教師としてプラスアルファはとても大切です。しかし、そのプラスアルファだけしか無いような「他の事ばかり教える先生」がいます。

「他のこと」とは、授業中の雑談という意味ではありません。「雑談をからめて楽しく興味を持たせて、本題の授業が頭に入りやすくなる」、そんな先生は授業のうまい先生ですから、決して悪いことではありません。

ここで言う「他のことを教える先生」とは、「勉強以外のことを教えて、自分は教師としてちゃんと指導している」と思い込んでいる先生ですね。

 

例えば「部活だけ」頑張る先生がいます。

 

中学校の頃にもいました。

ある部活動で権威と呼ばれる先生でしたが、教師の中ではやたら高評価でしたし、部の生徒も慕っていました。

しかし、授業はひどいものでした(苦笑)

 

ある日、担当の先生が休んだことで、代わりにその先生が来ました。

すると、その部の生徒はみんなこぞってしっかり聞いています。

いつもの授業とはうって変わって別人のように、良い子になってしまい、見ているこちらのほうが驚いてしまいました。

さらに、他の部の生徒までは、そうしたやんちゃな生徒が大人しくするのを見て、そんなにすごい先生なのかと思って大人しく聞いていました。

結果、授業は淡々と進んでいきます。

いやはや、つまらない授業でした・・・(苦笑)

 

生徒が自ら静かにするせいで、それに頼りっきりのおもしろくも何とも無い授業です。

教師に人気があるのは良いことですが、その先生を慕っているのは「その部のレギュラー」ばかりです。

そして、たまに冗談を言うのですが、笑うのはその部の生徒ばかりで、身内で勝手に盛り上がっている状態です。

他の生徒はつられて笑う人もいますが、ほとんどはしらけていました。

(ついでに、その部のレギュラー以外もしらけていました)

 

一方で、正反対の先生もいました。

別の部で人気のあった先生ですが、こちらは厳しいことで有名な先生でした。

また同じパターンかと思っていたところ、良い意味で期待を裏切られました。

体育の先生でしたから、人気があって当たり前と思っていたら、体育だけで無く保健の授業も面白かったのです。

 

部活では厳しいと評判でしたが、普段の授業では厳しさと楽しさがほど良いバランスでした。

ユーモアにも溢れていて、その部の生徒が恐れている意味を、他の生徒は全く分かっていないようでした。

もちろん、その先生がふとしたときに見せる殺気のようなものを感じて「これはへたなことはできないな・・・」と思ったものです(笑)

硬軟織り交ぜるこの先生は素晴らしかったですね。

 

ここでポイントになるのは「プラスアルファ」の価値です。

勘違いしてプラスアルファばかり求め、それが個性だと思い込んでいる困った教師がいますが、教師の本分はあくまでも「授業」です。

部活、イベント、生徒の相談対応、そういった様々なものはプラスアルファであって、必須のものではありません。

「授業はまずいが、生徒の心はつかんでいる」などと自己満足している先生も中にはいますが、それは誤診ばかりだが話だけは丁寧に聞く医者と一緒で、本当に価値のある存在とは言えません。

それなら初めから看護士やカウンセラーになっておけば良いですからね。治療という行為が許されるのが医師だけである以上、治療ができるのは最低条件でもあるのです。

 

これは教師も同じで、生徒に日常的に授業できるのは教師だけです。

生徒たちの貴重な時間を何時間も使っているわけですから、くだらない授業をしていてはいけません。

授業は駄目だけど、他は・・・などというのは、たとえ他でプラスがあっても、授業ができないマイナスで全て打ち消されます。

 

塾の先生でも、授業以外の他のことばかり頑張って「肝心の授業がつまらないし、分からない」ような先生がいます。

特に塾の場合は、せっかく「面白い授業」でひきつけておきながら、肝心の成績が結局いつまでも上げられない先生が大勢います。

部活絡みで実力以上の評価を受ける先生がいるように、指導力が無くても評価をされてしまうことは意外と多くあります。

しかし、やはり教師は生徒に学力をつけてこそですよね。言われる通りにいろいろやったけれども、結局は志望校に落ちてしまった・・・では悲劇です。

まさに「やることをやってから言いなさい」ですね。

 

ちなみに、よく保健室などで先生にいろいろ話を聞いてもらって「良い先生だ。この人には話ができる」と思い込む生徒がいますが、それはあくまでも保健室の先生が「ひたすら聞き役になれる」からです。

他の先生も授業が無くて同じ立場だったら、同じように聞き役に徹したいと思っている人はたくさんいます。

ところが現実には、普通の教師がひたすら聞き役に回り、生徒に優しい対応ばかりをすることはできません。

それをしていては、毎日の授業は成立しませんし、通知票などの「評価」の場面で化けの皮が剥がれてしまいます。

 

しかし、先生の授業がものすごく良ければ、生徒も保健室に行く回数は減っていたかもしれません。

そもそも授業で分からない子が出なければ、落ちこぼれなどの様々な問題も発生しないでしょう。

 

そういう意味では、生徒の話を聞くことで生徒を救っているつもりのプラスアルファだけの教師も、実はまずい授業ゆえにより多くの生徒を不幸に突き落としている可能性もあるのですね。

問題が起きてからうまく対処するのも先生の力量ですが、問題を事前に防ぐのも先生の力量です。

そして普段の授業や指導が良くなれば、多くの問題も自然と良くなっていくことが多いものです。

 

実際、授業の上手な先生の教室は荒れにくいです。

荒れるのは統率力云々もありますが、単純に授業がまずいからというのも大きいのです。

まずは教師の本分である、担当の授業でしっかりとできるようにさせてあげた上での話なのですね。

 

一方、生徒の評価はけっこういい加減なものです。

先ほど出てきた部活の先生はどちらも生徒からしたら高評価でしたが、教師としての力は段違いですからね。

しかし、こうした表面的な評価は、本当の意味で目指すべき評価ではありません。

レギュラー以外は粗末に扱って、陰で「差別だ」とか言われている先生が良いわけありませんよね(苦笑)

 

ですから、将来あなたは「プラスアルファしかない教師」にはならないようにしてください。

それは教師の本分から逃げているだけで、単なる努力不足です。

「数学ができるから社会はやらない」「入試にいらないから美術や音楽は必要無い」という偏った思考を持つ生徒と同じです。

今の時代、教師が偏っているから生徒も偏るのが当たり前で、そうした生徒に文句を言う教師ほど自分のことができていないことが多いものです。

 

こういったズレた指導に走ってしまうことの無いように気をつけたいものですが、残念ながら1度そういう道に入ると、そのこと自体にプライドを感じるようになってしまって戻ってこれません(苦笑)

ですから、若い先生やこれから教師を目指すような人は、そうならないようにくれぐれも教師の本分を忘れないようにしてくださいね。

 

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楠木塾長

楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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