反抗期は悪いもの・・・そういう認識の方もいるかもしれませんね。
しかし、実は反抗期には「良い反抗期」と「悪い反抗期」とがあります。
「ひどい反抗期=子育ての失敗」ではない
「反抗期がひどいのは、今までの子育てが失敗だったからだ」
反抗期に悩まされて、そんなふうに考えてしまうようになる親御さんも少なくないことでしょう。
しかし、実際はそうばかりとも限りません。
そもそも、反抗期が必要以上にひどくなってしまう最大の原因は、「反抗期への対処法がまずいこと」です。
もちろん、反抗期になる「前」の対応にも要因はありますが、それよりはるかに大きいのは、反抗期に向かう「途中」や、反抗期になった「後」の対応のまずさです。
現実には、もともと反抗期が強く出やすい子供と、そうでない子供がいるものですから、たとえ対処を間違えなくても、ひどい反抗期に遭遇するということは普通に起こり得ます。
反対に、どれだけ最初の反抗期がひどくても(軽くても)、その後の対応次第でいくらでも良く(悪く)なるということですね。
そのため、反抗期がひどいからと言って、それだけで「子育てに失敗した」と捉える必要はありません。
むしろ、反抗期を適切に通過していくことこそが、今後の正しい成長には不可欠な側面もあります。
つまり、反抗期を良いものとできるかどうかが、本当の意味で子育てが失敗するかどうかを決めると言っても良いわけですね。
そこで今回は、良い反抗期と悪い反抗期について見ていきましょう。
○ 参考:反抗期の基本的な対処法はこちらをどうぞ。
良い反抗と悪い反抗
まず、反抗期が訪れること自体は、悪いことではありません。
反抗期の表れ方にもよるのですが、「親に頼らずに自分の力でやろうとする」ことや、「自分の考えを持ち、それをもとに行動しようとする」ことは、大人になる上で欠かせない必要なことです。
昔から言われることですが、いつか親は子よりも先に死にます。
そのときに子供1人で生きていける力を育てていなければ、子供も道連れで死んでしまうことになります。
現代社会ではすぐに死ぬことは無いですが、苦しい生活を送り、幸せな生き方ができないことは十分にあり得ますよね。
そうならないためにも、子供が何でもかんでも親の言いなりになるのではなく、適度に反抗し、しっかりと自立していくのは、絶対に不可欠なことです。
一方で、「何でもかんでも反抗する」「親のことが憎くて嫌い」「とにかく大人の言う事が気に入らない」といったタイプの反抗期は良くありません。
上で書いたのは「自立心」ですが、こちらは単なる「反抗心」です。
そして、このタイプの反抗期になってしまうのは、もちろん子供の個性や特性による部分もありますが、大抵は「反抗期に向かう中での初期対応を間違えた」せいです。
最初は「自立心」から来る反抗だったのに、対処を間違えているうちに、単なる「反抗心」のほうが優勢になってしまった・・・という具合ですね。
そして、「良い反抗期」は歓迎されるべきと言いますか、本来なら避けて通ることのできないはずのものです。
一方で、「悪い反抗期」は無ければ無いほうが良いですし、あれば余計な苦労を背負い込むもととなります。
このあたりの分け目は難しいのですが、育てる側としてはしっかり見切る必要があります。
なお、最近は「反抗期がない」というケースも増えていますが、その場合も良い場合と悪い場合とがあります。
「反抗期が無くて楽で良かった」という方もいれば、「反抗期が無いのは問題なの?」と不安な方もいると思いますが、どちらの場合もこちらも参考にしてくださいね。
(話が長くなるため、今回は横に置いて先に進みます)
反抗期に育てたい力
よく塾などで「厳しい指導」が売りのところがありますが、厳しくすることで生徒の自立心をそいでしまっていることが往々にしてあります。
もちろん、厳しさも必要ですが、過剰な厳しさは生徒から自主性や考える力を奪い、受身でしか勉強できないマニュアル人間が育ちます。
どこで厳しさを発揮して、どこで生徒の意見を受け入れつつ自主性を重んじるかは、さじ加減が難しいですが、とても大切なところの1つです。
○ 参考:反抗期で勉強しない子供への対応についてはこちらもどうぞ。
また、最近「これからの社会で必要とされるリーダーや人材像は、暗記型人間ではなく、高い創造力と、時代を切り開くオリジナリティを持った人間だ」などとよく言われます。
しかし、こうした力を身につけさせたかったら、「他とは違っても自分が正しいと思ったことをやりぬく」ような育て方をすることになります。
つまりこれは、目上の人や親を含めた誰かの意見の反対することになっても、自分の意見をもってしっかりと貫き通すことのできる子供に育てることですよね。
そしてこれは、読んでのとおり反抗期そのものです(笑)
本物のリーダーになるには、何でもかんでも自分の思い通りにするようではいけません。
時には、周囲の意見に耳を貸し、良いところは取り入れるような柔軟性を持つことも必要です。
一方で、自分の意見を通すべき時には、しっかりと貫き通す強さも必要です。
つまり、理由の無い自分の思い込みだけの反発心は×ですが、正当な反発心は○だと言えます。
親や先生に反発することが全て悪ではないのです。
こういったあたりも踏まえた対処をすることが、反抗期には必要になります。
以上から、反抗期の指導や接し方として理想を言うならば「自主性を育て、正当な反発心は尊重し、その一方で、不条理な反抗心や、モラルに反することに対しては厳しく指導する」となるでしょうか。
しかし、こうして書くのは簡単ですが、なかなか難しいですよね。
反抗心や反発心1つとっても、どこまでが○で、どこからが×なのか、間近で子供に接していると見分けがつきにくいものです。
反抗期の子供を納得させるには?
ここで親御さんに質問です。
- 「学校の勉強は、本当に必要なのでしょうか?」
- 「自分が子供の頃にそれを本当に必要だと思い、喜んで勉強していましたか?」
得意な教科や好きな教科だけを思い浮かべないでくださいね。
嫌いな教科や苦手な教科こそ思い浮かべてみてください。
こうした質問に対して、子供の視点で納得のいく答えを出せるかどうかが重要になってきます。
大人だけが納得できる意見でも駄目ですよ。
例えば「勉強はできないよりできたほうが得だ」と言うのは問題外です。
もちろん、できないよりはできたほうが良いに決まっていますが、子供時代は他にやりたいことがたくさんありますよね。
他に魅力的なことが山ほどある中で、たかが「できないよりはできたほうが良い」程度のことに時間を使えと言うのは、子供から見て納得のいくことではありません。
「毎日のタバコやジュース、コーヒーなどをやめて全て貯金すれば、将来かなりの金額になる」と言われたら、誰もが「確かにそうだ」と思いますが、実際にする大人はほとんどいません。
宿題にしても、理論的に言えば誰でもできるはずですが、当然「やりたくない」ですし「やろうと思ってもできない」生徒も山ほどいます。
サービス残業しろと言われて、やろうと思えばできるけれども、できればやりたくないのと同じようなものです(笑)
大事なのは「良いか悪いか」「得か損か」ではなく「やりたいと思えるかどうか」「やろうと思ってやれるかやれないか」のあたりです。
反抗期の子供は、今まで何の疑問もなくやってきたことにいろいろと疑問を感じるようになります。
だからこそ、子供の納得できる答えを用意すること、そして最初に書いたように、「育てるべき反抗心」と「摘んでおくべき反抗心」をきちんと見分けることが大切になります。
くれぐれも親や先生にとって「都合の良い子」を育てるのはやめましょう。
それは「教育」ではなく「飼育」ですから。
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