塾に入れるべきかどうかで悩んでいる親御さんは多いと思います。
実際に、こういったご相談を毎年たくさんお寄せいただいています。
- 「今から塾に入れたほうが良いのか、それともまだ早いのか・・・」
- 「塾に入れたら、学校や家庭での勉強が中途半端になってしまわないか・・・」
- 「近くの塾に相談したら入塾を勧められたが、本当にそれで良いのか・・・」
- 「塾に入れるとしたら、集団塾が良いのか、個別指導が良いのか・・・」
- 「受験情報を得るためには、塾に通わないといけないのか・・・」
内容は様々ですが、皆様それぞれの立場でいろいろな悩みがあるものですよね。
そこで今回は、実際にお寄せいただいたメッセージをご紹介しつつ、「塾に入れるべきかどうか?」を検討する時に押さえたい4つのポイントについて触れていきましょう。
もう少し自力で勉強量を増やせるようにしてから入塾させたほうがいいのでしょうか
中学校2年生の息子がおります。(以前、ご相談させていただいた者です。)
去年1年間、進学塾に通っていたものの学力や授業の進度が本人と合わず辞めさせました。(成績は中位より少し下)
その後、家庭学習が習慣化したら塾(生徒の弱いところを補習してくれるような進学塾)に行かせると本人と相談し自主学習を続けております。(本人は通塾希望)
計画を立てて本人なりにやっているのですが、1教科につき5~10問と少ない気がします。たまに20問できる時もある感じです。
やはりある程度、勉強量をこなせなければ、いざ塾に通いだしたら今までのように塾の勉強も学校の授業の復習も中途半端になってしまうのではないかと入塾を迷っています。
もう少し自力で勉強量を増やせるようにしてから入塾させたほうがいいのでしょうか。
ちなみに塾からは、当然かもしれませんが自分で勉強量を増やすことは難しいので入塾するように勧められました。
近隣にあまりいい塾がないと感じている私としては、本人が塾に通う事で勉強したつもりになってしまうことよりも、もう少し自力で勉強することを覚えて欲しいところです。
とは言っても親の言うことは素直に聞くような年でもなくなり、自分ができたと思えば、それ以上のことはしません。
本人が少ないなりにも自主学習をしている事を認めて入塾させてあげたほうがいいのでしょうか。
以前、メールマガジン内の教育相談でご紹介した方ですね。
その節はありがとうございました。
その際、いただいたお礼のコメントの中でも、
「春休みは、予定していた春期講習(先取り学習のみ)をキャンセルし、定期テストの直しや学力判定テストなどを使い、自宅で1年間の復習をしました」
「今まで通っていた大手進学塾は辞め、補習もしてもらえるような中小規模の塾に変えようと思っております」
・・・などとありましたから、塾に頼るべきかどうすべきか、まさに揺れる親心といったところかと思います。
塾に入れるべきかどうか?
「塾に入れるべきかどうか?」を検討する際には、次の4点を踏まえたいです。
(1)子供は行きたいと思っているか?
子供が強く嫌がっている状況で、親が無理強いしても意味が無いのは当然ですよね。
前向きな気持ちで通い始めるほうが効果が期待できるのは、塾に限った話ではありません。
それに、子供の主体性を育てるという意味でも、やはり最初の一歩だけは自分の意思で決めるように促したいものです。
(2)その子供にとって塾が必要か?
塾を万能薬のように考える方も多いですし、そういった力のある塾も稀にありますが、基本的には塾も「ツール」の1つに過ぎません。
一般的には、塾に入れれば受験や定期テストの得点力は上がりやすい代わりに、自主性や自立的に学ぶ力は犠牲になりやすいです。
また、歯が痛い時に目医者には行かないように、せっかく「つけたい力」があっても、その力を育てることのできない塾に入れていては、何にもならないですよね。
何しろ、本来塾は学力をつけるところなのですが、ついていくのに必要な一定の学力を、入る前の段階で求めるような塾も多いのが現状です。
問題を解決する方法は山ほどあって、塾によっても得意分野は変わりますし、塾というもの自体があくまでも選択肢の1つですから、「そもそも塾というツールがお子さんに合うかどうか」を見極めることが、やはり必要になってきます。
仮に子供が行きたがっているとしても、塾が合わない(または家庭学習やその他の方法のほうが合う)場合には、やはり通わせる意味が無いですから、そういった視点も押さえましょう。
(3)身近に良い塾があるか?
いくら塾が必要で、本人が行きたがっていても、身近に良い塾が無ければ検討する以前の問題ですよね。
良い塾は日本のあちこちにいくつも存在しますが、それが通える範囲に存在しなければ、子供や親御さんにとっては無いのと同じです。
「イマイチな塾でも、行かないよりは行ったほうがマシ」と考える人もいますが、薬を飲めば、必ず副作用があるように、塾の指導にはプラス効果だけでなくマイナス効果もあるものです。
現実には「行かないほうがマシ」な塾も山ほどあるわけで、安易な塾通いが逆に子供たちの可能性を駄目にしている現実もあることを忘れないようにしたいですね。
(4)その塾は子供に合っているか?
いくら良い塾があっても、それがお子さんに合っているかどうかは別問題です。
例えば、数学の苦手な子供は、数学の指導が得意な塾に入れたいですし、引っ込み思案の子供は、そういうところをフォローしてくれる塾に入れたいですよね。
英語が苦手で、手取り足取り丁寧に面倒を見てあげることが必要な段階の子供を、理系科目が得意(文系科目が苦手)で、あまり細かいことを言わずに子供の主体性に任せるタイプの塾に入れても、うまくいかないのは明らかです。
こうして書き出してみましたが、ほとんどの親御さんは無意識に考えていることばかりですよね?
別にチェックリストのようにして「1つ目は良し。2つ目は・・・」などとしなくても、塾を検討するとなったら、どれも自然と頭に浮かぶはずです。
ですから、ここまではざっと目を通して、気になる点だけを頭の片隅に置いておいていただければ十分でしょう。
それよりも、ここでの問題は「いくら考えても、親御さんだけでは、なかなか答えが出ない」ことだと思います。
せっかくですから、どういった点が問題になるのかも、順に見ていきましょう。
正しい判断をする上での問題点
(1)の子供の気持ちは、理解するよう努めれば大丈夫なはずです。
この点を忘れて、無理強いする形になってしまい、失敗してしまうご家庭は少なくありません。
一方で、子供の気持ちを理解すると言っても、わがままで塾を嫌がる子供の望みどおりにするという意味でもありません。
ここでは「最初の一歩だけは自分の意思で決めるように促す」ことを、ぜひ意識するようにしてみてください。
(ただ、今回は「本人が通いたがっている」という状況ですから、ここは問題なさそうですね)
(2)の必要性は、親御さんだけで判断するのが難しいところだと思います。
だからと言って、塾に相談すれば「うちに入ってください」「入らないと後で大変ですよ」などと言われるに決まっていますよね。
アパートにするかマイホームにするかを、マイホーム専門の住宅会社に相談しに行けば、聞く前から答えを誘導されることが分かりきっているのと同じです。
こういった場合、通える範囲「外」にある塾や専門家に相談するというのも1つの方法です。
通える範囲にあると、どうしてもバイアスがかかってしまいやすいですが、最初から対象外だと決まっていれば、客観的な意見を聞ける可能性が高まりますからね。
(なお、今回はこの点がご相談のメインテーマとなりそうですから、後で改めて深掘りしていきます)
(3)の良い塾があるかどうかは、不運にも近くに良い塾が存在しなければその時点で終了です。
こればかりは運と縁の話となりますから、自分で努力しても、誰かに相談しても何ともなりません。
一方、仮に良い塾が近くにあったとしても、どの塾がそうかを見極めるのはなかなか難しいです。
つまり「良い塾があるかどうか」とは別に、親御さんの側が「うまく見つけられるかどうか」も問題となるわけですね。
そのための情報収集にはどうしても時間がかかりますから、近くに良い塾が無いかどうかの「アンテナ」を、早め早めに張っておくようにすると良いと思います。
(4)の子供と塾との相性は、事前にしっかりと検討すれば、ミスマッチは減らせるはずです。
ただ、もともと良い塾自体が少ないのですから、候補は見つかっても「子供には合わなかった・・・」となる可能性は高まります。
また、塾が自分の弱みを堂々と自己申告してくれることは少ないですから、言葉の裏を読むようなことも求められます。
こういったあたりも含めて、子供が独力で判断するのはほぼ不可能ですから、周囲の大人のサポートが不可欠になってくるでしょう。
なお、相性は事前に判断するのが理想ですが、とりあえず入れてみて、しばらく様子を見てから判断するというのも1つの方法です。
ただし、それで子供が振り回されると大変ですから、事前の見極めは最大限するのはもちろんのこと、途中で変更する可能性があることなども、事前に本人にも伝えておくようにしたいですね。
こうしてざっと見てきただけでも、正しい判断をするのがなかなか難しいのはお分かりいただけると思います。
ただ、これらを踏まえることで、おおよそポイントを押さえた検討ができる可能性は高まるのではないでしょうか。
それでは続いて、お寄せいただいた内容に沿いながら、今回の事情に合った対応や、細かい部分についても見ていきましょう。
※ここからはご相談への個別の回答となるため非公開となります。続きは正会員の専用書庫をどうぞ
参考:塾を辞める時はこちら
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