生徒にはいろいろなタイプがいます。

それを無理やり2つに分ける必要も無いのですが、話を分かりやすくするため、今日はあえて2通りに分けて話してみましょう。

 

うちの子はよく考えない・・・

  • 「どうしてじっくり考えてから行動に移さないのか?」
  • 「夏休みが終わる直前になって慌ててやるけど、もっと計画的にできないの?」
  • 「思いつきで行動するから困る・・・」

こういった親御さんや、先生の声をよく耳にします。

 

確かに、根本的に注意力や思慮の足りない生徒もいます。

しかし、基本的に子供は大人から見れば注意力や思慮が足りないに決まっていますよね。

それこそ、ご高齢の方々から見れば、私達など「最近の若者は思慮が足りず、何を考えているかも分からん」となってしまいかねません(笑)

そういった世代間ギャップを差し引いて考えた時、はたしてお子さんは本当に「考えない」のでしょうか?

 

人は「直感派」と「理論派」に分かれる

大人や子供に限らず、人間には「直感派」と「理論派」の2種類がいます。

(あくまでも分かりやすさのための大まかな分類です)

 

「直感派」の人は、言葉どおり、直感的に動く人です。

あまり深く考えず、思い立ったことをそのまま行動に移し、また、思い立たなければ行動に移さないままです。

直感に強い代わりに、じっくり考えて行動に移すことは嫌い、緻密な作業や計画的な行動は苦手です。

 

「理論派」の人は、理屈で考えて動く人です。

行動する前に「どうするのが良いか」などと1度立ち止まって考えた上で実行に移し、また、はまりこんでしまうと立ち止まったまま前に進めません。

理屈に強い代わりに、考える前から直感的に行動を起こすことは嫌い、創造力を要求される作業や想定外の事態への対応は苦手です。

これは、別にどちらが「正しい」「間違っている」の話ではありません。

趣味嗜好の違いと同じで、あくまでもその人が好む行動様式と言って良いです。

 

そして、最も肝心なのは、どちらも相容れないことです。

理論派から直感派を見れば、「どうしてもっと考えないのか」「どうして計画的に動けないのか」と感じます。

直感派から理論派を見れば、「どうしてそんなに理屈っぽいのか」「どうして思ったとおりにやってはいけないのか」と感じます。

まさに、これが親子間・教師間で起こる行き違いのパターンでもありますよね。

 

親子の無用な争いが増える原因

直感頼みの子供には「思慮が足りない」と怒り、理屈頼みの子供には「理屈っぽい」と怒る・・・こういった場面はとても多いです。

しかし、こうしたことを「結局、自分と違うタイプであることそのものが気に入らない」からしてしまっているとしたら大問題です。

 

例えば、私は「理論派」のほうですが(笑)、一応、直感派の気持ちや考え方は理解できるようになりました。

しかし、それでも時には「おいおい・・・」と思うこともありますし、同じ考え方をすることもなかなかできません。

また、普段は理屈っぽくなり過ぎないように気をつけていますが、それでもたまに直感派の人から「理屈っぽい」と指摘されてしまうことがあります。

そういう時、心の中では「私が理屈っぽいのもあるけれど、そちらが考えなさすぎるのもあるんだよ。こういうのは、実はお互い様なんだよ」と思いながらも、ぐっと飲み込んでいます(笑)

 

これと似たものに、「丁寧派とスピード重視派」などもあります。

職場などでも、丁寧な人はスピード重視の人を見て「もう少しゆっくりで良いから、もっと丁寧にやってよ」と思っています。

しかし反対に、スピード重視の人は丁寧な人を見て「もう少し雑でも良いから、もっと早くやってよ」と思っていることは多いです。

これらも、状況によって「どちらが正しい」と決まることはありますが、一般的には「どちらも正しい」もので、単なる「タイプの違い」と言えるでしょう。

 

こういったタイプの違いによって生じる摩擦や衝突は、全て「お互い様」です。

子供が正しいわけではないですが、反対に親や教師が正しいわけでもないのですね。

 

「自分と異なるタイプの子供=修正すべきもの」ではない

こういう場合、注意したいのは「相手の悪いところを直す」ことを、過度にしすぎないことです。

 

ところが、自分が上の立場(親、教師、上司、先輩・・・)であれば、自分が「良い」と思うものに近づけさせたくなるのが人情というものですよね。

理論派なら、直感派の人を何とかして「じっくり考える」ように変えたくなるものですし、直感派なら、理論派の人を何とかして「うじうじ考えずにさっと行動できる」ように変えたくなるものです。

しかし、その人が持って生まれた本来のタイプを「逆方向」へと向けるような指導や干渉は、失敗に終わることが多いです。

それよりも、本来のタイプの強みを生かし、それによって弱みをカバーし、克服できるような持って行き方のほうが、お互いにとって幸せな関係が築けます。

 

これは子育てや教育でも全く同じです。

子供本来の方向で伸ばせば伸びるのに、自分が「そうあってほしい」というだけの理由で、無理矢理にでも反対を向かせようとしている親や先生はとても多いです。

しかし、弱みに見えたものが、ただの「個性」の範囲内であるならば、「自分とはタイプが違うのだな」と思って、温かい目で見てあげることも大切なことです。

自分のやり方を正しいと信じて押しつけてしまう悲劇が起こさらないためにも、少なくとも「この子と私とは、タイプが違うのだな」という視点や気づきは持つようにしたいですね。

 

なお、個性の範囲を外れるほどにひどい場合や、そのままでは明らかに将来困ることが予想されるような場合は、きちんと指導することも必要です。

嫌われ者を自認して、生徒から信頼を得る努力を放棄している、ただの指導力不足の問題教師もたくさんいますが、「信頼はされていても、恐れ(畏れ)られている」役どころであれば、教師としてあえて買って出るべき場面もあります。

そして、子供の個性の不足を補い、未熟な部分を育ててあげることと、子供の生来のタイプを否定して、自分のタイプへと無理に捻じ曲げようとすることは、似ているようで全くの別物です。

親であっても、先生であっても、「教師役」として関わる場合には、そこのところを取り違えることなく、真に生徒の個性に合わせた指導を行っていきたいですね。

 

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楠木塾長

楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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