」勉強している生徒もいるというわけですね。

つまり、周囲の環境のうち、その子の脳にとって集中や思考の妨げになるもの全てが「ながら勉強」だとも言えるのです。

 

ただし、当然これは個々の生徒によって全く違いますから、何が良くて何が悪いかを一概に決めつけるのは良くありません。

もちろん、同じ血を分けた親子であってもそれは同じで、親の脳は気になるけれども子供の脳は気にならないことや、反対に親の脳は気にならないのに子供の脳は気になってしかたないことも普通にあります。

そういう意味でも、大前提の話として、「生徒の頭の中がどうなっているか」を基準に判断して、集中を妨げてしまうものから優先的に排除していくことも意識してみてください。

その際に、こちらの勝手な決めつけではなく生徒の感じ方を最優先で見てみるようにすると、音楽が真っ先に消える生徒もいれば、音楽が残る生徒も出てくるというわけですね。

 

このあたり、結局は「学習環境づくり」をどうするかといった話にもつながってきます。

これはとてもとてもとても大事なテーマですから、またいつかじっくりと語ってみたいと思います。

もちろん、もっと根本的な「その生徒にはどういう勉強法が合うのか」といった話も、これまでどおりメールマガジンの中などで適宜取り上げていきますね。

 

○ 参考:勉強法のウソとホントが分かる記事はこちらにも。

徹夜でテスト勉強は良くない?

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楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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