小学生・中学生の子供たちの、突然の反抗期に苦労される親御さんはとても多いです。

我々のようにその年代の生徒ばかりを教えていると、「反抗期」は当たり前の見慣れた現象です。

しかし、当の親御さんからすれば、反抗期によって子供が突然のように豹変してしまうのは戸惑うばかりですよね。

ここでは、小学生・中学生の反抗期に関する基本的なことから対処法についてまでを、順に見ていきたいと思います。

 

反抗期はいつからはじまるのか?

  • 反抗期は、どの時期に起こるのか?
  • 反抗期は、いつから始まって、いつ終わるのか?
  • 反抗期は、どのくらいの期間(時期)続くのか?

これから反抗期を迎えるという方には、「反抗期がいつから始まるか」が気になるところですよね。

 

子供たちの反抗期には、何種類かがあります。

一番有名なのは、2-3歳頃に訪れるものを「第一次反抗期」、思春期に訪れるものを「第二次反抗期」と呼ぶ分け方でしょうか。

また、その間の年齢で訪れるものを「中間反抗期」と呼んだり、20歳を過ぎてから訪れるものを「第三次反抗期」と呼ぶこともあります。

他にも、もっと細かく、幼児期、小学校低学年、中学年、高学年・・・と分けていくような見方もあります。

 

幼児期の反抗期(第一次反抗期)

2-3歳頃から急に自己主張の強くなりはじめる、いわゆる「イヤイヤ期」とも呼ばれる時期ですね。

事あるごとに「駄目」「嫌だ」と言われて、苦労をされた思い出のあるご家庭もあるかもしれません。

こちらについて調べたくて、このサイトを訪れる方はほとんどいないでしょうから、ここでは流しておきます。

 

小学校低学年くらいの反抗期(中間反抗期)

小学生低学年から中学年くらいに訪れる反抗期ですね。

この反抗期が起こる原因は、大きく言って2つあります。

  • 第二次反抗期が早めに来ている
  • その子供特有の育てにくさがそう感じさせる

1つ目は、早熟な子供や成長の早い子供に起こるものですね。

また、親の関わり方が良くないせいで、わざわざ地雷を踏むようにして、反抗的な反応を早い段階から呼び寄せてしまっているケースもあります。

これについては、第二次反抗期での対応がほとんどそのまま通じますから、このまま後の内容を参考にしてください。

 

2つ目は、反抗期という「期間」で起こるものではなく、いわば生まれつきの特性のようなものですね。

子供の生まれつきの性格や気質などといったものが原因のこともありますし、発達障害やそのグレーゾーンなどの影響が潜んでいることもあります。

こういった子供には特有の育てにくさがあり、それが親からすると反抗期のように感じるというわけですね。

 

思春期の反抗期(第二次反抗期)

今回のテーマである、思春期の反抗期です。

こちらの反抗期は、早ければ小学校の5年生くらいから、一般的には中1になるあたりからスタートします。

中学生になって、急に距離が生まれたように感じて寂しいという方もいるでしょうし、会話が成立しづらくなったと感じる方や、こちらの言葉が届きにくくなってきたという方もいるでしょう。

もちろん、子供によって個人差も大きく、小学生のもっと早い学年から反抗期に入る子供もいますし、逆に大学生になって遅咲き(?)の反抗期を迎える子供もいます。

 

また、反抗する対象についても、実は個人差が大きいです。

日常生活のあらゆることに反抗的な態度を見せる子供もいれば、勉強について口出しした時に限って反抗する子供もいます。

ただ、中学受験に挑んでいるご家庭では、どうしても親からの関与が多くなりがちなため、反抗期が来たせいで、急に教えにくくなってしまったり、受験後の反動で反抗期が来て、親子関係が大きく変わってしまったりという方もいるでしょう。

男子と女子の反抗期が始まる時期

反抗期の男女差も見ておきましょう。

  • 男子:中1後半から中2以降に始まることが多い
  • 女子:男子より早く、小学生のうちから始まることも多い

実際に、反抗期の息子と娘が両方いるような家庭では、娘のほうが早熟なのに、息子のほうはどうにも幼いと感じるケースも多いようです。

そのぶん、反抗期のピークや終了もずれるわけですが、このあたり女子のほうが精神年齢が高いことからも納得のいくところだと思います。

もちろん、個人差の大きいところですから、もっと遅い子もいれば、もっと早い子もいますから、その子に応じた対処が必要になってくると言えます。

反抗期が無い場合

最近は反抗期らしい反抗期が全く無いままの子供も散見されます。

こう言うと、「反抗期が無いとはうらやましい!」と思われる親御さんも多いかもしれませんね(笑)

しかし、親子関係が良好な代わりに、自立心が弱かったり、依存心が強すぎたりする場合も多いため、それはそれで安心はできません。

(その点で不安があれば、当然ながら別の手立てを講じることも必要になるため、決して単純に楽になるわけでは無いです)

 

反抗期が無いことに関する不安については、こちらの記事を参照ください。

反抗期がないと将来不安?

一方こちらの記事は、反抗期が起きた場合がテーマですから、このまま先に進みますね。

反抗期と性格・発達障害

反抗期の話をしていると、「うちの子は、幼少期からずっと反抗的だ」と感じる親御さんもたまにいらっしゃいます。

これについては、本当に反抗期が早いだけの子供も中にはいますが、実は生来の性格だったり発達障害だったりに要因がある、子供自身の特性という場合もあります。

これらは反抗期と一緒にしがちですが、やはり別物ですから、実際の反抗期はもう少し後になって訪れる可能性が残ります。

その場合、もともと反抗的であるがゆえに、反抗期が来ても大して変化のない子供もいれば、逆に反抗期でもう一段階大変なことになる子供もいます。

いずれにしても、本人の特性から来る反抗的な性格や気質と、成長によって生じる反抗期とは、重なる部分もあれば異なる部分もあることは、踏まえておきたいところです。

 

反抗期のピークはいつか?

男子の反抗期のピーク

男子の反抗期のピークは中2の中頃から中3の夏休みまでのどこかで来る生徒が多いです。

中2の夏以降が特に中だるみしやすかったり、中3の夏休みに問題を起こしやすかったりするのも、このあたりとつながっていますね。

女子の反抗期のピーク

一方、女子のピークはもう少し前にずれて、中1から中2くらいの間に終えてしまう生徒も多いです。

中学入学のあたりで大崩れして、中2くらいまでは遊びまくっていた生徒が、中3くらいになるとすっかり落ち着いているようなのが多いのも、ちょうどしっくりくると思います。

 

ただし、反抗期が「ピークを迎える」と言っても、美貌や運動能力のように自然と衰えていくものではありません。

反抗期特有のイライラ感といった熱病のような症状だけ見ると、一定の時期にピークを迎えて収まるのですが、それはあくまで子供の中の話です。

それに端を発した、子供の態度の悪さだったり、成績の低下だったり、険悪になった親子関係だったりは、その後も関係なく続いていきます。

 

そのため、場合によっては、いつまでもピークを迎えずにずっと悪くなり続けるようなこともあるのが、反抗期の厄介なところです。

それに対して、関わる親の側が心身ともに疲れ果て「放置、放棄、放任」するような関わり方になってしまうと、様々な形で親に返ってきますから、そうなる前に手を打つことがとても大切です。

 

反抗期はいつ終わるのか?

「反抗期がいつ始まるのか」と並んで気になるのは、「反抗期がいつ終わるのか」でしょう。

男子の反抗期の終わり

男子の反抗期の終わりは、早ければ中3の夏休み以降から受験までの間のどこかというケースが多いです。

実際には、高校受験を機に一段落するケースが多く、その前後で対応を間違えなければ、そのまま収束することも起こりやすいです。

ただ、その前後で対応を間違えていたせいで、いったん収まったように見えた反抗期が、高校入学後に再び悪化するようなケースもあります。

また、中高一貫校の場合だと、高校受験という区切りがないために、もう少し後ずれして高1から高2くらいまで続くようなケースも増えてきます。

とは言え、スタートが早い子供だと、中3になる前にはすでに落ち着いているようなこともありますから、細かいことは子供次第だと思ってくださいね。

女子の反抗期の終わり

女子の反抗期の終わりは、スタートやピークの時期と同じく、男子よりももう少し前にずれます。

そのため、中3くらいには、すでに終えてしまっているといったケースも多くなってきます。

また、男子と違って、受験を機に・・・といったケースは少なくなるため、こちらは中高一貫校の影響も少なめです。

とは言え、女子でもかなり遅めに反抗期を迎える子供は(大人も)いますから、やはり細かいことは子供次第だと思ってください。

反抗期はいつまで続くのか?

上記のように、反抗期がいつ終わるかは、いつ始まったかによる部分が大きいです。

小学生で始まれば、中学生までに終わってしまうようなケースも出てきますし、高校生になってから始まれば、大学に進む頃まで続くようなケースも出てきます。

それでも、子供の成長に合わせて、「反抗期特有のイライラや感情の揺れ」などの問題は必ず終わるものですから、そこは安心してください。

 

ただし、これは子供の内面的な変化についての話です。

反抗期によって影響を受けた外部の問題・・・例えば、壊れてしまった親子関係がいつ改善するかや、下がってしまった成績がいつ回復するかは、また別の話です。

子供の内面的な変化が落ち着くのに合わせて、悪くなった親子関係や成績がそこで急に改善するケースもありますし、それとは話が別だとばかりに、悪い状態がいつまでも続くようなケースもあります。

これについては、適切な関わり方さえしていければ、必ず一定期間で終わるものですし、反対に適切な関わり方をしないままだと、いつまでもずるずる続くこともあるというのが答えになります。

このあたりは当の子供次第だけでなく、周囲の環境や身近な人間のサポート次第といった部分も大きいことは踏まえておきたいですね。

 

 

なお、反抗期の終わりがいつなのかや、反抗期が終わるきっかけ、反抗期が長引いてしまう原因や、反抗期が終わるサイン・シグナルについてなど、より詳しいことはこちらの記事を参照してください。

反抗期はいつごろ終わる?

反抗期とはどういったものか?

思春期に起こる反抗期は、子供や家庭によって、程度の差がとても大きいです。

ただ、実際に遭遇した方にとっては、幼少期のイヤイヤ期とは比較にならないくらい大変だと感じるようなものなのは間違いありません。

ここでは、反抗期によくある子供の反応や、失敗のメカニズムを見ておきましょう。

 

反抗期の子供が見せる、よくある反応

まず多いのは、今でしていたことを「しなくなる」現象です。

  • 返事をしない
  • 話をしない
  • 挨拶をしない
  • (自分が悪くても)謝らない
  • 約束を守らない
  • 片付けない(部屋を汚す)
  • 勉強をしない

同じく、今までしなかったことを「するようになる」現象も多いです。

  • 屁理屈を言う
  • わがままを言う
  • 生意気な口をきく
  • 汚い言葉を使う
  • 部屋にこもる

また、精神的に不安定にもなります。

  • いつもイライラしている
  • いつも疲れている
  • ネガティブな言葉を使う(うざいなど)
  • 乱暴な言葉を使う(クソババアなど)
  • 自棄(やけ)になる
  • ノイローゼ気味になる
  • やる気がなくなる

なお、これらは子供だけでなく、反抗期に悩まされた親の側もなりがちな状態です。

もし自分がそうなっていると感じる部分があるなら、少し落ち着いて気持ち(と体勢)を立て直すことが必要でしょう。

 

そして、さらに状態が悪くなると、いわゆる問題行動をするようにもなります。

  • 嘘をつく
  • 無気力になる
  • 家出する
  • 暴言を吐く(死ねなど)
  • 物を壊す
  • 暴力を振るう(手が出る)
  • 学校を休む(登校拒否、不登校)

こういった現象が出てきたら、状況はかなり進んでいると思って良いです。

逆に言えば、こうなる前にできるだけ早く、有効な手を打つようにしていきたいですね。

 

○ 参考:反抗期の良い悪いを知っていますか?

良い反抗期と悪い反抗期

 

反抗期における男女の違い

反抗期には、男女の違いも大きく出てきます。

共通する部分もありますし、それぞれで特徴的な反応もあります。

ただ、最終的には個々の子供の個性の問題になってきますから、あまり深入りはせず参考程度で十分でしょう。

 

反抗期の息子の場合

反抗期が悪化しやすいのは、母親と息子の組み合わせのほうです。

これは、母親自身が女性であるために、男性である息子の反抗期がどういうものか、知識としても感覚としても分かりづらいというのが大きいです。

そのため、娘(女の子)の場合は「扱いにくくなった」と感じる期間が長いのですが、息子(男の子)の場合は、わりとすぐに「どうして良いか分からない」と感じるようなことが多いです。

そのせいで、知らず知らずのうちにNG対応や地雷を踏むような言動をしてしまっている母親も少なくありません。

 

○ 参考:反抗期で勉強嫌いの息子

反抗期で勉強嫌いの中学生息子への対応

 

反抗期の娘の場合

相手が娘(女の子)の場合、「扱いにくい」と感じる場面が多くなってきます。

息子(男の子)のように、いきなりコミュニケーション自体が成立しにくくなるわけでは無いけれども、今までと比べて素直に入っていきにくくなる状態ですね。

ただ、ここで悪い対応を続けていると、単なる「扱いにくい」から、次第に「手に負えない」状態へと進んでいくことになります。

同性で気持ちが分かるために、うまい関わりがしやすい一方で、気持ちが分かるからこそ、手を抜いてしまったり、痛いところを突きすぎたりして、状況を悪化させるケースも少なくありません。

 

○ 参考:反抗期で勉強しない娘

反抗期の娘との関わり方

 

小学生・中学生の反抗期をどうやって終わらせるか?

親からすると厄介極まりない反抗期ですが、果たしてどうすれば早く終わらせることができるのでしょうか。

周囲の環境を整えたり、子供の内面的な変化を待ったり・・・などいろいろありますが、やはり一番は「親の側が関わり方を改善する」に尽きます。

簡単に言えば、反抗期を呼び寄せる関わりや、反抗期をひどくする関わりを減らし、反抗期をやわらげる関わりを増やすことですね。

 

実際には、反抗期のピークが過ぎ、そこからさらに時間が経てば、自然と収まっていくことはあります。

しかし、本当に「何もしないで良くなる」ことはほとんどなく、各家庭でいろいろな努力や苦労をし、その結果として終わりを迎えるというのが実際のところです。

そして反対に、何の努力や工夫もしないで、反抗期を放置し、子供を見捨てるようなことをして、状況が致命的なほどに悪くなってしまうケースもあるのが、あまり語られない現実です。

 

反抗期の悩みを相談すると、身近な先輩ママ・先輩パパから、「反抗期も時間さえ経てば、いつか必ず終わるから」と励ましを受けることもあるでしょう。

しかし、そうした人の中には、そもそも子供に反抗期が無かったり、軽い反抗で済んでしまって、大きな反抗で苦労をしたことが無い人もいます。

それに、大きな反抗で苦労した人たちにしても、家庭内で地道な努力や工夫をして乗り越えてきたわけで、決して「時間さえ経てば勝手に良くなる」というものではありません

 

今まで数多くの生徒や家庭を見てきた中で、ただ1つ確実に言えるのは、「反抗期を一瞬で終わらせる方法は存在しない」ことです。

反抗期は突然に始まることはあっても、突然に終わるようなことは、ほとんど無いと思ってください。

 

・・・とは言え、いざ悩みの渦中にあると、そういう画期的なテクニックや特効薬のようなものを、つい求めてしまう気持ちになってしまう人は少なくないでしょう。

それに、「時間をかけて地道に頑張りましょう」と言われるよりも、「こうすればすぐに良くなります!」と言われたほうが、読む気にもなりますよね?

しかし、反抗期とは子供の成長の段階でもありますから、それなりの時間をかけて徐々に少しずつ変化していくのが本当の姿です。

そういう意味では、反抗期は「終わらせる」ものと言うよりも、親子で一緒に「乗り越える」「乗り切る」ものと言うほうが正しいかもしれません。

ぜひ、安易な道や間違った道に迷い込むことなく、地道ではあっても必要な手を着実に打っていくことを大事にしてくださいね。

 

○ 参考:反抗期はいつごろ終わるのか?

反抗期はいつごろ終わる?

 

反抗期をこれ以上ひどくしないための対処法

反抗期に悩んで検索をし、今これを読まれている方もいると思います。

実際に、反抗期対応に関する書籍やサイトは山ほどあって、そこで書かれていることも、良いものから悪いものまで様々です。

そのためか、そうやってあちこちで調べたことを家庭で試してみても、なかなかうまくいかずに悩みを深める方も少なくありません。

 

反抗期で悩む多くの方は「どうすれば良くなるか?」と思って調べたり、人から聞いたりしては実践しますよね。

しかし、客観的に見ると、反抗期をますますひどくさせるような対応をしているケースも多いものです。

そこでここでは、「反抗期をこれ以上ひどくしないために、絶対にこれだけは避けてほしい」ことを3つに絞って見ていきましょう。

 

反抗期対応の落とし穴(1) 反抗しはじめる前までと同じ対処法を続けてしまう

反抗するしないに関わらず、思春期というのは子供にとってとても大きな変化の時期です。

もちろん、外見的にも大きく変化しますが、内面的にはそれよりもはるかに大きく変化をし、それこそ別の人間に生まれ変わるくらいのインパクトをもたらす場合もあります。

それなのに、こちらの関わり方が今までと全く変わらないとすれば・・・少しくらい問題が起きたとしても不思議は無いですよね?

 

子供が大きく変化する時期だからこそ、親もそれなりの変化が求められる・・・それがこの時期なのですね。

それこそ、仮に親への反抗が全く見られなかったとしても、ある程度は対応を変えることが求められるほどです。

それが、反抗期で頭を悩ませるような状態になっているとすれば、対応を変えることの重要性はもっと増してくるわけですね。

 

ところで、全ての親御さんは、お子さんの年齢と同じだけ親をしているわけで、例えば小学6年生の親御さんならば、親歴12年のベテランです。

特に母親は、子供が小さい時から、それこそ一心同体のようにありとあらゆる面倒を見てきたわけで、そういう意味では男の私など全くの足元にも及びません。

ところが、教育や子育ては、子供の成長によって育て方や対処法が変わる、とても複雑なもので、幼児の扱いが上手な親御さんでも、反抗期の子供の扱いは全くうまくできないといったことは、普通に起こります。

実際に、私は幼稚園の先生ほどに小さな子供を上手に教えることはできませんし、逆に幼稚園の先生も我々ほどに反抗期の子供を上手に教えることはできません。

そういう意味で、今までお子さんたちを育ててきた親の皆様は「子育てのプロ」なのですが、「反抗期の親」としては、ほとんどの方が「親歴0年」の新人になってしまうわけです。

 

そういう意味でも、小学生・中学生の子供が反抗期の時期に差し掛かったら、1度立ち止まってみてほしいのです。

これまでの成功体験を元に、今までの延長で対処してしまいがちですが、それはかなりの確率で失敗を引き起こします。

逆に言えば、反抗期に入る前までとは同じ対処法はあえて避けて、それとは違うアプローチを意識してほしいのですね。

 

ただ、そうすると次は「そのままではいけないと言われても、どう変えるかが分からない・・・」という問題にぶつかることになるかもしれません。

ですから、その際に心がけたいポイントについて、次の2つで見ていきましょう。

 

反抗期対応の落とし穴(2) 子供だけを変えようとしてしまう

反抗期自体は必ずしも悪いことばかりでは無いのですが、どうしても親子関係がうまくいかなくなったり、子供の態度が悪くなったり、成績が下がったりすることがつきものです。

そういった悩みに直面すると、ほとんど全ての方が「何か変えないといけない」と気づくことになります。

この時、反抗期をどんどんひどくしてしまうご家庭に共通しているのが、「子供だけ」を変えようとすることです。

 

今のお子さんを作っているのは、決して子供自身だけではありません。

家族、学校、塾、友達・・・といった様々な影響を受けてきたからこそ、子供の今の姿があるわけで、それを無視して子供だけを変えようとしても、状況はほとんど改善しません。

だからと言って、親御さんの側だけに原因があるということもありませんが、反抗期の子供に「自発的に変わる」ことを願うのは無理がありますからね。

やはりまずは変えやすいほうが変わるという意味でも、親御さんの側の関わり方を変えるのが最善となります。

少なくとも、子供だけを変えようとする発想から離れることが、とても大切になってくると思ってください。

 

反抗期対応の落とし穴(3) 今までの対応から、急に大きく変えすぎてしまう

さて、ここまでを踏まえると「これからは対応を今までと変えましょう」となりそうですが・・・実はここが大きな落とし穴です。

反抗期の対応についてアドバイスする書籍やサイトを見ていると、次の2つのパターンが多いです。

反抗期への対応パターン1 放任主義・放置派

  • 「親は口出しせず、本人に任せて放っておくべき」
  • 「子供と距離が近すぎるから、距離を置いたほうが良いです」
  • 「今しかない時期だから、反抗したいだけさせましょう」
  • 「子供を信頼して、好きにさせてあげましょう」

反抗期への対応パターン2 管理主義・干渉派

  • 「わがままにさせないためにも強く言うべき」
  • 「放っておいては駄目。成績は下がる一方」
  • 「将来困るのは本人。怒鳴りつけたり、叩いたりしてでも、ちゃんとしつけるべき」

表現はいろいろですが、放っておくべき派と、干渉すべき派の2つに分かれることが多いです。

 

ちなみに、放置派は「放っておいたら、自分の子供や教え子はうまくいった」というのを根拠にしていることが多いです。

しかし、現実のご家庭をたくさん見てきた身からすれば、放っておいたらそのまま戻って来なくなった例はたくさんあります。

反対に、干渉派は「厳しくしたら、自分の子供や教え子はまっすぐ育った」というのを根拠にしていることが多いです。

しかし、これも同じく、厳しくしたことで潰れてしまった生徒や、後に大きなトラブルを巻き起こした例もたくさんあります。

 

こういったものの多くは、結局のところたまたまうまくいった例を取り出して、「他でもうまくいくはずだから、そうしなさい」と言っているに過ぎません。

しかし、2人以上の子供がいる方からすれば当たり前の話ですが、たとえ全く同じように接しても、子供の性格やタイプによって返ってくる反応は全く違うものですよね?

血の繋がったはずの兄弟姉妹でもそうなのですから、他人の子供の例が全く同じように当てはまるはずが無いことは、冷静に考えれば当たり前の話です。

「子育ての正解は、子供の数だけある」のですから、他の人の成功例をそのまま真似しても、自分の子供でうまくいくとは限らないのですね。

(ただし、たとえ誰にも合いそうにない極端な対応であっても、それが自分の子供に合いさえすればうまくいく場合もあるという事実については、心に留めておいてくださいね)

 

そしてもう1つ、「急に態度を変えられる子供の立場」で、当人の気持ちを想像してみてほしいのです。

今まで当たり前だった家庭内のルールが急に変わってしまったり、今まで正解とされていたものが急に不正解になってしまったりしたら、子供はどう感じるでしょう?

それに、親に対して反抗的にしたことで、急に親が手のひらを返したように変えてきたら、それは間違った成功体験を与えることにもなります。

 

実のところ、反抗期を確実に悪化させる方法の1つが、こういった大人の側の「ぶれ」です。

例えば、いきなり「中学生になったのだから自分で考えなさい!」と言われ、自分で考えて行動したら「それで十分だと思ってるの!?もっとやれるはずでしょう」などと駄目出しされるような流れに、不満を感じる生徒はとても多いです。

これなどは、最初は本人に任せたはずだったのに、結果が気に入らないと分かった途端に干渉をしているわけですから、真逆の対応が入り混じっている状態ですよね。

こういった「ぶれ」があるくらいなら、いっそ最初から何も言わないほうがまだましだと言えるくらいなのですが、言っている本人は全くぶれていないつもりなのですから、目も当てられません。

 

今までと同じで、全く変えないのもまずいのですが、安易に大きく変えてしまうのもまずいのですね。

以上を踏まえつつ、続いては反抗期への対処の心得について見ていきたいと思います。

 

○ 参考:反抗期で勉強しない子供への対応についてはこちらもどうぞ。

反抗期で勉強しない子にどう対応するか?

 

小学生・中学生の反抗期への対処の心得(初歩の初歩)

いろいろ理屈を頭に入れていても、実際に反抗期の小学生・中学生と面と向かえば、そんなことは吹き飛んでしまうものですよね(笑)

こちらをイライラさせる言動もあれば、痛いところを上手についてくるようなこともあるなど、そうそう計算通りにはいきません。

そうした中でも、「最低限これだけは気をつけたい!」と言えるものを、3つに絞って書き出してみました。

反抗期対応の初歩の初歩として、よろしければ参考にしてください。

 

反抗期の心得1:極端なアドバイスには耳を傾けない

とかく世の中には、極端なアドバイスが溢れています。

  • 「愛情不足です。もっと甘やかしてあげましょう!」
  • 「Noを言っては駄目。子供の言葉には全てYesで答えましょう!」
  • 「過保護すぎるのが原因です。とにかく放任しましょう!」
  • 「あれこえ考えず、何もしてあげないのが一番です!」

できるだけ単純化して「**するだけ!」「**しなさい!」と示すほうが、読む側も分かりやすいですよね。

それに、時と場合によっては、そういった対応がたまたま正解になる場合もあるのは事実です。

しかし、上でも触れたように、1つだけに偏った対応は不正解になってしまうことのほうが多いものです。

 

例えば、よくある「反抗期の息子・娘とは距離を置きなさい」もそうです。

これは、今までが近すぎたなら、距離を置いたほうが良いというケースも出てきますが、逆に今までが遠かったなら、距離を置いたらむしろ逆効果ということになります。

また、距離を置くのが正しい状況だとしても、どの程度どうやって置くのかはいろいろあるわけで、子供が「見放された」「見捨てられた」と感じてしまうような置き方は論外です。

このあたりの手加減を間違えると、反抗期が改善するどころか、むしろ長引くことになってしまうものですから、くれぐれも注意が必要です。

 

そもそも教育や子育ては、そんなに単純なものではなく、正解は子供の数だけあるものです。

ですから、本当に大切なのは「自分(とお子さん)に合った答えを見つけていく」という視点です。

学校の勉強のように、たった1つに決まる模範解答のようなものは無いですから、そこは間違えないようにしてくださいね。

 

参考:その他の具体例はこちらにも

中学生の反抗期対応|何が本当に効果があるのか?

 

反抗期の心得2:親の目線を踏まえてくれていない言葉に惑わされない

教育や子育ては、技能や資格がなくても語れてしまうため、いろいろな意見がはびこっています。

そのため、参考になる意見も探しやすいわけですが、代わりに、間違った意見にも惑わされやすくなってしまいます。

そして、上でも軽く触れたように、完全に真逆の意見も普通にあるものですから、どういう意見を参考にするかが、とても大切になってきます。

 

例えば、「医師監修」「教育学者が・・・」などとあるのはどうでしょう。

医師や学者などと言われると、つい無条件に信じてしまう人も多いと思います。

しかし、実際にたくさんの反抗期の子供たちと、何十時間も深く関わったことのない人に、本当のところが分かるのでしょうか?

 

例えば、「反抗期専門カウンセラー」を名乗っている人はどうでしょう。

その人が、たくさんの子供たちや保護者の方々と直に関わってきたのなら、参考になる部分もあるでしょう。

しかし、「自分の子供」というほんのわずかな一例を取り出して、他の家庭でも通じるかのように言っているなら、それはかなり怪しいですよね。

 

それでは、毎日のように反抗期の子供たちと最前線で関わっている「先生」や「教師」なら大丈夫かと言うと、実はそうでもありません。

率直に言ってしまうと、反抗期の対処法は、教師に相談してもあまり参考になる答えが返ってきません。

それどころか、一般的な先生たちのするアドバイスをそのとおりにやっても、うまくいかないことのほうが多いくらいです。

 

そもそも「親として、自分の子供に関わる」のと、「教師として、他人の子供に関わる」のとでは、前提条件が全く違います。

実際に、教師としては一流でも、自分の子育てには苦戦している人が、この業界には数え切れないほどたくさんいます。

これは決して、その先生の指導力が低いという意味ではなく、単純に「親と教師の立場では、正しい関わり方は全く違う」というだけのことです。

 

これは上の「医師や学者として、他人の子供と関わる」のでも、「カウンセラーとして、他人の子供に関わる」のでも全く同じです。

そういった背景を無視して、「自分がうまくできたから、親に対しても同じ方法論を伝えれば良い」と思い込んでいる人も少なくないわけですが、それでうまくいくのは、たまたま条件が合う場合だけです。

そこに気づき、それぞれの家庭や子供に合わせて丁寧に助言するなら良いのですが、ほとんどの専門家(?)は「このやり方が一番良い」と自分が信じるものを、どの家庭や子供にも同じように求めてきます。

 

反抗期の子供の目線が分からない大人が、反抗期対応に失敗してしまうのは当たり前ですよね。

同様に、反抗期の子を持つ親の目線が分からない人の言葉は、そのまま参考にしても失敗してしまうのは当たり前です。

それに、親の目線を無視した言葉は、口にするほうは簡単でも、真面目に聞くほうはとても大変です。

そういった言葉は、親御さんのほうにばかり負担やストレスが溜まりやすいですから、くれぐれも気をつけてくださいね。

 

反抗期の心得3:気安く過去の子育てを否定する意見には耳を貸さない

それまでほとんど問題の無かった子供が、反抗期になると急に変わってしまうことがあります。

たとえ、それまでの子育てが大きく間違っていなくても、何か子供を激変させるような大きなきっかけが無くても、突然のように子供が豹変してしまうことが、反抗期のこの時期にはあるものです。

実際に、そんな局面にぶつかることで、必死に頑張っても状況はちっとも改善せず、そのうち冷静さも失われて「どうして良いか?」すらも思いつかなくなっていき、ついには今までの子育てを全部自己否定してしまうような心境に追い込まれてしまう人も少なくありません。

 

そういった状況に追い込まれた親御さんに対して、世の中には専門家面して「あなたは親失格だ」と偉そうに言ったり、「あなたの幼少期の子育てがまずかった」などと指摘して悦に入っている人がたくさんいます。

ひどい時には「あなたの親からの育てられ方が、子供への子育てにも影響している」などと、今さらどうにもならないことを指摘するような、不毛な助言すらも目にします。

もちろん、そういう要因もあるにはあるのですが、それを今まさに反抗期対応で悩んでいる親御さんに突きつけたところで、目の前の問題はちっとも改善しませんよね。

こういった身も蓋もない指摘には耳を貸す必要も無いわけですが、不安に陥っている親御さんはそれを真に受けてしまい、余計に迷路へ迷い込んでしまうという側面もあります。

 

しかし、一般的なご家庭においては、そんな「過去の全てが駄目だった」というようなことはほとんどありません。

実際は、どこかに掛け違えたボタンがあって、そこから大きな齟齬が生じてしまっているだけのことがほとんどです。

大事なのは、そこで「ふと我に返り、ボタンの掛け違いに気づいて、いったんそこまで戻ってやり、改めて関係を再構築する」ような手間のかかることを、嵐のような毎日の中でも冷静になってやれるかどうか・・・であり、そこにこそ解決への秘密が隠されています。

 

一方まずいのは、もとの掛け違えたボタンに気づかないまま、その先のずれたボタンだけを無理に揃えようとしてしまうような関わりです。

それをしようとすると、間違いの上塗りのようになってしまって、仮に短期的には良くなっても、結局はどこかでうまくいかなくなってしまいます。

テレビやニュースに出てくるような、本当に大きな問題のある親御さんなどそうはおらず、ほとんどの親御さんにあるのは「いくつかのボタンの掛け違え」くらいであって、それ以外は自信を持って当たれば大丈夫なことばかりです。

ですから、まさに今お悩みの方々も、決して今までの自分や、今の自分の「全て」を否定してしまうのではなく、「大筋では大丈夫ながらも、いくつかのボタンを掛け違えてしまっているのだ」と思うようにされてみてくださいね。

 

そして、この「全てを否定しない」ことの大切さは、ご自身についてだけでなく、お子さんについても全く同じです。

我々大人でもそうですが、人は良い面と悪い面をいくつも併せ持っていて、この時期の子供たちは特にそれが極端です。

そして、何かの拍子に、その子が悪い面を強く出してしまうと、大人はそこにばかり注目して、どんどん状況を悪化させてしまうことになりやすいです。

ところが、その子の中には、相変わらず良い面が残っているわけで、今度はそこに注目して良い面を伸ばし、育てていってあげると、悪い面はどんどん陰を潜めていきます。

そういう関わり方こそが今も反抗期で悩む親御さんにとっても、同時に、自分で自分の感情をうまくコントロールできなくなっている生徒たち自身にとっても、大いにプラスになることです。

 

小学生・中学生の反抗期の改善のための、もっと具体的な対処法

教育や子育てにおいて、正解は子供の数だけあり、本当に大切なのは、自分(とお子さん)に合った答えを見つけていくという視点です。

周りの親御さんや先輩ママ、学校や塾を含めた周囲の専門家などの助言を聞く時にも、ぜひこのことを念頭に置きながら、今後の改善に向かうようにされてくださいね。

 

一方、身近で信頼して相談のできる人が簡単には見つからないという状況の方もおられるかと思います。

そういった方のためのサイトがこちらですから、ぜひサイト内の記事を、興味のあるものだけでも目を通してみてください。

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○ 参考:反抗期で成績が下がってしまった場合はこちら

「反抗期で成績が下がった」その理由と対処法

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楠木塾長

かれこれ20年以上の指導経験と、1万組以上の相談対応件数を持つに至る、プロも相談するプロ。小中学生から高校生、大学生、社会人まで幅広く指導を行うが、このサイトでは中学生指導に専門を絞って独自の情報発信を続けている。また、反抗期・思春期の子育てや教育に関しても専門性が高く、保護者や指導者への助言指導なども行っている。

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