中学生の反抗期への対処に、どうしたものかと頭を悩ませている方はとても多いです。
親御さんや保護者の方はもちろんのこと、学校の先生や塾の講師などの教える立場にある人や、それ以外の中学生と関わる立場の人にも、困っている方は少なくありません。
そこで、改善のための方法や正解を求めて探してみても、参考になる情報が見つからない・・・ということは、ほとんどありませんよね。
今は、ネット、書籍、雑誌、テレビ、動画・・・など、少し周囲を見渡すだけでも、それこそ無限のように見つかるはずです。
実際に、スマホで軽く検索しただけでも、いろいろなところで、いろいろな人が、いろいろなことを教えてくれています。
しかし、そうして得られる情報の全てが正しいということはなく、中には間違った情報も混ざっています。
こうなってくると、「情報を手に入れる」ことよりも、「手に入れた情報を選別する」ことのほうが難しいはずです。
そこで今回は、世間で目や耳にする「反抗期の対処法」について、実際のところはどうなのかを見ていくことにしましょう。
とりあえず、検索すると上のほうに出てくるものが有名(?)だろうということで、ざっと取り上げてみますが、なぜかどこも似たような内容ばかりですね(笑)
以下を読めば、ポイントはひととおり押さえられるかと思いますから、よろしければ参考にしてください。
もちろん、「よく目や耳にすることばかり」「どれも知っている」と感じたとしても当然ですから、その点はお許しくださいね。
(これら以外の、独自の視点や方法論については、他の記事やメールマガジンなどを参照してください)
反抗期の中学生に関わる上でのポイント
基本的な生活環境を整える
- 生活リズムを整える
- 朝食をとらせる
- 挨拶や声掛けを欠かさない
- 勉強に集中できる環境を準備する
- 食生活を見直す
- 安心して帰れる居場所にする
まずは基本的な生活環境に関するものですね。
朝食については、科学的にも意見の分かれるところですが、全体的におおよそ納得のいくところでしょうか。
ただし、いずれも「反抗期の中学生」に限ったものではなく、子育て全般に共通するものとなるため、人によっては情報として雑音かもしれませんね。
ちなみに、反抗期に起こる諸問題の中には、食事が原因で起こるとされているものもあります。
あくまでも「そういう説がある」というものですが、もしも当てはまる事柄がある場合は、1つの可能性として食事や食生活を見直すのはありでしょう。
効果があれば良しですし、効果が得られなくても、他のことと違って副作用や反動がなく、安心してできますからね。
反抗期・思春期であることを踏まえた対応をする
- ストレスを抱えやすいことを理解する
- 適度な距離感を持って接する、子供が作る距離に合わせる
- 距離を置きつつも、気にかける姿勢を示す
- 周りの目を強く意識しがちなことを意識する
絶対にすべきとまでは言えないですし、できている家庭では不要ですが、できていない家庭では意識してみると良いことですね。
「そうするのが良いことなのは分かるが、具体的にどうすれば良いのか分からない」というものが多いと思いますが、1つ1つ必要に応じて、別で調べるか学ぶかしていくことになるでしょう。
ただ、いずれも反抗期がひどくならないように事前にしておくべきことですから、反抗期がひどくて困っている場合には、これだけだと足りない場合がほとんどでしょう。
そういうケースでは、直接的には効果が薄いけれども、こういったあたりでの理解や対処が必要な場合もあることを、前提知識として踏まえておくようにはしたいですね。
自立を促す対応をする
- 責任感を持たせる
- 自由と責任を与える
- 子供の自立心を認める
- 自立につながる対応かどうか自問する
反抗期は、親から精神的に自立しようとする時期でもあります。
それを押し留めようとすると悪化しやすく、逆に自立を促す方向で関わるのが基本です。
具体的にどうするのか・・・といったあたりは、後に出てくる項目にも参考になるものがちらほら見つかると思います。
もちろん、本格的にしようと思ったら、関わる側の意識改革やスキル習得も必要になってきますから、改めて学んでいけると良いですね。
子供に対して、適切な関心を持つ
- 子供が好きなこと、興味を持っていること、頑張っていること
- 健康状態や精神状態
- (勉強以外の)直面している悩みや問題、コンプレックス
- 交友関係
幼少期と違い、親と興味・関心の方向性が大きく異なってくるのが反抗期の特徴です。
そうなると、親が関心を持っていることをテーマに話をしたくなってしまいますが、まずは子供が関心を持っていることに対して、関心を持つのが基本です。
同様に、「親が知りたいこと」よりも「子供が知りたいこと」に目を向けるほうが、うまくいく場合が多くなってくるでしょう。
そして、心身の変化が激しい時期ですから、健康状態や精神状態などに関心を持つべきというのは、誰しもが納得のいくところでしょう。
また、反抗期・思春期には交友関係が大きな影響を及ぼすため、把握できるならしておくに越したことはないです。
ただ、全てを把握することは難しいですし、把握しようとする行為それ自体が、反抗を招く場合もあるのが厄介なところです。
反抗期が悪化してからする対応ではなく、悪化する前からしておきたい対応ですね。
一方、そこまで関心を持つべきでないのに、親が関心を持ちすぎてしまうのがこちらですね。
- 勉強や成績
- テストの結果、通知表
- 子供が苦手なこと、できないこと
- 親が子供に興味を持ってもらいたいこと
- (子供ではなく)親が心配・不安なこと
勉強や成績のことに関心を持つのは悪くありませんが、それ「ばかり」に偏ってしまう状態はいびつですよね。
この時期の子供たちが抱える課題や問題は非常にたくさんあるわけで、勉強や成績への関心は「全体の一部」であるのが正しいです。
また、子供の抱える「問題」には関心を持ちたいですが、それが「子供の問題だと親が思うもの」になると、途端に「親の問題」にすり替わることがある点には注意したいですね。
反抗期に求められる臨機応変な対応
- ルールを守らせる
- 干渉しすぎない
- 静かに見守る
- 必要であれば助言する
干渉しすぎると反抗期を悪化させがちです。
ところで反抗期の子供は、今まで大丈夫だった様々なルールを嫌がるようになります。
嫌がるルールを守らせるのは、すなわち干渉ですから、自然と多くの場面で干渉するような状態になります。
一方で干渉すべきでないと言いつつ、もう一方では干渉すべきだと言う・・・このように、真逆のことを平気で求めてくるのが、この業界の専門家(?)たちです。
本当に求められるのは、その子やその場に応じた適度な対応であり、両極端の間にある「ちょうど良いところ」です。
臨機応変な対応が求められるのは当然のことで、置かれた状況や場面によって正解は変わりますから、質問や相談をするなら、そういった事情や背景を踏まえてにしましょう。
反抗期に限らずしたほうが良い対応
- 褒めて自信を持たせる
- 子供の話に耳を傾ける
- 自己否定を少なくする
- 自己肯定感を大きくする
これらはそのとおりですし、できていない場合は心がけると良いです。
ただ、実を言うと、そもそも反抗期に限らない話で、これまでちゃんとしてきた人は多いはずです。
これまでし足りない場合や、現状できていない場合は、意識してみることで、不足が補われて良い結果を得やすいでしょう。
- 家庭の方針を曲げない
- 怒るラインを決めておく
- 会話の途中で遮らない
これらは反抗期にすると良い対応として紹介されることが多いですが、本来は反抗期でなくてもするべきことですね。
幼少期は、こういったことに気を配らなくても、親子の力関係によって強引に何とかなってしまうというだけです。
こうした積み重ねが、後の反抗期をひどくしているのが本当のところですから、悪化した場合の改善時だけでなく、予防の意味でも意識したほうが良いでしょう。
- 父親と母親で役割分担する
これをあちこちで見かけますが、このジェンダーレスの時代に、何とも配慮の足りない指摘です。
シングルの家庭も増えていますし、実際にシングルでも反抗期に悩まされずに過ごしている家庭もたくさんありますから、これは必ずしも当てはまらないでしょう。
ただし、1人で複数の役割を適切にこなすのは技術的に大変という意味で、家庭内で役割分担をしたほうが対応をしやすくなるというのは正しいです。
もちろん、それが夫婦や男女である必要はないですし、そもそも家庭内で完結する必要も無いですから、学校や塾も含めた様々な存在とうまく役割分担をしていきたいですね。
反抗期に限らずしないほうが良い対応
- 長々と説教しない
- しつこく怒らない
- 感情的にならない
- 決めつけた言い方をしない
- 人格を否定するようなことは言わない
これらもそのとおりですが、やはり反抗期に限らない話ですね。
幼い子供が相手でも同じですから、ぜひやめておきましょう。
反抗期の時期に心がけると良いこと
-
大きな気持ちでゆったり構える
- イライラせずに受け流す
- 気晴らしの時間を持つ
- 家庭の方針を曲げない
これらも同じく、反抗期に限らず心がけたほうが良いことですね。
ただ、反抗期の時期には、褒めるに値する場面が減ったり、幼い頃と比べて可愛げがなくなったりで、イライラさせられる場面が増えがちです。
昔はできていても、反抗期になっていつの間にかできなくなっていた・・・という方もいるでしょうから、見直してみるのも良いでしょう。
参考:反抗期の正しい対処法はこちらも
反抗期の中学生への声かけや対応のポイント
他の子供と比べない
これはとても重要であると同時に、極めて基本的とも言えるものですね。
かなり多くの方が無意識に比較してしまっていますが、これをやめるだけでも反抗期の悪化は避けやすくなります。
反対に、すでに反抗期がひどくなっている場合は、これだけでは改善はしませんが、まずこれをやめるのが第一ですから、ぜひ意識したいですね。
頑張っていることを応援する
これは、上の「他の子供と比べない」と、セットとも対極とも言えるものです。
子供と関わる際にはとても大切なことだけに、できていない人はぜひとも心がけたいですね。
なお、これとは反対に、相手が頑張っていることを否定する親や先生も多いわけですが、もちろんこれは論外です。
全体としては賛成でも、部分的に問題がある場合には、助言や軌道修正をしたくなるわけですが、だからと言っていきなり否定や駄目出しから入るのはよくありません。
全体としては賛成であることを、まずいったんはしっかりと伝えた上で、慌てず順に後から個別の問題点を修正していくようにしたいですね。
子供が喜ぶことをしてあげる
これは反抗期に限らないのですが、反抗期で関係が悪化しているのを改善したい時にも有効な関わり方の1つです。
意味もなくお小遣いをあげたりなど、子供におもねったり迎合したりするようなのは厳禁ですが、親として子供にするのが当たり前の行動なら大丈夫です。
例えば、多くのサイトで「子供の話を聞く」ことを勧めていますが、これも子供が喜ぶことの1つと言えます。
「時間を作って話を聞いてやる」「共感的に聞く」など表現はいろいろですが、子供の気持ちに寄り添いながら、子供が気分良く話せるように聞いてやることの大切さはそのとおりです。
大人は子供に対して、つい自分のしたい話題(勉強のことなど)ばかり取り上げてしまいがちですが、9割は子供のしたい話題にしておくくらいがちょうど良いです。
他にも、子供の好きな料理を作ってあげたり、一緒に遊んだり出かけたりしたがる子供なら、そのための時間を作ってあげるのも効果的です。
子供が何かお願いをしてきた時や、口にはしなくても内心でやりたがっていることがあるようなら、それを叶えてあげるのも良いでしょう。
面倒だと思う方もいるでしょうし、続けられないほど面倒なことはするべきではありませんが、面倒に感じることこそ効果があるというのも覚えておきたいです。
ただし、「子供の要求をできる限り聞かなければならない」「できるだけ甘やかしてあげるべきだ」などと受け止めるような危険なことはしないでおきましょうね。
ご褒美を使って勉強させる(×)
テストで何点以上をとったらお小遣いを・・・といった具合に、ご褒美を使ってやる気を出させるのを、素晴らしい方法論のように言う人も一部にいますが、これはやめておきましょう。
もちろん、かなり高い確率で一時的な効果は得られるのですが、こういった方法論は、短期的には確実に効果があっても、長期的には副作用やマイナスのほうが大きいことが、複数の科学的な研究からも指摘されていることです。
やる気を出させるのは、プロであってもできない人が多いという技術的に難しい分野であるがゆえに、こういった安易な方法論に頼ってしまいたくなるのはしかたないところかもしれませんが、他にもやりようはいくらでもあります。
大人になって仕事で報酬を得るのと同じだ・・・などとそれっぽい理屈をつける人もいまうが、正常な感覚を持った親御さんならば直感的にまずいことだと感じるはずですから、その感覚を信じるようにされてくださいね。
子供の考え・行動・現状を認める
上で「子供の話を聞く」ことに触れましたが、その中で子供の意見や考えを「認める」のもまた、大切なことです。
ただし、同じ「認める」でも、特に反抗期において重要なのは、幼少期でもするべき「同意や賛成をする」「意見を採用する」というニュアンスよりも、「一人前の大人扱いする」「子供扱いしすぎない」というニュアンスのほうですね。
これは、長年に渡って継続的に付き合ってきた親の立場だと余計に難しい関わりですから、できていない場合は意識的に取り入れていけると良いですね。
なお、認める対象は、意見や考えだけでなく、行動や現状といったものも含みます。
もちろん、何でもかんでも認めれば良いというわけではないですし、認めてはいけない種類のものもあるわけですが、大筋としては「認め足りない」ことのほうが多いものです。
こちら側が絶対に譲るべきでない部分はしっかりと守りつつも、逆に子供が譲れないと感じる部分については、こちらが譲ってあげてみてくださいね。
落ち着いている時に話しかける
幼い子供を相手に、力技で何とか押さえこむ保護者の行動をよく見かけますが、もともとそれは不正解の対処法であり、子供が大きくなると通用しなくなります。
意見が衝突したり、相手が興奮したりした時には、その場ですぐに解決しようとせず、相手が落ち着くのを待って、必要なら落ち着いた場所に移動してから、話をするようなことも必要になってくるでしょう。
特に、反抗期の子供はカッとなったり、イライラしたりしやすくなりますから、余計に意識しておけると良いですね。
ちなみに、子供がイライラしていなくても、話しかけるタイミングに気を配るほうが良いというのはあります。
例えば、何かに熱中している時に話しかければ、そうでない時に話しかけるより、不機嫌な反応を返される可能性は高まるでしょう。
幼少期は親の都合を優先してくれますが、思春期・反抗期になると、最低でも対等、時には自分のほうが優先されますから、一定の配慮はしておいても良いでしょう。
指示・命令は避けて、依頼するように話す
指示や命令は、そのまま干渉になるため、それを避ける言い方をするのも効果的です。
例えば、「これをやりなさい」ではなく、「これをやってほしいんだけど」「これをお願いしてもいいかな」などの言い回しですね。
ただし、反抗期の子供は、相手との力関係に極めて敏感なこともあり、こういった言い方が裏目に出る場合もありますから、子供や状況に応じてにしておきましょう。
必要の無い確認はしない
いくら大きくなったとは言え、相手はまだ子供ですから、確認が全く必要無いということはあり得ません。
しかし、過干渉を避ける意味でも、相手の自立したい気持ちを尊重する意味でも、必要の無い確認はしないほうが得策です。
少なくとも、幼少期の頃と同じ調子で細かいことまで確認をするのは危険ですから、これを機会に確認のしかたや内容を変えてみてはいかがでしょうか。
家庭内で役割を与える
お手伝いという形にせよ、家族の役割分担という形にせよ、家庭内で役割を与えることは、自立を促したり自己肯定感を高めたりすることにつながります。
自由に伴う責任を学ぶ意味もありますし、勉強に関すること以外でコミュニケーションの機会を増やすことにもつながります。
ただし、反抗期が悪化した後では難しいですから、ある程度まで改善してからか、そうなる前の予防策といった位置づけになってくるでしょう。
見守る姿勢を貫く(×)
厳しく接するべきだとするほうが多かった昔と比べて、最近はこちらの意見がとても多いですよね。
しかし、これはこれで、うまくいく場合とうまくいかない場合が大きく分かれる諸刃の剣です。
本当に求められるのは「見守るべき場合は見守り、サポートすべき場合はサポートし、干渉すべき場合は干渉する」ことです。
実際に、見守るだけでうまくいく子供もいますが、それは「見守るだけでうまくいく子供だった」というだけです。
反対に、見守るだけでいたら悪化してしまったケースもあるのが現実で、一個人の成功例を取り上げて、「そのアプローチがいつでも正しい」とするのは間違いです。
上のほうでも触れたとおり、子供の特性や状況に応じた臨機応変な対応が求められるのは当然で、どちらか一方の対応だけで良いことは稀ですから、気をつけましょう。
参考:反抗期の正しい対処法はこちらも
終わりに
いろいろと見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
- 反抗期の対応として正しいもの
- 間違っているもの
- 一部が正しくて一部が間違っているもの
- 状況によって正解にも不正解にもなるもの
- そもそも、反抗期に限らないもの
・・・など、様々なものがありましたね。
ちなみに、こうやってポイントを並べていくタイプの記事がネット上では人気で、検索でも上位表示をされますよね。
しかし、実際の改善に役立つかと言うと、やや疑問が残るところで、「ああ、そうか!」と気づきはあるものの、それで終わりという方のほうが多いでしょう。
もう少し具体的な内容だったり、どういった手順で進めるかだったり、状況に応じた細かい調節のしかただったり・・・までがないと、物足りないかなと思います。
念のため、今回はあくまでも他に合わせてみただけで、普段はもう少し実際的な内容をお届けしています。
サイト内の他の記事だけでなく、メールマガジン内の教育相談や、順を追って学べるメール講座などの形でもお届けしていますから、よろしければ参考にしてくださいね。
参考:反抗期への理想的な対応はこちら
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楠木塾長
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