世の中にはとてもたくさんの子育て本があります。

幼少期の子育てからはじまって、思春期や反抗期の子育てに至るまで、その種類も様々です。

また、成績の上がる方法や勉強の進め方に関する本なども、数えればキリがありません。

さらに、今は本だけでなく、テレビや雑誌、さらにはネット上にもたくさんの情報が溢れかえっています。

もちろん、私のサイトもその1つですね(笑)

 

たくさんの子育て本やサイトの中には、有益な情報もあれば、とても役に立つとは思えない情報もあります。

情報が少なくて困ることが無くなった代わりに、素人が語るだけの低質な情報や、嘘やフェイクが入り混じるようになり、情報を見る目が問われるようになりました。

情報の「収集」に加えて「選別」も必要になったことで、どこからどうやって情報を得るかが、生徒や保護者に問われていると言えますよね。

そこで、子育てや勉強法に関して、本やサイトやメディアなどで手に入る各種教育情報を正しく読むための「最大のポイント」をお伝えしましょう。

 

○ 参考:反抗期の基本的な対処法はこちらをどうぞ。

反抗期の対処法 小学生・中学生の反抗期にどう対応するか?

 

子育て本を正しく読むためのポイント

「こんな子には、こうすればうまくいく」

「このとおりにやったら、みるみる成績が上がった!」

・・・とあるけれども、自分(わが子)はうまくいかない!

 

こういった経験がある人も多いと思います。

また、そのとおりにやって、少しだけ状況が改善したものの、すぐに戻ってしまうことも多いでしょう。

そういった失敗や不調が生まれるのには、大きな原因があります。

 

実のところ、子育て本に書かれている内容のほとんどは、次の2つのどちらかです。

 

(1)一般論

業界のスタンダードや、一般的に広く当てはまる方法ですね。

例えば、「脳の仕組みからこうなる」「最新の科学的な研究からこう言える」といったものはよく見かけると思います。

 

(2)具体例

個々の家庭での実際の事例や、先生が教えた際の体験談などですね。

「こんなふうに対応したらうまくいった」「落ちこぼれだった生徒が大逆転で有名大学に合格した」というような話はこちらです。

 

子育て本を読む際には、このどちらなのかによって、読み方が変わってきます。

 

子育ての一般論:そのまま当てはまれば誰も苦労しない。

もともと一般論とは、多くの人に「おおよそ」当てはまることはあっても、そのまま「ぴったり」当てはまることは滅多にないというものです。

確かに、子育ての一般論は「ああ、確かにそうだ!」と思うような内容が多いですし、細かいところに目をつぶれば、当てはまる子供の数も多いです。

しかし、特に子育てや教育において重要なのは、その「細かいところ」であり、そこに目をつぶってうまくいくようなら、誰も苦労はしていませよんね。

中でも、子供が反抗期になってくると、自我が強くなってきて個性化も進むため、子育ての一般論はますます当てはまりにくくなります。

 

実のところ、教育のプロになるために教職課程や研修などで学ぶのも、言ってみればたくさんの一般論です。

しかし、本当に重要なのは「その一般論を、どうやって個々の生徒に合わせてカスタマイズするか」のところで、それができないといつまで経っても素人のままです。

それなのに、ここの話がごっそり抜けている(と同時に、そもそも書き手も実践できていない)子育て本や教育書がとても多いという現実があります。

だから、読んだ時は「ああ、そうか。早速やってみよう」と思うのですが、やっても効果が出ないし、効果が出ても続きません。

(そもそも、同じ方法を続けていれば、途中で効果が出づらくなるのは当たり前で、そこからいかにうまく工夫していくところが本番なのですが・・・そういう当たり前のことも書かれていません)

 

もちろん読み手の側が、書いてある一般論を自力でうまく「応用」できれば良いのですが、そこは一気にハードルが上がります。

それが簡単にできるのならば、先生になる人達にもたくさんの教育書を読ませておけば済むという話になって、こんなに楽なことはありません(笑)

実際には、どれだけたくさんの一般論を教え込んだところで、それだけで上手に指導ができるようになることなど無いですよね。

そのため、一般論だけで終わらずに「どうやって応用させるかのところまで」考えなら読むことがとても大切になります。

そして、それが自力では難しいということであれば、そこまで教えてくれるものを読むようにしたいですね。

 

○ 参考:反抗期で勉強しない子供への対応についてはこちらもどうぞ。

反抗期で勉強しない子にどう対応するか?

 

子育ての具体例:「その人がたまたまうまくいった」という意味しか持たない。

育児や指導の成功例、合格体験記など、個別の具体例はとても参考になります。

しかし、それが自分に「ぴったり」当てはまることは滅多にありません。

同じ人は存在しないのですから、当たり前ですよね。

 

そもそも、子育てに関するほとんどの具体例は「その人がやってみて、たまたまうまくいった」というものばかりです。

「同じようにすれば自分もうまくいく」と思うかもしれませんが、実際には「その子にはうまくいったけど、他の子だと失敗する」というようなものも多いです。

前提条件を揃えればうまくいくことも増えるのですが、前提条件が同じでもないのに、同じやり方をして、同じようにうまくいくことを願うのは、少し無理がありますよね。

 

特に問題なのは、もとの前提条件が良すぎて、揃えられないものが多いことです。

  • 低偏差値から難関大学に逆転合格した・・・けど、実はもともと難関中学の生徒だった
  • 母親が教えて東大に合格した・・・けど、実はかなり裕福な家庭で幼少期からかなりのお金をつぎ込んでいた

こんな実話は有名ですが、これでは「子育て法どうこう以前に、もともとの条件が良かっただけでは?」という話ですよね。

前提条件が良ければうまくいきやすいのは当たり前で、それこそ一般的な家庭の、一般的な子供でうまくいった具体例でなければ、参考にならないはずですよね。

 

もちろん、自分に近い具体例を知ることで、状況が改善することはあります。

しかし、そういった「自分でもうまくいく具体例」と出会うためには、本で言ったらそれこそ何十冊・何百冊と探し続ける覚悟が必要です。

そうした努力をせず、安易に手近なところから「自分と同じだ!」と思い込んで真似しても、残念な結果にしかなりません。

少なくとも、遺伝子や経済状況といった同じ前提条件を揃えることができないものは除いて参考にしていきたいですね。

 

反抗期の子育てに求められるのは、情報を正しく受け取る力

一般論を応用させて自分に当てはめるのも、自分に合った具体例を探し出すのも、どちらも簡単なことではありません。

実を言えば、一般論を応用させるのも、具体例から自分専用の方法を抽出するのも、どちらも学校教育が目指す「科学的な思考力」であり、ある意味で本当の「生きる力」です。

しかし、現実の学校では、生徒はもちろんのこと、親や先生ですらそういう教育を受けてきてはいませんよね。

それゆえに、もともとそういうことができる一部の人だけが実行できて、そうでないほとんどの人は何となく納得するだけで終わってしまうことになりがちです。

 

なお、こういった情報の受け止め方の違いは、子育て本に限らないことです。

だからこそ生徒たちには、見たまま読んだままではなく、一般論を応用させたり、具体例から自分専用の方法を抽出したりするような、ワンランク上の「情報を正しく受け止める力」を育てていってあげたいものです。

これもまた、学校や塾の授業を受け身で受けるだけの勉強では永遠に身につかない、とても大切な力の1つです。

 

さらに、重要な注意点があります。

 

反抗期の子育てはマニュアル化できる?!

料理をレシピの通りに作っても、人によって微妙に味が変わりますよね。

たとえ完璧に同じレシピを使っても、プロと素人の作る料理には大きな差があります。

 

ダイエット本や減量ノウハウも山ほどありますが、ダイエットで悩む女性はゼロにはなりません。

「自分の体重」という、たった1つのことを見ても、なかなか思い通りにはならないものです。

 

ましてや、教育の対象は「人」そのものです。

人間の「脳」であり「心」であり「体」です。

マニュアルを読んで、その通りにやってうまくいくほど簡単なはずがありません。

 

反抗期の子育て本の欠点

それに、実を言うと、ほとんどの子育て本は「マニュアル」にすらなっていません

あくまでも「こういう傾向があるよ(一般論)」「こうすることでうまくいった人がいるよ(具体例)」だけで終わっているものがほとんどです。

極端に言えば「宝くじを買うと1億円当たることがあるよ」「このお店で買って当たった人が何人もいるらしいよ」と言うのと似ています(笑)

 

例えば、「生徒が分からないところは、分かるまで説明する」という、誰でも分かる一般論があります。

1対1で教えていて、生徒が自分で分からないところがあれば、そこを分かるように教えてあげるのが普通ですよね?

マニュアル化するまでもないくらいの、指導の基本マニュアルです。

そして、マニュアルで言われるまでもなく、全ての先生が心がけていることでしょう。

 

ところが、分からないままで学校や塾から帰ってくる生徒は、後を絶ちません。

もちろん、ほとんどの教師が「分からないところは教えてあげよう」「分からない生徒をなくしてあげたい」と思っていますよ。

それでも、「分からない」まま家に帰ってくる生徒たちが、学校か塾かに関わらず、今でも山のようにいるのが現実です。

 

そうなってしまう理由の1つは、生徒が「分からない」ことにさえなかなか気づけないことです。

「先生、ここが分かりません」と言ってくれるなら楽なのですが、勉強が苦手な生徒ほどそういうことが言えません。

場合によっては「どこが分からないか分からない」「本当は分かっていないのに、分かった気になっている」こともあります。

そういう時に「この子は分かっていないから、ここで止まってしっかり説明しよう」となるか、「分からないか聞いたら、大丈夫と言ったので先に進もう」となるかは、その場の教師の判断次第です。

 

「その場の教師の判断次第」

何とも曖昧で、頼りない言葉です。

 

分かるか分からないかについての生徒の言葉はそのまま信用できません。

病気の人に「大丈夫ですか?」「どこが悪いの?」と聞いて、その答えにどれほどの意味があるでしょう。

困っている当事者に聞いて全てが分かるならば、教師も医者もいりませんよね。

特に理解度については、生徒の頭の中の出来事なのですから、教師の判断力に任せるしか無いのは事実です。

 

しかし、生徒が分からないことや、本当はどこでつまずいているかを見抜く目を持った教師は意外に少ないですよね。

それは、生徒の言葉以外の、声質やトーン、表情や動作、問いかけに対する反応の内容や速度、実際の答案など、いろいろな視点で「本当に分かっているのか」「分かっているとしても、どれだけ分かっているのか」「分かっていないならどこが分からないのか」を判断しなければならないからで、とてもマニュアルなどでは語り尽くせないバックグラウンドの技量が問われるからです。

医学書を全て丸暗記すれば、誰でも名医になれるかと言えば、そうではありませんよね。

教育書やマニュアルを丸暗記するだけでは、良い教師にはなれないのです。

 

○ 参考:反抗期で成績が低下する生徒も少なくありません。

「反抗期で成績が下がった」その理由と対処法

 

反抗期の子育ての難しさ

「分からないことを教える」という、それこそ最も基本中の基本であっても、こういった曖昧な状態です。

それくらい、教育をマニュアル化するのはとてつもなく大変なことなのですね。

それを、マニュアル化すらしていない、たかだか一般論や具体例を並べただけの子育て本を読み、それをそのままやったところで「すぐにうまくいく」と考えるのはあまりにも早とちりです。

これは一般論や具体例が悪いという意味ではなく、「情報の種類や性質を分かった上で利用しなければならない」という意味ですね。

無責任な情報を発する側にも非はありますが、そうした情報を利用する側の責任も否定できないのです。

 

「分からないことへの対応」などは、一例に過ぎません。

何につけても、最後の一番大事な部分は「実際に勉強しているあなた(生徒)」「目の前で見ているあなた(親・教師)」に全てがかかっているのです。

目の前の現実に沿ってこそ、初めて意味のある対応ができます。

様々な情報に惑わされるのではなく、「目の前の事実」に隠れたあなただけの「真実」を見つけ出してください。

そして、地球上にも歴史上にも同じ人間は1人もいないように、その真実は全ての生徒、保護者にとって、全くばらばらの「特別のもの」なのですね

 

反抗期の子育てにおいて、絶対に忘れてはいけないこと

反抗期の子育てに迷って、子育て本や教育サイトを探すのは悪いことではありません。

しかし、どれだけ子育て本や教育サイトを見ても、「あなた(またはあなたのお子さん)だけに合わせて書かれたものは1つも無い」ことは忘れないでください。

これが真実であり、反抗期の子育てに関する様々な情報を目にする際に踏まえておくべき最大のポイントです。

 

もちろん、単なる一般論や具体例であっても、あらゆる可能性を考えながら、読み手に合わせて良心的に書いてくれているものであれば良いでしょう。

しかし、多くの反抗期の子育てに関する情報は、そうなっていません。

  • 科学的な根拠や豊富な実践が伴わない、根拠薄弱な決めつけばかりの「一般論」
  • たまたま好条件が整って、偶然その人がうまくいっただけの、特殊な一例に過ぎない「具体例」

こういった、要するに「素人でも誰でも書けてしまう、いい加減なもの」が本当に多く出回っているのが現実です。

そういったものも、もちろん一定の価値があることは否定しませんが、それはあくまでもドラマやストーリーとして楽しむためであり、「自分にもそのまま当てはまる」と思って読むのは、あまりに危険です。

ここまで書いてきたとおり、読んだことを鵜呑みにするのではない、1つ先の力が求められるということを、忘れないようにしてくださいね。

 

○ 参考:反抗期の子供への上手な関わり方

反抗期の子供への上手な関わり方・親の接し方

 

反抗期の子育ての学び方

教育は「人」を育てることであり、子育てとは「命」そのものを育てることです。

一般論や具体例も大切ですが、それだけで全てがどうにかなるほど軽いものではありません。

残念ながら、これは私のブログも同じです。

一般論や具体例だけで終わらないよう、できるだけ気をつけてはいますが、やはり完全に「あなただけ」のものにはなり得ません。

 

そして、上の話を踏まえると「マニュアルの通りにやってもうまくいかない」ことが、たとえ学校や塾内であっても普通に起こることは分かってもらえたと思います。

多くの先生はそれなりに大学で学び、それなりに研修なども受けていますが、そういった「それなり」程度でうまくいくほど教育は甘くありません。

それこそ真剣に、骨身を削って研究や実践をしてきた先生でも、うまくいかずに日々改善を繰り返しているのですからね。

 

  • 本の通りにやってもうまくいかない・・・
  • 自分なりに応用させてもやっぱりうまくいかない・・・

 

真面目な人ほど「うまくいかないのは自分のせいだ」「自分は駄目だ」などと自分を責めてしまうものです。

これは生徒、保護者、先生、そしてその他の人々でも同じですよね。

子育て本や教育サイトを一生懸命探すような人だからこそ、それらを読むことで逆に悩みが増えてしまう人もいます。

悩みを減らしたくて読んでいるのに、それでは本末転倒ですよね。

 

いつの時代でも、教える際に一番頼りになる情報は、自分自身で苦労して見つけ出したものです。

 

一般論を見つけたら、その中から自分や子供に合う部分を抜き出し、必要に応じてカスタマイズをしてください。

そうすれば、その一般論はすでに一般的な情報ではなく、あなただけに当てはまる個別的・具体的な情報となっているでしょう。

 

具体例を見つけたら、書き手に都合の良い部分や、隠れている前提条件を見抜き、取り払ってください。

そうやって前提条件を揃えた上で実践・活用することができれば、成功の確率を飛躍的に高めることができるでしょう。

 

こういった、いわば一般論を具体例に近づけ、具体例を一般論に近づける作業をすることで、情報は生きたものへと変わります。

 

子育て本や教育サイトはあくまでも「情報源の1つ」として捉え、目の前の事実を大事にし、自分だけの真実を見つける視点を忘れないでください。

このことは、そのままあなたのお子さんだけでなく、あなた自身の未来の人生を豊かにすることにもつながるはずですから。

 

○ 参考:反抗期について学びたい方はこちらもどうぞ。

反抗期はいつごろ終わる?

良い反抗期と悪い反抗期

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楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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