失敗しない中学生の塾選び ~塾業界の裏側から見た、正しい塾の選び方~

この講座は、次のような方を対象にしたものとなります。

  • 塾を、新たに利用しようと考えている。
  • すでに塾に通っているが、別のところに変えようかと思っている。
  • 今の塾を続けるつもりだが、もっと上手に活用していきたい。

そのため、あくまでも「塾を利用する」ことが前提の話になっています。

 

ただ、塾業界にいる自分が言うのも何ですが、決して「塾通いを推奨する」つもりはありません。

誤解の無いように書いておきますと、個人的には、塾が無しで済むならそのほうが良いと思っています。

最終的には「学校や塾や先生がいらない生徒を育てる」のが、本来の教育の目指すところであって、「塾がいらない生徒」にまで塾通いをさせる必要は全くありません。

しかし一方で、学校教育が十分に機能していないこともあり、塾に通うべき生徒や、通ったほうがうまくいく生徒にまで独学を無理強いするのも厳しいのも現実です。

そういう意味で、あくまでも「塾が必要と思われる生徒にとって、より効果的な塾選びと活用をする」ための内容となります。

 

そして、今回の講座では、その手前の「塾を利用すべきか、そうでないか」については、ほとんど触れていません。

それを判断するには、生徒の個性や現状だけでなく、学校の学習環境や家庭の経済学習など、あまりにプライベートな要因が絡んでくるため、こうした場で語るのは全く不向きです。

あくまでも「塾を利用する際には、こういったことを考えると良いですよ」といった内容ですから、その点どうかご理解くださると幸いです。

 

なお、ここでは「塾」とだけ書いていますが、そこには個別指導塾や家庭教師など、様々な指導形態を含むと思ってください。

細かい違いについても中で触れていきますから、そのあたりはまた後ほどとさせてくださいね。

 

さて、今回の第0講では、塾選びの前提となる「塾業界の現状」を見つつ、塾を利用すべきかどうかのあたりの話に軽く触れていきましょう。

 

塾業界の現状から見た塾選び

学校だけで指導が完結してくれれば理想的ですが、今はそんな時代ではありません。

それどころか、家庭や塾でしている指導に対して、学校でマイナスの指導をしてくれるような場面も見かけるほどです。

そういう意味では、邪魔をしないだけでも幸運なほうだと言えてしまいそうなのが現実です。

 

そうした背景もあって、塾業界はこれまで成長を続けてきました。

しかし、これから少子化が本格化して、塾も過当競争の時代に入っていきます。

そのため、品質面と価格面での競争が行われ、塾同士の合併や提携も進み、低質な塾は淘汰されつつあります。

 

・・・と言いたいのですが、実際はまだまだその入口くらいで、そこまで大きな変化は現場レベルではまだ進んでいません。

 

現状を率直に言うと、良質な塾もちらほら存在するものの、今はまだロクでもない塾のほうが圧倒的に多い状況です。

授業料が高額で、それ以外にも多額のお金を巻き上げるくせに、指導内容はいい加減で、成績はちっとも上がらない塾もあります。

反対に、安い授業料なりにそのぶん指導もお粗末で、託児所程度の機能しか果たしていない、塾とは呼べない塾もあります。

高額ならばそれに見合った専門的な指導を、低価格でも最低限プロと呼べるだけの指導を、当たり前に提供できる環境が生まれることを願わずにはいられません。

 

さて、こういった中、今の塾業界では、虚偽と真実、悪意と善意、儲け主義と貢献主義が入り混じっています。

 

合格実績を偽り、生徒や保護者も騙し、あらゆる手段を使って生徒数を増やすことに血道を上げる塾もあります。

手にした収益を事業の拡大に費やし、売上や株価を上げることにばかり熱心で、日々の指導にちっとも還元しない塾もあります。

その一方で、儲からないことも率先してやり、地道な指導で地域の信頼を得て、目立たないながらも着実に実績を上げている塾もあります。

生徒が減って、ただでさえ少ない収益を指導に振り向け、ますます困窮に追い込まれて消えていく塾もあります。

 

指導力と営業力は別物であるため、生徒や保護者にとって良い塾が生き残る塾とは限らないのが悲しいところです。

少なくとも、今の時点においては、生徒や保護者にとって良いとは言いがたい塾が、かなり多くを占めているのが現実ですね。

 

 

塾がもたらしてくれるものと塾選び

そうした中で「どの塾に通わせるか」が、生徒たちの、ひいてはご家庭にとっても、大きな分岐点となるのが現実です。

なぜなら、塾がもたらしてくれるものは、塾選びの段階でほとんど決まってしまうからですね。

(もちろん、塾の活用法も大切ですし、そのポイントについても後ほど触れますが、何も持っていない塾からは引き出しようも無いわけで、やはり一定品質以上の塾に入れるのは絶対条件です)

 

実際に、塾がもたらしてくれるものは、塾によって様々です。

 

  • 真にお子さんのことを思って、厳しくも温かい適切な指導を、必死になってしてくれる塾がもたらすもの。
  • 保護者受けだけを狙って、毒も薬にもならないいい加減な指導を、とりあえず義務的にこなすだけの塾がもたらすもの。

 

  • 企業利益から考えればセオリー外の指導など、たとえ手間がかかっても真摯に面倒を見てくれる塾がもたらすもの。
  • 自塾の合格実績を伸ばすのにつながる上位層の生徒にしか興味がなく、他を犠牲にしても平気な儲け主義の塾がもたらすもの。

 

  • 生徒たちを自立させ、社会に出てからも自分の頭で考えて、自分の足で歩んでいけるよう育ててくれる塾がもたらすもの。
  • 指導の名を借りて塾にべったり依存させ、小中高と欠かさず通い続けてくれる理想的な「お客様」を育てる塾がもたらすもの。

 

  • ただ目の前の勉強だけでなく、もっと大事な力や、目的に向かって頑張る気力を育ててくれる塾がもたらすもの。
  • 学校生活や家庭の事情には目もくれず、やる気が無いのも宿題をしないのも「全て親の責任だ」と言い放つ塾がもたらすもの。

 

同じ塾でも、生徒や保護者が得られるものは、本当に大きく異なるものです。

 

あなたはいったい、塾に何を望むのでしょうか?

そして、今通わせている塾や、これから通わせる塾は、そうしたものをもたらしてくれるようなところなのでしょうか?

 

塾選びを通して、塾に何を期待するか?

理想的には、誰の力を借りずとも独力で、生徒が自ら進んで勉強していくような状態です。

しかし、まだ小中学生ともなれば、独力で100%やりこなすようなことは、滅多にあり得ないことですよね。

相当力のある生徒でも、70%や80%が限界で、足りない部分は、学校なり家庭なり塾なりでサポートしていくのが普通です。

そして、ここの「足りない部分」は、個々の生徒によって大きく異なります。

やる気があって、地力もあって、良い習慣も身についている生徒なら、足りない部分はわずかでしょう。

しかし、やる気が無くて、地力が無くて、良い習慣も身についていない生徒なら、足りない部分だらけとなります。

そのため、たとえ同じ学年の同じクラスでも、ある生徒Aの足りない部分は「20%」しか無いのに、すぐ隣の生徒Bは「90%」もあるような理不尽な状態が、普通に生まれます。

それだけの差がある生徒に、同じ教材を使って、全く同じ指導をするのですから、うまく機能しないのも当然と言えば当然ですよね。

さて、親御さんにとってここで必要になるのは、次の2つの視点です。

 

塾に頼るべき部分がどれくらいあるのか?

1つ目の視点は、お子さんに「足りない部分」がどれくらいあるかの把握です。

 

これは「他の子がどうか」や「同じ学年の平均がどうか」は全く関係ありません。

あくまでも、目の前の生徒がどうかだけが問題となります。

 

ここの部分を学校の先生に期待する人も多いわけですが、残念ながら今の学校の先生には、そんなに余裕がありません。

こうした「目の前の生徒だけ」を見るような関わりを「1人1人全ての生徒に対してする」のは、時間的にも力量的にも相当多くを求められます。

それに、最近の学校は、全ての生徒を平等(≠公平)に扱うことに絶対の重きを置いていますから、昔のように手の届く何人かの生徒にだけそういう関わりをしてくれるようなこともあまり期待できません。

 

今の一般的な学校に期待できるのは、あくまでも「他の生徒と同程度の指導」です。

そのため「足りない部分」が多い子供は、誰かがそこを補ってあげない限り、いつまでも救われない状態となりがちです。

だからこそ、こういった個々の部分は、他の誰でも無い、親御さんが把握してあげてほしいと思います。

(または、それをしてくれる別の誰かを用意してあげてください)

 

そして、もし「足りない部分」が少なければ、生徒の自助努力に任せて「自分で頑張りなさい」とやるのも1つの正解です。

しかし、「足りない部分」が多すぎる子には、そうした行為は単なる「放置」や「放棄」にしかなりません。

ぜひ、ここのところを踏まえて、お子さんにサポートが必要なのかどうか、必要だとするなら、どのくらい必要なのかを考えてみるようにしてあげてください。

(過保護や過干渉を含めた、最近ありがちな過剰なサポートを推奨しているわけではありません。あくまでも、その子に合わせてする、過不足の無いちょうど良いところですね)

 

その塾で補えるのか?

2つ目の視点は、お子さんの足りない部分を「誰がどれくらい補えるのか」です。

 

「この子は足りない部分が多いなあ」と見ているだけでは、弱った人を見殺しにするのと変わりません。

だからと言って、親御さんだけで全てを抱え込むのは無理がありますし、そんな必要もありません。

教育や子育てにおいて大事なのは、全てを1人が丸抱えするのではなく、地域や周囲の人間も含めた複数でサポートしていく発想です。

 

ですから、家庭で見ることのできる部分は見てやり、無理な部分は、上手に周囲の力を借りてください。

一言で「足りない部分」と言っても、今すぐでも家庭で見ることのできる部分、今は無理でも家庭で見ていくべき部分、家庭では無理な部分など、様々あるはずです。

それを踏まえて、親が頑張ってみる部分、学校の協力を仰ぐ部分、塾や専門家の力を頼る部分、本人に任せてみる部分、しばらく静観する部分・・・などを決めていくわけですね。

 

なお、ご家庭だけでは足りない部分を補う場合に、塾は有力な選択肢の1つとなります。

しかし、「足りない部分」は生徒によってバラバラですから、それに合う塾も、生徒によって変わることになります。

合格実績が全く参考にならないことはまた後で出てきますが、評判や口コミといったものさえ、それがお子さんに合ったもので無ければ、あまり参考にはなりません。

実際に、ある生徒にとって「最悪の塾」だったところが、別の生徒にとって「すごく良い塾」になるようなこともあるくらいです。

そういう意味でも、ただ単に「塾に入れる」のではない「塾選び」が大切になってきます。

 

中学生の塾選びの現実

塾選びと言うと、単純に「1人でも合格実績の多い塾を!」「少しでも評判の良い塾を!」となりがちですよね。

そういったことも大事かもしれませんが、本当に重要なのは、生徒の現状を分析し、塾の実態と力量を把握した上で、両者のマッチングを図ることです。

子供だけでも、塾(先生)だけでも無く、両方があってこそ成り立つのが教育です。

だからこそ、ちゃんと両方を見ながら選ぶことを意識されてくださいね。

 

ただし、現実の塾選びには、こういった要素の他に、もっといろいろな問題が絡んできます。

例えば、曜日や時間帯の都合もありますし、仕事や他の習い事との兼ね合いもあります。

金銭的な都合もありますし、距離的に通える範囲かどうかや送迎方法の有無の問題もあります。

そういったあたりまで含めると余計にややこしくなってきて、一概に「こうだ!」とはますます言えなくなっていきます(笑)

 

もしも、高額な塾に通わせても良いとお考えなら、分からないところを教えるだけでなく、反抗期の生徒の信頼を得つつ心のケアもしてくれて、同時に家庭学習のやり方まで含めた学習管理まで面倒を見てくれるようなところにすると、親御さんは反抗期対応に専念できて良いでしょう。

そこが、サービスの品質と指導力の高い塾でさえあれば、仮にご家庭での反抗期が改善せずとも、成績が改善することは普通に起こり得ます。

ただ、それだけの指導力がある塾を見つけるのは大変ですし、さらに生徒と先生の相性が合うとは限らないという、別の厄介な問題もあります。

 

一方で、生徒の信頼を得られずに心のケアまで全く手が回らない塾や、家庭学習は本人と家庭任せで最初から面倒を見るつもりの無い塾、さらには、生徒が分かるような解説さえちゃんとできない塾など、まずいほうの塾は山ほどあります。

これが低価格な塾なら諦めがついても、上のような面倒見の良い高額な塾と変わらない価格帯でしていることもあるのですから、塾選びの難しさを象徴しているとも言えます。

さらには、反抗期を理由にして成績が上がらないなどと言い訳する塾や、ご家庭の苦労もそっちのけで、生徒や親に責任を押しつけて来るなど、塾として以前に、教育者として論外な塾もたくさんあります。

 

講座の中では、論点を整理しつつ、優先順位をつけながら、分かりやすく説明していきたいと思います。

どうぞ続きをお楽しみくださいませ。

 

第1講 塾選びのロードマップ

「CMやチラシで見たことのある、すぐ近くの塾に入れてみようか」

こういった安易な塾の選び方で失敗してしまっているご家庭は驚くほどたくさんあります。

もちろん、そういった選び方でも運良くうまくいく場合もありますが、実際はごくごく少数の幸運な方に限られるのが現実です。

 

塾は月謝以外の出費もかなり多く、安くても年間30万円以上はかかるという高い買い物となります。

大金を払って、全く効果が得られない・・・という悲惨な結果にならないためにも、何となくの印象で決めてしまう「安易な塾選び」は避けたいものです。

 

ところが、困ったことに「正しい塾の選び方」はどこでも教えてくれません。

それこそ学校で教えてくれれば良いのですが(笑)、塾を過剰に敵視している学校もあれば、反対に塾と裏でつながっておかしな癒着関係にある学校もあって、正直なところ中立公平なアドバイスは期待できません。

もちろん、塾自身が発する自己宣伝の情報は参考になりませんし、広告や各種ランキング、比較サイトや口コミサイトなどの情報には自作自演のものが溢れています。

そのため、情報を集めれば集めるほど、むしろ正常な判断を妨げることにつながる危険性もあるのが実態です。

 

そうした中、身近に低質な塾ばかりがはびこっている現状には、同じ業界にいる者として申し訳ない思いでいっぱいです。

しかし、選ぶ側である消費者の目が肥えない限り、そういった粗悪な塾が減ることが無いのも現実です。

ぜひとも安易な選び方はやめて、お子さんに合った適切な塾を選び抜く「目」を持つことを意識してみてくださいね。

 

 

塾を検討する際の全体の流れ

それではまずこの第1講では、塾を検討する際に考えるべき順序と流れを押さえましょう。

ここでは「塾に入れようか・・・」と思いついた際に考えておきたいポイントを、大まかに辿っていきます。

より大事な部分は、後で順に触れていきますから、まずは大まかな全体像を軽く見ておいてくださいね。

 

続きは「正会員の専用書庫」でどうぞ。

 

 

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楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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