先生を選ぶ基準はいろいろありますが、まずは何よりも「指導力」を見ましょう。

いくら人当たりが良かったり、学歴が高かったりしても、教えるのが下手な先生は選ぶ価値がありません。

何しろ、最低限の指導力の無い先生は、家の建てられない大工さんや、問診のできないお医者さんと同じですからね。

勉強を教えることに特化しているはずの塾や家庭教師は特にそうです。

 

指導力が高い先生に共通する点

ところで、指導力の高い先生は「教えすぎない先生」です。

これは教師の側からすると非常によく聞くテーマですよね。

しかし、生徒、保護者の側からすれば「?」となる人が多いでしょう。

 

生徒、保護者の側からすれば「教えてくれない先生」など意味が分かりませんよね。

実際にも、丁寧で面倒見が良くて分かりやすい先生のほうが好かれますし、安易に「教えすぎない」指導をすると、クレームになることさえあります(笑)

 

これまでの記事にも書いてきましたが、教育の本当の目的は「学校や教師のいらない生徒を育てること」です。

学校を塾と置き換えてもらっても構いません。

生徒を教え導くのが教師ですが、最後は手を離すことが求められるわけですね。

 

例えば、これが宗教の場合は最後まで手を離さなくて良いです。

なぜなら、信じる対象が「絶対のもの」だからですね。

神や教主、教義教典などを目指して頑張るわけですが、それは信じる人にとっては絶対的なものであり、永遠に辿り着けないような高みです。

 

しかし、教育の場合は違います。

教師は絶対の存在ではありませんし、教師が絶対の存在になってしまうようでは、その教師以上の人間が育たないことになってしまいます。

いくら優れた教師であろうと、所詮は一教師です。

広い世界のことを全て知っているわけでもなければ、他の職業を全て体験したわけでもありません。

だからと言って、本物の聖人のように人生の真理を極めたわけでもありません。

言ってみれば、ちょっと勉強ができる普通の人間です。

 

お医者さんが医療行為をできるように、大工さんが家を建てられるように、教師は教えることのプロだというだけです。

教師だからと言って、生徒が手本にするような特別すごい人間ばかりでは無いのですね。

 

○ 参考:塾選びについてはこちらも。

学生バイト講師は良いか悪いか?

 

塾の先生が分かりやすいのは当たり前

ところで、教師の役割は、もともと決められたカリキュラムに沿って教えることですから、教えるのは「うまくできて当たり前」です。

生徒が「授業が分かりにくい」と言っているようでは話になりませんし、授業についていけない生徒が何人もいるような状態でもいけません。

ですから、どれだけ人の良い先生でも「授業が分からない」先生は駄目です。

(特に、塾講師や家庭教師は学校で分からない生徒が頼る存在ですから、分かりやすいのは当然です)

 

ただ「分かりやすすぎる先生」も問題があります。

教師は「教えることのプロ」ですが、これを勘違いして「勉強を教えることのプロ」だと思う教師が多いです。

しかし、教師が教えるのは勉強だけではありません。

 

こう言うと「俺は部活を教えて、大会出場などの結果を出している」「私は生徒の相談にも乗っている」と言う教師もいますが、これは少しピントがずれています。

こう言う人に限って、肝心の授業が全く駄目なことも多いです。

部活だけ、人生相談だけの先生ですね。

それならはじめからスポーツ指導者かカウンセラーになっておくべきでしょう。

 

あくまでも教師ですから、「生徒に分かりやすく勉強を教える」ことができるのは最低条件です。

教えるのが苦手で他のところに活路を見出すのは、学校の勉強など意味が無いと言ってスポーツや趣味に逃避する生徒以下です。

(何しろ、教師はそれで給料をもらっているのですから)

 

生徒が勉強以外のことに活路を見出すことは、必ずしも悪いことでは無いと思います。

勉強だけが生きる道では無いですからね。

しかし、教師がそれをやるのは職務放棄ですから、絶対にいけません。

 

もちろん勉強を教えるのが上手で、さらに部活や人生相談などまで面倒を見てくれるならば、それは魅力ある先生と言えますから、誠に素晴らしいことです。

こうした「指導力プラスアルファ」として他のことに価値を置いている先生ならば、信用して良いと思います。

 

○ 参考:塾選びについてはこちらも。

塾を辞めるか続けるかの判断のポイント

 

本当に教えるのが上手な先生とは?

ところで、教師は「教えることのプロ」であって、「勉強を教えることのプロ」では無いと書きました。

それでは、「教えることのプロ」とは何でしょうか。

  • できないところを1つ1つ丁寧に教えてくれる。
  • 分からないところがあるとすぐに手を差し伸べてくれる。
  • 勉強の知識や技能を上手に教え、短期ですぐに点数を上げてくれる。

生徒や保護者の皆様は、こういった先生を「良い先生」だと思いますよね。

 

実のところ、それは「そこそこ良い先生」です。

もちろん、授業が分からない先生と比べたら、はるかに良い先生ですよ。

しかし、すぐに教えてしまう先生ですと、教えられる生徒は本当の力がつかないことも多いです。

なぜなら、すぐに答えが手に入るため、生徒は努力することをしなくなるのですね。

 

または、言われたとおりのことしかできないマニュアル人間が育ちます。

勉強で大切なのは答えや方法をそのまま覚えることや、言われた通りにすることではなく、効率の良いやり方や自分に合ったやり方を「自分で見つけ出す」ことです。

ところが、だいぶ前の時代から塾通いが当たり前になり、今では先生自体がマニュアル人間として育ってきています。

そのため、当然生徒に対してもマニュアル人間を育てるようにしか接することができません。

(新人教師の研修などを通して、それを痛感しています)

 

教える側が自分で考える人間で無い限り、教わる側も自分で考える人間には育ちません。

そして、本当に生徒のことを考えれば、ある時点からは「教えすぎない」ことが大切になります。

サボって教えないのではなく、教えようと思えば教えられるのに、成長を願ってあえて教えない先生こそが、本当に力を伸ばしてくれる先生なのですね。

 

○ 参考:塾選びについてはこちらも。

成績の上がらない塾を変えるかどうか迷う時の判断基準

 

学校だけでなく、社会に出てからも通用する力を得られるか?

学校を卒業して社会に出ると、正解の無い問題ばかりになります。

  • どうすればより良く生きていけるのか?
  • 愛する人と結婚をし、幸せな家庭を築く方法は?
  • お金に困らないような生活をするには?
  • 自分に合った、生きがいを感じられるような仕事につくには?

他にもたくさんありますが、これらには決まった答えは存在しません。

それぞれの時代に合わせて、自分で試行錯誤しながらやっていくしか無いのですね。

学校とは、本来頭でっかちの知識を詰め込むところでは無くて、社会に出るのに備えて「自力で解決する力」を練習して身につけるところなのです。

 

そもそも、学校や塾の先生でも人生の問題の答えは持っていません。

幸せな家庭を築いている人ばかりではないですし、教師の仕事自体が合っていない人もいます。

ある生徒が「将来は社長になりたい!」「ビジネスの世界で活躍したい」と思ったとしても、その方法を教えてくれる学校の先生はほとんどいません。

そもそも、学校の先生になっている時点で公務員ですから、一般社会や民間企業で生きていく方法は身につきません。

 

実際、学生時代から家庭教師などしかバイトをせず、卒業して一直線で教師になったような先生ですと、知っている世界はものすごく狭いです。

「勉強の師」にはなれても、「人生の師」になれるとは限りません。

生徒の皆さんから見た「良い先生」が実社会で通用する大人だとは限らない場合もあるのですね。

 

○ 参考:塾選びについてはこちらも。

先生の学力・学歴と指導力は関係あるのか?

 

分かりやすいが、教えすぎない先生

話を戻しましょう。

本当に良い先生とは、1度教え始めるとすごく分かりやすいけれども、普段はすぐには教えようとしない先生や、最初はいろいろ教えてくれていたのが、いつしか自分で学ぶ状態へと段階的に成長させてくれる先生です。

言い方を変えると、その気になればいくらでも分かりやすく教えられるけれども、生徒の成長のために、必要に応じて分かりやすさを調節できる先生ですね。

 

そうした先生を見つけたならば、離さないようにしましょう。

勉強だけで無しに、後々まで役立つ力をつけてくれるはずです。

しかし、そういう先生は生徒を自立させることが目標ですから、卒業する頃には向こうから離れていってしまうはずですけれども(笑)

逆に言えば、今この瞬間しか教わることができないと思って、できるだけ多くを吸収するようにしていきましょうね。

 

なお、こういう話をしたからと言って、「無愛想で授業も分かりにくいあの先生は良い先生かもしれない」などとは思わないでください。

あくまでも「生徒の成長に合わせて、教えすぎないようにする」ことが大切なのであって、全く力の育っていない生徒にまで教えることを厭うような先生は論外です。

個々の生徒を見ること無く、「全く教えない」「とにかく教えすぎる」などと両極端の偏った教え方がまずいのは言うまでもありませんから、そこは誤解の無いようにお願いします。

 

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楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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