学校や塾の先生の学力について考えたことがあるでしょうか。

普通の人は、「先生になるくらいだから勉強はできるだろう」と思いますよね。

しかし現実は、必ずしもそうとは限りません。

 

先生たちの学力の実態

先生の中には、勉強ができる人もいれば、できない人もいます。

先生になるためには大学に入る必要がありますが、そのために必要な学力は意外と高くありません。

今では大学進学率が50%を軽く超えていますから、小中学校でクラスの真ん中より少し下の生徒でも先生になれる資格がある・・・と言えば、ハードルの低さが分かるでしょう。

 

また、大学受験に詳しくなると分かりますが、学力が高くなくても有名な大学に入る抜け道はいくらでもあります。

そういうのを抜きにしても、大学の入試は特定の教科だけで行われるため、例えば理科の先生なのに化学や物理が苦手という、学力的に大丈夫かという人が普通にいます。

また、少子化による人手不足で、採用基準もどんどん低くなっており、昔ほど難しい壁もなくなりました。

 

そもそも、受験勉強ができたことと、教師(教える立場)としての能力が高いことは全く一致しません。

成績の良い友達に教えてもらう時でも、分かりやすく教えてくれる友達もいれば、不親切で分かりにくい友達もいましたよね。

受験勉強を頑張ったかどうかよりも、受験後に良い先生になるための勉強を頑張ったかどうかのほうが大事なわけで、教師の力量を測る上では、有名大学を出たかどうかは正直あまり参考にならないのです。

 

教師として本当に必要なのは「教えるのに必要な学力」です。

仮に「学生時代に勉強ができなかった」としても、むしろそこから立ち直った人のほうが、有効な勉強法や指導法を身をもってマスターしていることも多いものです。

プロとしてその先に必要になるのは、単なる学力よりも、指導力、知性、人間性のほうなのですね。

 

そして何より、先生と言っても、所詮は職業の1つです。

「社会貢献がしたい!」と思って教師を目指す人もいれば、単に公務員という名の安定を求めて目指す人もいます。

教科指導そっちのけで部活動や出世に精を出す人もいますし、仕事はそこそこで趣味に命を燃やす人もいます。

大事なのは先生になった後の生き方・学び方であり、はるか昔の学生時代の学力などは、ただの参考数値の1つにしかならないのですね。

 

○ 参考:先生選びについてはこちらも。

塾の下位クラスは分かりにくい先生か?

 

教えるのに必要な学力

それでは「教えるのに必要な学力」とは何なのでしょう。

別に大学教授になるわけでも無いため、専門知識はそこまでいりません。

あったほうが良いですが、それを生徒に教える機会などは存在しませんからね。

 

また、「教育理論」「教育心理学」「指導技術」なども大切ですが、それは先生としての素養であって、学力とはちょっと違いますよね。

純粋な意味での「教えるのに必要な学力」とは、すなわち「中学校レベルの内容が分かって解けるか」というものです。

 

・・・・そうですね、ものすごくレベルの低い学力です(笑)

ところが、これすら無い先生が意外に多いのです。

 

試しに「数学」の先生に「英語」を聞いてみてください。

かなりの確率で「英語は苦手だから、英語の先生に聞きなさい」と言われるでしょう。

これは、言い換えると「自分は英語ができません」と言うのと同じです。

 

さらに、文系の先生に理科の問題を聞いてみてください。

かなり多くの先生は、ちょっと分からないどころか、壊滅的にできないはずです。

昔はできていたとしても、記憶がなくなっているため、定期テストを受ければ赤点をとるくらいの先生もかなり出てくるはずです。

 

実を言うと、学校か塾かに限らず、中学の先生は、教科指導に限って言うと、かなりお気楽な仕事です。

何しろ、生徒たちは500点満点のテストを受けているのに、自分は100点満点のテストしか見ないであれこれ言えるからですね。

 

もともと、教える人間がそのことを完璧にできる必要はありません。

プロスポーツの世界でも、名コーチが名選手だったとは限りませんよね。

別に自分ができなくても、その経験を踏まえて相手に上手に教えることは可能です。

 

ただし「上達しようと頑張った」経験が無いと、当然教えることはできません。

何より、相手の心に響きませんよね。

 

○ 参考:先生選びについてはこちらも。

学生バイト講師は良いか悪いか?

 

自分の学力不足を棚に上げる先生は信用できない

振り返ってみて、先生はどうでしょう。

得意、不得意はあるにせよ、できるように努力してきたのでしょうか?

 

「私は文系だから、理系は駄目なの」

「俺は理系だから、文系の内容は聞くな」

 

こういうことを平気で言ってしまう先生は、同じことを学生時代に言って、苦手教科をさっさと捨ててしまってきてはいないでしょうか。

そういう人に「苦手教科も頑張れ」などと言う資格はありません。

言うだけなら勝手ですが、生徒の心には響きません。

 

そして、これらのことは、良い大学を出ているかどうかでは測れません。

2-3科目で受験できてしまう大学は多いですし、何より大学全入時代ですから、「大学に入っている」=「厳しい受験戦争を勝ち抜いた」ともなりません。

選ばなければ誰でも入れますからね(笑)

 

逆に、無名な大学でもそこに入るために一生懸命努力した人ならば、その努力自体が指導に生きてくるでしょう。

大学に入ってから真剣に学べば、大学で遊びまくっている元優秀な学生など、すぐに追いつき、追い越してしまえます。

 

ですから、自分の教えていない教科を安易に他の先生に振るような先生は信用しないようにしましょう。

明らかに学力不足ですから。

 

○ 参考:先生選びについてはこちらも。

塾の先生に求められる能力(学校との違い)

 

あえて身を引く先生もいる

ただし、中には「自分が教えるよりもあの先生が教えたほうが良いから、あの先生に聞きなさい」と言う意味で、他の先生を奨める先生もいます。

教えようと思えば教えられるけれども、生徒のためを考えたら、より指導力と適性のある先生が教えたほうが良いに決まってますよね。

こういう先生はプロです。

 

実際、ある程度複数の教科が教えられる自信がある先生は、専門で無い教科まで「教えてやろうか?」と軽いノリで口出しをしてきます。

要するに、自分のことを「すごい」と思われたいのですが、これは生徒の学力向上にとっては迷惑極まりないです。

「そこそこ教えられる」程度の先生の指導など、バイト講師と変わりありません。

あくまでも「プロ」としての指導ができるレベルが求められているのですから。

 

「プロとして通用する指導ができるけれども、その自分よりさらに上の指導ができる人がいるからその人に譲る」こういった謙虚で客観的な対応をできるのが本当のプロです。

当たり前のようですが、もともと先生は自己顕示欲の強い人が多いため、これが実際にできる人は非常に少ないです。

こういう先生を探しましょう。

 

○ 参考:先生選びについてはこちらも。

生徒にとってベストな先生とは

 

良い先生を見抜くための基準

最後に、良い先生を見抜く最低限の基準の1つを教えましょう。

それは「その先生が、専門分野以外も勉強しているか」です。

 

英語の先生が理科や数学の本を読んでいたら、最低限はクリアです。

数学の先生が英会話の勉強でもしていたら、最低限はクリアです。

社会の先生が難しい社会の本を読んでいても当たり前ですよ。

そんなのは仕事だから当然です。

 

新しいことや、自分がやりたくないことから逃げずに頑張っているかが大事なのです。

嫌なことから逃げないのは、好きな教科はもちろん、指導法や教育技術などの研究も努力している可能性が高いですよね。

それに、いろいろ学んでいるからこそ、複数のことを同時に勉強する難しさも知っているでしょう。

 

1つの教科ができる専科の先生を「一芸に秀でたすごい人だ」と思うのはやめましょう。

中学校レベルの内容を教えるくらいは、別にすごくも何とも無いです。

それに、本当にすごければ、その道のプロか大学教授になっています。

中学生に教える程度の知識では、社会に出たら「それしかできないの?」と言われるわけで、それは「1つの教科ができる」では無く、「たった1つのことしかできない」のですね。

生徒が3年で学ぶ内容を、教師は何十年もかけて学んでいるのですから、その教科の先生ができるのは当たり前のことですし、それしかできないのはむしろ恥ずべきことです。

 

良い先生かどうかを測るのに、先生の学力や学歴だけを見るのは、もうやめましょう。

仮に受験だけに絞って見るとしても、その先生が「自分が受験を突破するためにどれだけ学んだか」よりも「自分の生徒が受験を突破できるようにするためにどれだけ学んだか」のほうが大事なはずです。

何よりも、そうした視点で選ぶ生徒や保護者が増えていかないと、良い先生も増えていかないですからね。

先生の持つ知識や過去の実績と言った表面的なものでは無く、「今の頑張り」という本質を見抜くことが、良い先生選び、良い塾選びにもつながるはずですよ。

 

なお、この記事は、先生を尊敬しない今の風潮を助長したいわけではありません。

実際には、上に書いたよりもはるかに頑張っている先生がたくさんいます。

そうした先生の多くは、実績も出しているでしょうから、生徒や保護者からも高い評価を得ていることでしょう。

 

一方で、「これからそうなろうと、今まさに頑張っている先生」は、正しい評価が得られない場面も大いにあるはずです。

しかし、今は力のある教師でも、そうなる過程においては、誰もが未熟な時代があったわけです。

ぜひこれからも学び続けて、力のある良い教師になってください。

そして、そういう頑張っている先生たちを、努力不足の先生たちと一緒に見て非難するのでは無く、優しく見守るような雰囲気が生まれると良いですね。

今まさに頑張っておられる先生方を心から応援しております。

 

○ 参考:先生選びについてはこちらも。

教科別、塾の良い先生

学校よりも塾の先生のほうが分かりやすくて頼りになる?

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楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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