とーーーーってもよく聞くこの言葉。
「勉強しなさい」
「やるつもりだったのに、言われたらやる気がなくなった」
こんなやりとりはお決まりですよね(笑)
それでは、こう言われた時に親(もちろん教師も)はどういう対応をすれば良いのでしょうか?
○ 参考:反抗期で勉強しない子供への対応についてはこちらもどうぞ。
誰でも、言われたらやる気がなくなるもの
例えば、お腹の大きな妊婦さんに電車で席を譲ろうと思ったとします。
「よかったら、ここに座ってください」
「まあ、ありがとう(‐^-^‐)」
身近でできる助け合いですね。
しかし、その直前に見知らぬおばあさんからこう言われたらどうでしょう?
「大変そうなんだから、かわってあげなさいよ」
今から譲ろうと思っていたのに、周りから見たらまるでその人に言われたから譲る気になったみたいです。
「言われなくても譲っていたよ・・・」そう思いませんか?
少なくとも「気づかせてくれてありがとう」などとは思わないはずです。
(もう気づいていたのですから当たり前ですね)
例えば、家事を思い浮かべてください。
家族が帰ってくるまでに、部屋を掃除したり、洗濯や洗い物をしたりと、することは山ほどありますよね。
そこで家族が帰ってきて「うわー、きれいになったね!」「さすがだね、おかげでいつも気持ちよく過ごせるよ」と言ってくれたら、明日からもやる気になるかもしれません(笑)
反対に、出かける前に子供から
「ここのところ居間の掃除が手抜きじゃない? 目立たないところまでちゃんとやらないと駄目だよ。それに洗濯物の汚れの落ちもイマイチだし、しわも伸びてないし。アイロンちゃんとかけてる? そういえばこないだ友達の家で食べたご飯は美味しかったなあ。だから今日は洗濯も掃除も料理もちゃんとやっておいてよ。」
などと言われたらどうでしょう?
確実にやる気はなくなると思います。
他にもいろいろな場面がありますが、くどくど言わなくても良いですね(笑)
何事であっても、「自主的にやろうと思っていたこと」や「善意でやってあげていること」に対して、先にどうこう言われると、良い気分はしないものです。
「勉強しなさい」には、やる気を失わせる効果はあっても、やる気にさせる効果は期待できないわけですね。
こういう事情もあってか、多くの教育書などでは「言わないのが正解」との意見が一般的です。
もちろん、「言っても無駄だから、言うのはやめましょう」の言葉に筋は通っていますが・・・
しかし、これは本当に正しいのでしょうか?
勉強しない子供には、何も言わないほうが正解?
確かに、「勉強しなさい」と言われて素直にやる子は、もともと言われなくてもするような子くらいです。
言われてしかできない子は「言ってもやらない」ですし、そこを何とかやらせたとしても、「本人のやる気が無くて全然はかどらず、やっても無駄」になりがちです。
結局、親がそばで張り付いて見張るしかない・・・と言う不毛な状態になりかねません。
(塾の場合は、親が先生に変わるだけですね)
○ 参考:実際に、勉強しない息子さん、娘さんはたくさんいます。
しかし、親でも先生でも「無理にやらせる」状態はあまり良いとは言えませんよね。
もちろん、勉強の効果が薄いのもありますが、そういうやり方は将来の「やらされ人間」しか育てないからです。
実際に、塾でも無理にやらせる先生がいると、その先生がいなくなった途端にサボったり他ごとを始めたりして、先生が戻ってくると慌ててやりだす(ふりをする)光景がお決まりです。
先生は「指導しているつもり」ですが、これは指導とはとても言えない状態で、私に言わせれば「サボることを指導している」のに近いと思っています。
実際、私はこういう指導を自分の意思でしたことがありません。
ただ、新人の頃は、上司などの強制で、しかたなくしたことは何度かあります(苦笑)
もちろん、形の上ではやらせられても、学習効果はちっともなかったです。
本当に、何も言わなくても大丈夫?
「言われるとやる気が無くなる」のは誰でもそうです。
言うことでやらなくなるなら言わないほうがましですし、やる気の無い状態で無理にやらせる状態は、初めからやらないのと大差ありません。
確かに、最初から最後まできちっとやらせきることができれば、やらないよりは良いですよ。
しかし、大抵の親(先生)はその確認が甘すぎるため、「きっちりやらせきる」ことができません。
よく「時間やページ数をチェックする」人はいますが、必要なのは、目に見えない「子供の頭の中」のチェックです。
何よりも、上に書いたように「サボることを学習する機会」になってしまっては、勉強どころか人生においてもマイナスのほうが大きくなってしまいます。
ここまで考えると「言わないほうが良い」という結論になりそうですね。
もちろんいつものごとく、私の意見はちょっと違います(笑)
実は、子供たちの「言われるとやる気がなくなる」には、2つの裏があります。
親に言われるとやる気がなくなる子供の、誰も知らない裏側
実は、子供の「言われるとやる気がなくなる」には、2つの裏があります。
1つ目は「言われる前から、もともとやる気が無い子供」の存在です。
「やろうと思っていたのに」は、単なる口からでまかせで、本当はやろうなどとは思ってもいなかった子供ですね。
こうした、もともとやる気の無い子供を、何も言わずに放置したらどうなるでしょう?
人間は楽なほうに流される生き物ですから、当然やらないままになります。
「いつかは自分からやり始める」という性善説をとるのは自由ですが、実際の指導経験から言わせてもらうと、勉強を自発的にやるかどうかに関して性善説が通用するのは、もともと言われなくてもやる子供たちだけです。
ですから、もともとやる気がこれっぽっちも無いのに、口先だけでごまかそうとする子供については、短期的には「言われなければやらない」のが真実です。
(もちろん、そうした子供に対して、そのまま「勉強しなさい」と言ってもやりはしませんから、また違った言い方が必要になります)
ただ、実はこの「言われる前から、もともとやる気が無い」が当てはまる子供は、かなりの少数派です。
これが当てはまるのは、親に対して平気でウソをつける子供ですから、そうそう多くいては困ってしまいますし、現実にはそんなに荒んだ子供ばかりでありません。
それに、ウソが得意な子供は、「勉強しなさいと言われるとやる気がなくなる」などよりも、もっと巧妙なウソをつきますからね(笑)
子供が「言われるとやる気がなくなる」と言う時、たとえ少なくても、その子なりにはやる気があると考えるべきです。
わりと多くの親や先生が、子供に対して「もともとやる気など無かったのだろう」と決めつけますが、それは決めつけと言うものです。
実際には、多い少ないの程度の差はあれども、言葉どおりその子なりには、本当にやる気があった場合がほとんどなのですね。
そこで、「もう1つの裏」が重要になってくるわけです。
この仕組みを知らずに対応するせいで、子供のやる気を余計に失わせているケースも多いのが実情です。
それでは、もう1つの裏とは・・・
以上、かなり突っ込んだ「やる気」に関する話でした。
世の中では「言わないのが正解」だと言われがちですが、ほとんどの場合でそれは「逃げ」にしかなりません。
ぜひ上記を参考にしつつ、お子さんに合わせた関わりを意識してみてくださいね。
(正会員以外の方は、メールマガジン内での告知をお待ちくださいませ)
○ 参考:反抗期の基本的な対処法はこちらをどうぞ。
反抗期対応の関連記事
楠木塾長
最新記事 by 楠木塾長 (全て見る)
- 中学生の反抗期対応|何が本当に効果があるのか? - 2023年2月4日
- 反抗期がないと将来不安? - 2022年6月5日
- 反抗期はいつごろ終わる? - 2022年6月4日
おすすめコンテンツ
弊塾からのお願い
そのため、今ではどこでも当たり前となったサイト上での宣伝や広告等の掲載を一切していません。
これは「余計な画像や動画が表示されず読みやすい」「ステマが100%無いため安心して読める」といった点では良いのですが、運営的にはかなり大変なところもあります。
そこで、今後も安定的に活動を継続していくために、寄付を募ってみます。
弊塾の活動を応援してくださる方、記事の内容が参考になったという方、ご相談が役に立ったという方がおられましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
<ご寄付はこちらから>
※Pay What You Want方式です。