いよいよ塾の新年度募集にも力が入ってくる時期ですよね。

それにちなんで、塾の選び方で検索してくる方も増えてきたようです。

そこで、新年度に向けて塾選びのコツをご紹介しましょう。

 

○ 参考:塾選びについてはこちらも。

学力別に見た中学生の塾選び

 

やたらと早くから、何度もチラシを入れる塾は避ける

最近は塾同士の競争が加熱しており、1月頃からチラシを入れるところも多いです。

しかし、時期が早いことは特に構いません。先に入れるか後に入れるかの違いですからね。

 

問題は「回数が多い」ことです。

1度、チラシの回数を確認してみてください。

 

回数が多い塾を避ける理由は、それだけ余分なことにエネルギーを使っているからです。

この時期にチラシを続けて出せるのは、夏休みから冬休みにかけての受験生にとって最も大事な時期に、チラシを一生懸命作っていることになります。

もちろん、2、3、4月・・・と出し続けているところは、入試直前時期にも作っています。

ご苦労様なことですね。

 

しかし、これは生徒や保護者からすれば歓迎すべきことではありません。

大事な時期に、指導以外のことばかりに力を注いでもらっても困ります。

 

ちなみに、チラシ作成は教師の本業や適性とは全く異なりますから、思ったよりも手間や時間がかかります。

先生によっては、授業準備をそっちのけで、チラシ作成のような営業活動のためだけに残業を重ねることもあります。

慣れない作業ですから、しかた無い面もありますが、完全に本末転倒です。

 

もし教室長や責任者が自分で作っているとすれば、それはものすごい時間の浪費です。

そのため、実際にはかなり多くの塾が「事務や広報担当の社員にやらせる」か「外注する」という手をとります。

ですが、よく考えてみてください。

事務や広報担当にやらせるとすれば、それだけ「生徒の指導に関係の無い、無駄な社員を抱えている」ことになります。

大きな塾であれば、広報担当社員を抱えているのは当たり前ですが、その給料は全て生徒の授業料から出ていることを忘れてはいけません。

 

そして困ったことに、多くの塾では、現場で生徒を教えている社員よりも、そういった本部の社員のほうが高給をもらっているものです。

会社からすれば営業成績に関わることですから、評価が高くなるのは当然かもしれませんが、子供のためにと思って出したお金を、教材や環境ではなく、しかも目の前の先生でも無い、会ったことも無ければ、何かを教わることも無い人に「多大に」使われるのはおかしいと思いませんか?

もちろん、他の業界であれば何の問題も無いのですし、教育業界であってもビジネスである以上、一定の範囲内であればしかたありません。

ただ、そうしたことが見え隠れする塾は、他のところでも「指導よりもお金や利益」に目が行く、儲け主義の塾である可能性が高いことは念頭に置くべきでしょう。

 

また、外注は手間が省けて良いのですが、当然のことながらこちらもお金がかかります。

塾を運営していく以上、ある程度の広告宣伝費は避けられないのですが、ものには「限度」がありますよね。

2-3回程度のチラシならば許せますが、4回、5回と毎月のように、時には小学生と中学生と高校生とそれぞれ分けて別のチラシを作っているような塾もたくさんあります。

しかも地区を絞ってではなく、近隣市町村への全戸配布ですから、「いったいどれだけお金を使えば気が済むのか」と思ってしまいます。

逆に「生徒はそこそこいるのに、お金が無くてチラシも出せない」ような塾は、経営上は上手だとは言えませんが(笑)、授業料を生徒にちゃんと還元しているわけですから、教育上は信頼できます。

(ただし、指導力があるかどうかは別の話です)

 

ちょっとくどくなりましたが、チラシの回数が多い塾には注意しましょう。

 

○ 参考:塾選びについてはこちらも。

良い塾の選び方・見抜き方 塾選びの判断基準

 

生徒や保護者の声を多用しすぎる塾は避ける

生徒の声があると、やはり説得力が増しますよね。

他業種でもマーケティングにおいて「お客様の声」は必須項目となっています。

 

ただ、気をつけてほしいのは、教育業界は他業種よりも「情報を加工することに抵抗が少ない」ことです。

「教科書や市販教材などの違法コピーは当たり前。問題などの著作権無視もどこ吹く風。子供から得た個人情報もずさんに管理し、室内にはテストやプリント、時には個人情報の書かれた書類が散乱している・・・」

そんな塾はたくさんあります。

むしろ、そちらのほうが多いくらいです。

 

法律的なことをとやかく言うつもりはありませんが、基本的にそういった「モラル」や「コンプライアンス(法令遵守)」の意識が薄いのが、教育関係者に共通した弱点(問題点)です。

情報加工くらいはかわいいもので、実際には不当に得た情報や優位性を利用して、セクハラや痴漢など、問題行動で処分を受ける人数も多いですよね。

(もちろん、そういう犯罪者や問題教師は一部で、頑張ってくれている先生はたくさんいます)

 

こういった大きなところの話は横に置くとして、例えば生徒の作文を改ざんするくらいのことは、教師にとっては朝飯前です。

よくある作文コンクールなどでも、「どう考えてもこの年齢の子供が変える表現では無いだろう」と思われる文章があり、実際にその生徒に会って話してみると「この言語能力では、ますますあり得ない」と感じることも多いです。

これなどはしごく当たり前に改ざんが行われている好例ですよね。

 

これは実際に生徒に聞くと、いろいろ教えてくれます。

書くのが憚れるくらい、いやらしいやり方をしていることもあります。

ただ、「生徒の代わりに作品を提出する」のは、保護者の方でもやっている方はたくさんいると思いますから、あまり細かく言うのはやめておきます(笑)

 

また、合格実績の数字やその他のデータも、その塾が自分で出しているものについては、あまり参考になりません。

出典が書いてあっても、そのままは信用しないほうが無難です。

そもそも、教師は生徒や保護者が自分に都合良く動いてもらうように、指導内容や話す内容を微妙に改ざんすることがあります。

実際、非常に評判の良い別の先生の話を聞いていて、「それは嘘だろう」「まるで宗教団体みたいだ」と思うことも日常茶飯事です。

 

特に広告などのデータはいくらでもいじれるものですから、全く信用できません。

広告会社も言われたとおりに作るだけですから、見た目がきれいな広告だからと言って安心しないでくださいね。

広告は「こんな塾があるのか」と受け止める程度にとどめ、周囲の口コミを聞くことや、面談で直接話すなどして決めるのが良いでしょう。

(特に塾には「口八丁」の先生が多いため、自塾の良いところばかり言ってまるめこむことは朝飯前です)

 

話がそれましたが、生徒の声や保護者の声があったからと言って、それ自体がマイナス評価にはなりません。

しかし、やたらとたくさんの声が並んでいたり、塾にとって都合の良いことばかり書かれていたりするようなのは、情報加工をしている疑いが強まりますし、少なくとも自己顕示欲の強さという点で、高い人間性と持った教育者の特性としては一致しません。

それに、そもそも個人情報にこだわるこのご時世に、写真入りの声がいくつもずらっと並ぶこと自体がおかしい状況であると、勘の良い方であればその違和感に気づくはずです。

裏で謝礼金を渡すなど、いわばステマと同じことをしているところがほとんどですから、少なくとも塾の良し悪しを測る情報源としては採用しないようにしましょう。

(塾以外でも、ネット上のサイトやサービスなどでも、生徒や保護者の声と一緒にずらりと写真を並べたところは、できるだけ距離を置くようにしたいですね)

 

○ 参考:塾選びについてはこちらも。

親が関わり過ぎると、塾が困る理由

 

合格実績を強調しすぎる塾は避ける

合格実績は、大きければ良いというものではありません。

 

何しろ、大きな塾は生徒が多いため、自動的に数字が大きくなります。

しかし、そのことと「自分の子供がそうなる」こととは全く別問題ですよね。

 

例えば、10人中10人が合格する塾と、1,000人中500人が合格して500人が不合格になる塾とでは、500人合格になる塾のほうが「合格実績は良い」と評価されます。

しかし、「合格率」のほうを見れば一目瞭然で、前者は100%が合格しているのに、後者は50%しか合格していないわけですから、評価は正反対になります。

ただ、いつでも「合格率」を見れば良いというわけでもなく、現実に無理な高校は受験させないようにすることで、高い合格率になるよう操作している塾もありますから、これも必ずしも参考にはなりません。

 

他に、塾の力量が分かるものと言えば、「もともと成績の良くなかった生徒が、指導の結果できるようになった」事例の多さでしょう。

しかし、それを多くの生徒で実現できる塾は少なく、チラシやプロフィールなどで見かけるのは、たまたまできたレアケースを取り上げて大げさに言う例がほとんどなだけに困ったものです。

ただ少なくとも、はじめから余裕で合格できる賢い生徒だけを集めて実績が出ても、自慢にも何にもならないことは、忘れないようにしたいですね。

(それを自慢している塾がほとんどなのですけれども)

 

合格実績にこだわるのは、他に大して売りが無いことを意味します。

逆に、合格実績が出ないために、定期テストで「**中学平均で***点」とやる塾もありますが、それも本質的には同じですね。

実績の1つとして紹介している程度なら良いですが、そればかり大々的にやるのはおかしいです。

 

参考までに、全国学習塾協会が2020年2月に始めた「合格実績自己適合宣言マーク」というのがあります。

これは、合格実績に関する自主基準を満たした塾に無料で提供するものですが、この基準が『受験直前の6ヵ月間の内、3ヵ月30時間を超えた生徒を対象にする』となっています。

つまり、受験が2月だったら、「9月から11月の3ヶ月間、週に2時間くらいの授業を受けただけで辞めてしまい、12月以降は通ってもいない生徒」「9月から2月まで、週にたったの1時間だけ通っていた生徒」も、合格実績に含めて良いという意味になります。

普通に塾に通っていたら、受験直前でこんなに少ない時間になるはずが無いわけで、受験対策講座のようなオプションだけ通う生徒でもカウントできるように、低めのハードルになっているわけですね。

(裏をかけば、模試を2回(9月と11月に各5時間)と、冬期講習(12-1月に20時間)を受講するだけでカウントできそうですが、どうなのでしょうか)

 

ここで重要なのは、これがこの基準でも従来からするとしっかりしたものであり、業界の自主基準として胸を張れるレベルであることです。

実際にはこのマークさえもらえない塾(=この基準さえ守れない)が山のようにあるわけですから、いかにこの業界の出す合格実績が参考にならないか分かると思います。

数字は説得力がありますし、動かせない事実を表しているような気がしますが、実際は処理の仕方や見せ方次第で、いくらでも都合良く動かせるものです。

塾選びの「1つの参考」とするぶんには構いませんが、それを絶対視したり、一番の決め手にしたりすることの無いようにしてくださいね。

 

○ 参考:塾選びについてはこちらも。

こんな塾には預けるな

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楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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