中学生対象の塾(一般の公立小学生対象も含む)を利用する際に注意すべきことがあります。

それは、「中学生対象の塾は生徒に教えすぎることが多い」という点です。

 

中学生対象の塾とは?

世の中にある学習塾は、対象とする生徒によって、次の3つに分かれます。

  • 中学入試対応の、小学生のための塾
  • 高校入試対応の、中学生のための塾
  • 大学入試対応の、高校生のための塾

もちろん細かく言うと、高校入試対応の塾には、公立中学に進学する小学生も通っていますし、大学入試対応の塾には、中高一貫校に通う中学生も通っています。

さらに、同じ中高一貫校に通う中学生でも、大学入試対応ではなく、学校で良い成績を得ることに特化させた中高一貫校生のための塾に通う場合もあるなど、いろいろです。

ただ、細かく言うとキリがないですから、とりあえず今回テーマにするのは、大まかに「高校入試対応の、中学生のための塾」だと思ってください。

(これは「公立高校が優位にある県」の場合で、他の「私立高校が優位な県」だと微妙に異なる点もありますが、大まかには同じと思ってもらって構いません)

 

○ 参考:塾選びについてはこちらも。

学力別に見た中学生の塾選び

 

中学生対象の塾で注意すべきこと

塾通いをする生徒において意外と多いのが、「中学の間は塾に通い、高校になると塾に通わない」ケースです。

実業系高校やお金のかかる私立高校に進んだ場合は当然ですが、普通に公立高校に進んだ場合も、こういった選択をする家庭が多いです。

 

しかし、個人的な感覚で言わせてもらうと「中学で塾通い → 高校で塾無し」よりも「中学で塾無し → 高校で塾通い」のほうが安全です。

これは上にも書いたとおり、高校入試対応の塾のほとんどが「教えすぎ」だからです。

 

普段の塾の授業は、学校の授業よりも分かりやすく懇切丁寧に進めてくれます。

もちろん、学校よりも楽しい授業を展開してくれますし、入試に必要な知識もコンパクトにまとめて教えてくれます。また、授業の中で問題演習までしてくれます。

家で勉強できない生徒でも、ある程度までは塾の授業だけで対応できるようにしてくれるのですね。

 

さらに、授業が分からない生徒には、居残りで分かるまで教えてくれるところも多いです。

丁寧な塾だと、毎回の授業で確認テストまでしてくれますから、前回の授業の復習もできます。

分からないところがあっても、先生が丁寧に解説してくれます。

 

しかし、この状態は、見方を変えれば「過保護」とも言えます。

生徒は塾に与えられたとおりのことをしていくだけで、その方法が正しいかや、自分に合っているかを考える必要がありません。

もちろん、そんな受け身の生徒ばかりではない・・・と言いたいところですが、実際はかなり多くの生徒が言われたとおりにやっているだけの状態になります。

塾を利用することで、知らない間に、塾に依存する生徒に育てられているのですね。

(もちろん、生徒本人にそんな自覚はありません)

 

こうしたサポートが高校でも受けられれば問題ありません。

しかし、中学校の授業がそこまで頼りにならないのと同じくらい、高校の授業もそこまで頼りにできないのが実情です。

それに、塾でも映像を利用した授業が主流となってきてり、授業内容としては丁寧でも、サポートとしては手厚くなりません。

もちろん、中には手厚い授業とサポートをしてくれる塾もありますが、そういうところは費用も高くなりますから、誰でも利用できるわけではありません。

 

これはつまり、多くの生徒がこれまでと異なる環境に投げ出されることを意味します。

言ってみれば、オリの中からいきなり1人で草原に投げ出されるようなものですね。

 

中学まではそこそこ成績が良かったのに、高校になって急激に成績が低下する生徒がいます。

そういう生徒は、中学時代に手厚いタイプの塾に通っていることがとても多いです。

 

逆に、中学時代はそこまででもなかったのに、高校に入って急激に伸びる生徒もいます。

そういう生徒は、中学時代に塾に行っていない生徒や、塾に来ていてもあまり頼り切っていない生徒であることが多いです。

 

面白い法則ですが、おそらく中学・高校と同じ生徒を続けて指導された経験のある先生の多くが気づいていることでしょう。

与えられるような勉強ばかりをしていたから、自力で勉強することができないのですね。

魚ばかり与えて、魚のつり方を教えていないのです。

 

これは大手塾ほどその傾向が強いです。

たくさんの生徒が来ますから、一律に決まったカリキュラムやマニュアルに沿って指導していきます。

個々の生徒に合わせる余裕も無いですし、そのつもりもありません。

そもそも、企業化した塾の講師にそこまでの指導力も無ければ、会社の方針を破ってまで生徒に合わせて教えるような情熱もありません。

(この点は、学校とも似ていますね)

 

そして、教師側も魚を与えたほうが楽です。

つり方を教えるには、個々の生徒の特性を深くとらえないといけませんし、関わり方も深くなりますから、非常に多くの時間と手間がかかります。

大手塾ほど教師1人あたりの生徒数が多いですから、それだけの手間をかける余裕は無いのが現実です。

 

だからと言って、中小塾なら大丈夫かというと、そんなことは全くありません。

魚のつり方を教えるには、そのための全く別の、1段階も2段階も上の知識とスキルが必要になります。

そんな高い指導力を持った教員が、中小塾にいる可能性はやはり低いです。

どこも人材難ですからね(笑)

 

そのため、中学校で塾を利用する場合は、生徒が塾べったりの、「自力では何もできない人間」になってしまわないように注意が必要です。

学校が機能不全のせいか、「塾大好きっ子」は多いのですが、その中には「塾依存症っ子」も多いです。

塾が好きになることで勉強に前向きになるなら良いことですが、好きになるにも、なり方があるのですね。

 

○ 参考:塾選びについてはこちらも。

こんな塾には預けるな

 

教えすぎの先生にも要注意

「塾の先生は優しくて、何でも教えてくれて、頼りになって・・・」というのは危険です。

「塾は優しくて楽しいけど、必要な時には厳しくて自分のためになるし、成長している実感があってとても楽しい」というのが理想です。

生徒の受け止め方を見ると微妙な違いですが、実際に生徒の内面が成長しているかどうかを見ると、その差は歴然としています。

同じ1年教えただけでも、力のある教師とそうでない教師とでは比較にならないほどの成長差をもたらすのですね。

 

「何でも教えてくれる優しい先生」が良い先生だという価値観はやめましょう。

だからと言って、一部の対応の悪い学校のように、単なる放任で何もしない指導や、スパルタ式の無意味に厳しい指導もいけませんよ(笑)

大事なのは、生徒が塾に通い、教師と接する中で、目に見えて成長していくその姿です。

「うちの子、まだまだ頼りないけど、少しずつ成長してきたかな・・・」と思えるかどうかですね。

(親から見た子供は、いつまでたっても頼りないものですから、正しい判断は難しいですけれども)

 

高校に進学してから「しまった!」では遅すぎます。

そして、もちろんそれは高校の先生が悪いわけではなく、ましてや生徒に才能が無かったわけでもありません。

ひとえに、中学時代に面倒を見すぎて、依存症に仕立て上げてしまった塾や先生の指導が悪かったのですね。

 

以上を踏まえて、塾選びをするようにしてみてください。

 

○ 参考:塾選びについてはこちらも。

教えすぎないことの大切さ

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楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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