計算力を上げるために必要なもの

計算力を構成するのは?

計算力を上げるには、「速さ」と「正確さ」の両方が求められます。

  • 計算の正確さ
  • 計算の速さ

いくら速く計算できても、ミスが多くては意味がありません。

いくら正確に計算できても、時間内に解けなくては意味がありません。

 

そのため、「どちらか」ではなく「どちらも」高めていきましょう。

 

計算力に求められる3つの視点

また、ここで求められる速さと正確さには、3つの視点があります。

 

1つ目は、単純な計算問題に正解できる速さと正確さです。

算数や数学のテストでは、計算問題が数問そのまま出されますよね。

しかも、わりと多くのテストが、それなりの配点で出してくるため、あながち侮れません。

それらの計算問題を、計算問題として時間内に正しく解けるだけの、速さと正確さが求められます。

 

2つ目は・・・とても重要ですが、意外とネット上には無い情報のようですから、伏せておきます。

正会員の方は専用ページでどうぞ

 

3つ目は、文章問題などを解く時に必要な途中計算における速さと正確さです。

これは、方程式の文章題で立てるような、メインとなる立式とその計算についてだけの話ではありません。

算数や数学では、問題が難しくなるほど、最初に「どうやって解くのが一番良いか」を考える見立ての時間や、途中で「詰まったが、ここからどう打開するか」を考える時間が生じますよね。

その際に、途中計算でいちいち手間取っていては、本筋を考えるための時間や思考力が奪われてしまい、解けるはずのものも解けなくなってしまいます。

そこで余計なリソースを割かないで済ませるためにも、必要な途中計算を速く正確にできるようにしておかないといけません。

なお、こちらは計算問題として出されるものと違い、形式や見栄えを気にする必要は一切ありません。

それこそ、自分しか読めないようなメモ書きでも、全て頭の中で完結させたとしても問題ないため、求められる正確さの質も変わってくることには留意したいです。

 

計算力が低いと損をする点

  • テストの計算問題が正解できない
  • 文章題の解き方が分かっても、正解にたどり着けない
  • テスト中の試験時間が足りなくなる
  • 普段の勉強でも余計に時間がかかる

 

第一に、テストの計算問題が正解できません。

普通、単独の計算問題はテストの最初のほうに出てくるもので、点数稼ぎ問題のようなところがあります。

それを正解できないのは非常にもったいなく、たとえ他のところで正解できても、かなりの損をすることになります。

 

第二に、文章題で正しい解き方や立式方法がせっかく分かっても、正解にたどり着けません。

考え方も正しく、立てた式も正しいのに、途中計算を間違えて、最後は不正解・・・となるのは、あまりにもったいないですよね。

特に、途中を評価せず最後の答えが正解かどうかだけを評価するタイプのテストだと、途中まで9割正しくても、最後で計算ミスをしたら、点数としては0になるため要注意です。

 

第三に、テスト中の試験時間が足りなくなります。

今は中学入試も高校入試も大学入試も、全てが問題数や文章量が増える方向に進んでいます。

限られた時間の中で、長い文章を読んで、書かれていることを理解し、解き方を考え、それに従って計算をし、正しい答えにたどり着く・・・のは、どうしても時間がかかります。

そんな中で、ささっと計算をこなせる生徒と、何度も手や頭が止まってしまう生徒とでは、どちらが不利か言うまでもないですよね。

 

第四に、普段の勉強でも余計に時間がかかります。

実際に、ある問題を1つ解くのでも、速い生徒は1分もかからないのに、遅い生徒は5分以上も平気でかかります。

全部で10問が宿題に出ていたら、速い生徒は10分もかからず終わるのに、遅い生徒は1時間近くかかるという、大変な差がつきます。

これが毎日の授業や宿題で起きていると思えば、いかに計算力が重要かが分かるでしょう。

 

反対に、計算が速く正確にできて損をすることはほとんどありません。

メリットばかりですから、ぜひ計算力を高められる内に高めておきましょう。

 

参考:計算力アップの方法はこちらも

中学の数学で計算力アップのために必要なこと

 

計算力を上げる勉強法 ウソとホント

それでは今回も、ネット上などでよく見かける「計算力を上げる勉強法やコツ」について、1つずつ見ていきましょう。

 

計算問題を毎日の習慣にする、毎日10分練習する、など

これは効果があるにはありますが、正直言って微妙です。

例えば、最近の筋トレでは、ひたすら毎日するより、数日置きにするほうが、筋肥大効果が高いということが判明していますよね。

だからと言って、毎日するのが完全に無駄というわけではなく、したらしたで効果はあるし、しないよりはずっとマシ・・・というのと似ています。

 

毎日の計算練習も、完全に無駄というわけではないですし、しないよりはマシですが、やはり無駄が多いです。

時間とやる気を無限に持った子供はいないわけで、他にも学ぶべきことはいくらでもあるのですから、ここでリソースを使い果たすのは考えものでしょう。

何より、計算力アップには、ある程度の歯ごたえのある問題を使ったり、短期間で大量の問題を解いたりといった、わざと偏ったやり方をするほうが効果的な場面があります。

少なくとも、簡単な問題を少量だけ毎日少しずつ続けるのは、わりと多くの子供にとって、あまり効果が期待できないことは踏まえておきたいですね。

 

とにかくたくさんの問題を解く

練習量を増やすことを主張する人はとても多いです。

とても多いと言うより、ほぼ大半の塾や先生がそう考えているかもしれませんね。

これにはもちろん一理あるのですが、その行き着く先が「力づく」や「根性論」になりがちなのは要注意です。

少なくとも、ただ増やせば良いという単純な話ではないことは踏まえておいてください。

 

特に注意したいのは、問題数を増やすことは、一定程度までは効果を発揮しやすいのですが、それを超えると効果が出にくくなることです。

つまり、全く量をこなせていない生徒に、「とにかく問題数を増やしなさい」と言うのは正解になりやすい一方で、すでにある程度の量をこなしている生徒に同じことを言うのは、不正解になりやすいわけですね。

また、生徒が自発的にやる場合は良いのですが、こちらが指示や強制する場合の問題として、下手に問題数を増やすと、多くの生徒で学習の質も自動的に下がりやすいことは、踏まえておきたいです。

問題数を増やすことが逆効果になるケースがあることや、単純に増やすだけだとどこかで頭打ちになりやすいことは、力のあるプロからすれば常識なのですが、それがイコール業界の常識になっていないことは、念頭に置いておきたいですね。

 

なお、問題量を増やす際に、問題の質を問わないと言う人がたまにいますが、やはり質は必要です。

ただ、質を求めすぎると、量を確保できなくなるため、バランスの難しいところはあります。

もちろん、生徒や状況によるところもあるため、このあたりも決め打ちしないで、生徒の実情に適した方法でいきたいですね。

 

参考:小学生の場合はこちらも

小学校低学年の計算力を育てる際に注意したいこと

 

大きく丁寧に計算式を書く

これは、計算の正確さの向上や、ケアレスミスの改善に対して、ある程度は有効な方法です。

しかし、そこまで万能な方法というわけでもなく、使う場面を間違えると、デメリットのほうが勝ってしまうことになりやすい点には注意が必要です。

 

実際に、大きく書くとスペースをとって邪魔ですし、ノートや筆記用具の消耗も大きくなるなど、いろいろなデメリットがあります。

何より、字が大きくなれば、それだけ手を動かす範囲も大きくなるわけで、リズムやテンポが悪くなったり、時間や労力が増えたりして、最終的には学習効率が下がることにもつながります。

こういったことを無視して(と言うより、考えすら及ばずに)、とにかく大きく丁寧に書かせようとしてくる先生も多いですが、子供には時間や労力を無限に求めても良いと思っているのでしょうか。

風邪をひいた子供に水虫の薬を与えても意味が無いように、大事なのは、子供の状態に適した方法を与えることですから、そういうことを無視してくる先生にあたったら、本当にそれが適しているか1つ1つ吟味しながら採用するようにしたいですね。

 

なお、「字をしっかり書く人ほど数学の問題を解く力が高い」と語るサイトもありましたが、そんなことは全くありません。

(それは文系教科のほうが当てはまることで、数学はむしろ逆のケースも多いです)

 

途中式をしっかり書く

計算力アップと言えば、すぐに「途中式だ」と言う先生も多いですよね。

ただ、途中式を書かせる方法は、計算力アップのための「選択肢の1つ」であり、絶対の方法ではありません。

個人的には、「絶対」どころか「有力」とも思っておらず、必要に応じて指導すべき要素の1つくらいに捉えています。

実際に、途中式にこだわることで計算力がアップするケースもあれば、逆に途中式などほとんど触れなくても計算力がアップするケースもありますからね。

途中式の丁寧な指導が必要かどうかは、まさにケースバイケースですから、生徒に合わせて採用したい方法ですね。

 

参考:途中式についてはこちらも

途中式は書かないと駄目?

 

楽になる方法や、効率の良いやり方を考えながら計算する

これは、あまり負担にならずにできるレベルの生徒なら良いでしょう。

反対に、これをすることで練習の手が遅くなってしまったり、ミスが増えてしまったりする生徒は、むしろ避けるべきです。

 

計算の「速さ」を伸ばす上では、単純な「処理能力」をアップさせることと、途中のやり方などを工夫する「要領の良さ」をアップさせることのそれぞれが有効です。

ただ、これらは別の力ですから、いっぺんにしようとしても混乱しますし、よほど器用な生徒以外は逆に身につきにくくなっていけません。

これもまた、当てはまるかどうかは人によりけりですから、自分に合うと思う人だけが採用すれば良いですし、基本的には自分が成長するのに応じて採用するようにしましょう。

 

各分野の基本の計算を完璧にする

これは、料理が上手になりたいと相談に行ったら、「まずは包丁を完璧に使いこなせるようにしましょう」と言われるのに近いです。

そもそも、包丁さばきは料理の上手さに含まれるわけで、「料理が上手になるために、まずは料理を上手になりましょう」と言われているのとほぼ同じです。

もちろん、できるならしたほうが良いのはそうなのですが、「それをどうするかが聞きたいです」という話になりますね。

なお、仮にこれを採用するとしても、「完璧」にする必要は無いことは付け加えておきます。

 

文章問題を最後までしっかり解く

文章問題を解くことで、計算練習にもなるという発想ですね。

これは、「文章問題をするから、計算問題はやらない」という人には有効です。

しかし、「計算力は別で鍛えたいから、文章問題とは分けてしたい」という人は、それで構いません。

実際に指導する際にも、文章題はわざと立式だけさせて、計算は別で練習の場を設けるほうがうまくいく場合もあります。

これも当てはまるかどうかは人によりけりですから、自分に合うと思う人だけが採用すれば良いでしょう。

 

参考:中学数学の文章題についてはこちらも

中学数学の文章問題を解く力をつけるには?

 

時間を意識する、時間を計測する、など

これはかなり広いケースで有効です。

練習の段階でゆっくり時間をかけていては、本番で速く解ける力は永遠につきません。

正確さは別の話になりますが、少なくとも速さの向上を目指す場合に、時間の計測を取り入れるのは大筋で良いことだと言えるでしょう。

 

ただし、極端に計算力が低い段階など、時間がプレッシャーになりすぎて逆効果になる生徒もいますから、必ずとは言いません。

また、計算の技術的な理解をしたり、基礎を身につけたりする段階でも、これが裏目に出ることがあります。

かなり広く通じるこの方法でさえも、状況によって判断が分かれる場合もあるということは、念頭に置いておきたいものですね。

 

同じ問題を何度も解いて、反射的に解けるようにする

これは選択肢の1つとしてはありなのですが、使い所が少ない点には気をつけましょう。

一般的には、同じ問題を何度も解くと、身体が覚えるというよりも、単なる作業になって、何も得るものが無いという結果になりやすいです。

使う場面を選ぶと言いますか、汎用性の高い方法とは言えませんから、まさに「容量・用法を守って」使用したいですね。

 

よくある計算は覚えてしまう

実はこれは、学習する内容と覚える対象とにとっては、そこそこ効果がある方法となります。

例えば中学数学なら、いわゆる平方数(2乗した数字)は、覚えていると確実に計算スピードのアップにつながりますね。

 

しかし、計算力の弱い生徒に、いきなり「覚えなさい」と求めるのはつらすぎます。

そもそも、「計算力」が足りなくて困っている生徒に、さらに「暗記力」を要求するというのは、もはや邪道でしょう(苦笑)

ある力が無い生徒に、別の力があることを求めるのは、結局のところ「できない生徒は諦めろ」という話になります。

 

そもそも、覚えるだけで「計算力アップに確実にプラスになる」と言えるほどのものは、それほどありません。

採用するなら、覚えるべき事項を厳選した上で、覚えやすい方法や負担の少ない覚え方をさせるなどが最低限必要です。

暗記を好む人ほど力技が大好きですから、少なくとも力技は避けましょう。

 

参考:中学生の数学の勉強法についてはこちらも

数学が苦手な中学生の勉強法

 

計算パズルを使う

これはなかなか有効です。

特に、普通に計算問題を解くのを嫌がる子供にはとても有効です。

また、普段の計算練習をした上でのプラスアルファとして練習量を確保したい場合にも有効です。

 

ただし、この手のパズルを利用する上で、絶対に注意が必要なことがあります。

それは、普段の計算練習とそのまま置き換えるようなことをすると、スピードや効率や練習量の点で大幅に低下してしまう可能性があることです。

やはりパズルという性質上、多くのパズルは普通に解くよりも余計な時間や手間がかかるものが多いですからね。

普段していた練習に上乗せで・・・ならともかく、単純にパズルへ置き換えるような使い方をすると、全体の練習量が激減して、結局は学習効果が落ちてしまうということになるため、注意したいです。

 

2桁の計算を完璧にする

基礎として「19+87」「56-28」「32×26」「72÷12」などの2桁の計算をできるようにするというものです。

もちろん、2桁の計算をできるようにしておけば、2桁の計算が含まれる問題が出た時には強くなりますが・・・それは当たり前のことですよね?

同じ理屈で、分数計算を完璧にしておけば、分数が含まれる問題が出た時は強くなるわけですが・・・何やら言葉遊びをしているようです。

これは、上に出てきた料理の話と同じで、料理が上手になりたいと相談に行ったら、「まずは包丁を完璧に使いこなせるようにしましょう」と言われるのに近いです。

その「2桁の計算を完璧にするにはどうするのか?」のところがセットでついてこないと、机上の空論と言って良いでしょう。

 

なお、これを小学生向けのドリルを使ってやるようだと論外です。

一方、授業や宿題に出てくる計算問題の中で、意識的に速く正確に解くということであれば、それなりに有効です。

ただ、あくまでもそれなりに・・・ですし、やらないよりはましと言うくらいが正しいかもしれませんね。

 

そもそも「速く正確に解く」ことを意識したほうが良いのは、別に2桁の計算に限らず全てに当てはまります。

それに、2桁の計算だけが特別出やすいということでもないわけで、それだったら分数のほうがはるかに出やすいでしょう。

とは言え、「自分ができない計算、苦手な計算が出てきたら、速さと正確さを意識して解く」こと自体はとても重要ですから、そういう汎用的な意味でなら正解です。

ただしいずれの場合でも、見出しのように「完璧にする」必要性は全くないことは、一応付け加えておきますね。

 

 

ちなみに、こうして各サイトのいろいろな情報を見ていたら、他サイトの記事の盗用をしているアフィリエイト目的のサイトをいくつも見つけました(苦笑)

嫌なものを見つけてしまいましたが、同じようなことを私も散々やられてきたので、同情してしまいますね。

最早、どれがもとの記事かも分からないのですが、もとの記事らしいサイトのほうが下位に表示されているらしいケースもあるなど、嘆かわしい限りです。

こうやって正しい情報を伝えようとしても焼け石に水のような気がしますし、下手をするとまた不正利用されかねないだけに、やはり公開の場での情報発信は腰が引けます。

何はともあれ、計算力に関する検索結果が、今よりも正常化してほしいものですね。

 

参考:計算力につきもの、ケアレスミスの話はこちら

ケアレスミス対策(減らし方、なくし方)

 

The following two tabs change content below.

楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

おすすめコンテンツ